酒がタダの居酒屋と立ち食いイタリアンの明暗 - 独立開業全般 - 専門家プロファイル

中山おさひろ
東京都
起業コンサルタント

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対象:独立開業

尾崎 友俐
尾崎 友俐
(経営コンサルタント)

閲覧数順 2024年04月23日更新

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酒がタダの居酒屋と立ち食いイタリアンの明暗

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 最近の起業には、他の人のやっていないこと、新しいビジネスを立ち上げようとする気概が欠けているように思います。多分、起業する人の中で、「何のために起業するのか」、スタート台でのここの思考がおざなりになっているのかも知れません。最初にしっかり考え抜くことが、その後の起業の方向性に大きな影響を与えます。

 ベンチャー起業の場合は、投資家が厳しくチェックしますし、社会や顧客のニーズがはっきりしていますから、方向性の判断は理解しやすいです。従来型起業の場合は、ほとんど似たスタイルの起業ですから、お客さんに真新しいと感じてもらうのは難しいです。精々、店舗が新しいとか、他ではあまり見かけない商品といった程度の評価です。

 近年、飲食業での新しいスタイルと言いますと、2009年に東京・板橋区で開業した焼酎がタダの居酒屋がありました。収益の柱は、客単価を2700円程度に設定して、フードメニューを2品以上注文することが条件。北海道の漁業会社から、食材を直接買い付けることで仕入原価を下げる作戦でした。

 タダの焼酎は宣伝広告費と考えて提供したこともあり、連日1時間待ちの行列ができる繁盛店でした。経営者は、月商800万円の月もあると豪語したほどです。早々に新たな店舗を4店も出店し、新たなビジネスモデルとなるかと期待されましたが、結局2年目を迎えることなく撤退しました。

 店に慣れると慣れるほどメニューの注文数は減らして、タダの焼酎ばかりを頼む常連が増えすぎたためと睨んでいます。この店の場合、お客さんの消費行動に読み違いがあったようです。都心店ならばお客さんの入れ替わりが激しく、見栄でメニューの注文も多かったのかも知れませんが、板橋区ではお客さんの固定化が進みました。

 結局11年には撤退しましたが、翌年入れ替わるように誕生したのが、立ち食いイタリアンの店です。こちらのレストランは、高級レストランの味をリーズナブルな価格で、立ち食いで気楽に食べられるお店。他にはない新しいスタイルの店を起業することは、簡単なようで実際に採算を取るのは難解な問題です。

【一言】
 タダの焼酎店と、立ち食いイタリアンとの違いは、既存店で成功しているビジネスと成功例のないビジネスの違いです。全国に、タダでお酒を飲ませる居酒屋はありません。一方、立ち食いの店も、イタリアンのリーズナブル店も存在します。これまでに成功例を真似るのは上手くいきますが、成功例のないビジネスの場合、ハードルは想像以上に高いです。

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