今にも崩れそうな宅配ピザのビジネスモデル - 独立開業全般 - 専門家プロファイル

中山おさひろ
東京都
起業コンサルタント

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対象:独立開業

尾崎 友俐
尾崎 友俐
(経営コンサルタント)

閲覧数順 2024年04月24日更新

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今にも崩れそうな宅配ピザのビジネスモデル

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 都市では、どこの街でも見かける、派手なボディーと大きな荷台のオートバイ。宅配ピザは、わが国の宅配サービスでは、確固たる地位を築いています。業界大手の場合、大半はフランチャイズチェーンの運営ですが、比較的安定した収益を上げているビジネスの一つと言えます。

 この宅配ピザに対し、新たなライバルが次々に生まれ、従来型の安定したビジネスモデルが厳しくなっています。まず宅配ピザが安定している原因ですが、材料費が他の外食と比較して安いことです。大手の場合、平均的販売価格は約2000円と言われる宅配ピザですが、そのうち10~20%程度です。

 費用で大きなウェートを占めるのが配達係アルバイトの人件費で、売れる売れないに関係なく、5人以上が常駐しています。特に、大雨、大雪、台風、正月、お盆、真夜中などが書き入れどきですからバイト料も高く、多くの人集めはコンビニや介護より難しいと言われます。また、交通事故が多いのもこの業界ならではです。

 この利幅の大きいビジネスに目をつけ、対抗馬が次々と登場しています。第一弾は、格安宅配ピザ店の登場です。競争の激しい地域では、一般店の半額以下で販売する店まで出て、泥沼のサービス合戦が起こっています。従来からある街のパスタ店までが、深夜のピザ宅配を始める始末です。

 第二弾は、500円程度の小型のピザ店が続々と誕生していること。中には、持ち帰りサービスをしている店も多く、宅配ピザの昼間や夜間の需要を奪っています。お店では500円で買える商品が、宅配で2000円と言うことになりますと、真夜中の注文でもない限り買って帰る人が増えます。

 第三弾は、次々に販売される小型石窯の出現です。これまで、おいしいピザ作りには石窯が必要で、お店に備え付けるとなると多額の資金が必要でした。この難問をクリアしたのが、電機メーカーや陶器会社が製作した簡易型石窯です。パスタ店や移動販売などが、活用してピザ販売をしています。

 現在は、利幅が高いとされるビジネスには、異業種から参入する会社が増えます。また、技術的イノベーションによって、利幅を下げる試みも行われます。宅配ピザは、その業務内容があまり知られていなかったビジネスですが、これからは他からの参入が増え、従来のビジネスモデルを続けるのが厳しくなりそうです。

【一言】
 宅配ピザ店が価格設定を高くしているのは、注文を減らす意味もありました。注文が多すぎると、宅配コストが高くなって採算が合わない事情があります。今後競争が激しくなりすぎると、注文自体が大幅に凹む危険があります。このような業界は、他にもけっこうあります。政府が規制緩和を行いますと、利幅の大きい業界が矢面に立たされることにもなります。

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