うつ病/病の起源、NHKスペシャル - 精神科治療 - 専門家プロファイル

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閲覧数順 2016年12月03日更新

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うつ病/病の起源、NHKスペシャル

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  1. 心と体・医療健康
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人類が苦しむ病気を、進化の観点から追求する「病の起源」。シリーズ第3集は、働き盛りを襲い自殺に追い込むなど、深刻な社会問題になっている「うつ病」。世界の患者数は3億5千万人に達し、日本でもこの10年あまりで2倍、100万人へ急増している。なぜ、私たちはうつ病になるのか?その秘密は、意外にも5億2千万年前に誕生した魚の研究から明らかになってきた。魚でもある条件を作ると、天敵から身を守るために備わった脳の「扁桃体(へんとうたい)」が暴走し、うつ状態になることが分かってきたのだ。さらに2億2千万年前に誕生した哺乳類は、扁桃体を暴走させる新たな要因を生みだしていた。群れを作り天敵から身を守る社会性を発達させたことが、孤独には弱くなりうつ病になりやすくなっていたのだ。そして700万年前に人類が誕生。脳を進化させたことで高度な知性が生まれ、文明社会への道を切り開いてきた。しかしこの繁栄は、皮肉にも人類がうつ病になる引き金を引いていた。文明社会によって社会が複雑化し、人間関係が一変したことが、扁桃体を暴走させ始めたのだ。番組では、研究の最前線で明らかにされてきたうつ病の秘密に迫り、そして進化を手掛かりにして生まれた新たな治療法を紹介。人類の進化がもたらした光と影を浮き彫りにしていく(NHKスペシャルより)。

 

うつ病の起源は「扁桃体」の過活動にありました。扁桃体は恐怖、不安、悲しみといった感情を生じる脳の深い部位です。5億2千年前、地球上に魚類が誕生した時、天敵から身を守るため、脳・神経系の発達とともに発生しました。番組では天敵と同じ水槽に入れられた魚がうつ状態となり、動かなくなっている様子が映されました。ストレスから扁桃体の過活動、ストレスホルモン(副腎皮質ホルモン、コルチゾールと考えられます)の過剰分泌、および神経細胞の萎縮も認められました。

2億2千年前、哺乳類が現れました。その中で最も社会性に富むチンパンジーで、一時期、隔離された一匹がうつ状態に陥っていました。孤独がうつを引き起こす原型です。370万年前、アウストラピテクスが現れますと、記憶の貯蔵庫、「海馬」が発達しました。海馬は扁桃体と連動し、恐怖の記憶に反応するようになりました。20万年前、ホモサピエンスでは、脳内の「ブローカ野」が発達し、言葉により他者からの情報に反応するようになりました。このように、人類は進化と引き換えに、天敵、孤独、記憶、言葉、とうつ病の危険因子をはらむことになったのです。

そして、狩猟採集社会から文明社会へと至っては、「貧富の差」が生じるようになり、平等の欠如がうつ病を引き起こすようにもなりました。これは「ハッザ族」というアフリカ・タンザニアで狩猟採集を営む、平等な民族において、極めてうつ病の罹患者が少ないことから例示されてました。反対に、現代社会において、競争や格差の結果、特に事務職や一般職といった裁量権の少ない職種にうつ病が高頻度に生じることが例示されました。従って、資本主義社会においては、適度な競争は認めつつも、平等・公平な社会を再構築していくことが、うつ病の治療・予防に必要であることが示唆されます。

さらに、今後の治療として、扁桃体と直接刺激する、脳深部刺激治療DBS. Deep Brain Stimulation および生活改善療法TLC. Therapeutic Lifestyle Change が紹介されました。DBSは国内ではパーキンソン病などの神経疾患において行われている治療で、脳深部へ電極を埋め込み、持続的に微弱な電気刺激を与える治療法です。国内ではうつ病へ臨床応用されていませんし、されたとしても重症・慢性うつ病に限られることでしょう。

一方、生活改善療法は今すぐに、誰でも実践できる方法です。すなわち、規則正しい生活、睡眠・食事、運動、社会的な結びつきを大事にする、という内容です。カンザス大学のウェブサイトによりますと、毎日30分以上 光に浴びること、約8時間の睡眠時間を確保すること、ω3(オメガ・スリー)脂肪酸(EPA, DHA)の摂取(青魚、イワシ、サバ、カツオ、ブリ、サケ、マグロなどに多く含まれています)、週3日は30-40分の有酸素運動を行うこと、一人で考え込まないこと、家族や友人に頼ること、が推奨されています。

TLC. Therapeutic Lifestyle Change http://psych.ku.edu/tlc/

このように、うつ病は人類の進化の代償として生じた病気とも言えます。特に現代の文明化社会においては、「物質的な豊かさ」と引き換えに、「精神的な貧しさ」を生じたとも言えるのではないでしょうか。しかし、時計は逆戻りさせられませんので、我々ができることは、得たものと失ったものを十分に認識し、失ったものを少しでも補填できるよう努力していくことです。銀座泰明クリニックもそのような考えのもと、精神医療を提供してまいります。

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