日経記事;『製品担保に成長資金 土地に頼らぬ調達に道』に関する考察 - 新規事業・事業拡大全般 - 専門家プロファイル

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日経記事;『製品担保に成長資金 土地に頼らぬ調達に道』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

10月14日付の日経新聞に、『製品担保に成長資金 土地に頼らぬ調達に道』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『自社製品の在庫などを担保に資金を調達する中小企業が増え始めた。独自性や競争力など製品の価値を金融機関に評価してもらう。個人保証や不動産を担保した借り入れには限界がある

。中小企業金融円滑化法の期限が3月末に切れ、従来のような資金繰り支援は受けられなくなった。成長資金の新たな確保策として浸透しそうだ。

牛発情発見システムの送信機や受信機などを担保にして運転資金を調達した。(宮崎県高原町のコムテック本社)

財務省の調べでは日本企業の保有資産(2011年度)は土地が186兆円、在庫と売掛金は計297兆円。だが地方銀行など地域金融機関が融資の担保にしているのは大半が不動産だ。

一方、在庫品やその売掛金を評価するのが「動産・債権担保融資(ABL)」。モノを売ってお金にするという事業そのものが担保になれば、保有不動産が少ない「持たざる中小」には朗報だ。

通信関連機器開発のコムテック(宮崎県高原町、笹栗康社長)は8月に商工中金から4千万円を調達した。担保は独自開発した牛発情発見システム「牛歩」。

畜産農家は雌牛の発情期を的確に把握して人工授精による種付けをする必要がある。全国1100カ所以上の牧場が採用している。

「牛歩」は雌牛の足首に取り付けて運動量を計測するセンサー内蔵の送信機、運動量データを集める受信機、データを分析するソフトなどで構成。発情すると運動量が増える雌牛の性質を利用した製品だ。

担保である送信機などの在庫品は同社が管理しており、在庫量や出荷の状況などを含めた財務内容は「金融機関にガラス張りにして毎月報告する」(笹栗紘二会長)。

同社の2013年8月期の売上高は約6億円。2年前に牛の配合飼料工場を建て、通信関連機器以外にも事業を広げている。必要な運転資金も増え、その安定調達が課題だった。笹栗会長は「(土地などの)資産規模が小さい中小でも必要な資金を確保できた」とABLの利点を指摘する。

変速機部品やベアリング(軸受け)などを手掛ける自動車部品製造の旭産業(富山市、平野平幸社長)は、部品やその材料となる鋼材を担保にした。8月末に1億円の調達枠を確保した。

大型プレス機械を使った精緻な加工技術などに定評があり、13年3月期の売上高は29億円。「(ABLの)借入期間は1年だが、最長で5年間に延長できる契約になっている」(財務担当者)といい、資金繰りに余裕ができるとみている。

今回初めてABLを活用したが、懸念したのは風評被害だった。「在庫を担保にするほど資金繰りに窮しているとの誤解を招きかねない」(同)からだ。あらかじめ自動車部品大手など取引先の理解を得たという。』


本日の記事は、米国では当たり前に活用されているABLについて書いています。ABLとは、英語のAsset-based lending(アセット・ベースト・レンディング)の略語であり、動産・債権担保融資のことをいいます。

本日の日経記事によると、2011年度の国内ABL市場規模は融資実行額で1875億円。残高は3324億円と米国(約4800億ドル=約47兆円)の1%にも満たない、米国では企業向け融資の約2割を占めるとのこと。

この手法は、商品の在庫や売掛金を担保に資金を貸し出す手法です。

一般的に金融機関は、不動産などを担保にして融資します。ABLでは、不動産以外のものを担保にして融資することになります。

ABLは、製造業を中心に、水産加工業や農産品業種などでも、売掛金となる売掛債権を担保にして融資する方法も採択されています。

日本国内の中小製造業者は、金融機関から自宅などを担保することに加え、連帯保証人の付加を条件にして融資してもらうやり方が一般的です。

事業に失敗すると、担保である自宅などの不動産を金融機関から抑えられる、あるいは親戚や知人に大きな負荷をかけるなどして、今後の生活や再事業化に大きなマイナス影響が出ることにより、立ち直れない状況が多く発生します。

起業家(特に設備投資を伴う製造業者)は、これらの多くの廃業や事業撤退した後の、険しい状況を知っていますので、新会社立上に躊躇するケースが多いのは実情です。

国内では、米国に比べて、起業・廃業の敷居が高くなっています。敷居が高い理由の一つが必要資金の調達方法です。

何度か、中小製造業者の事業承継支援を行った経験でいいますと、幾つかのケースでは現社長の奥様が息子や娘への事業承継に反対しました。

反対する理由の中で、最も大きな理由の一つになっているのが、資金調達の難しさです。金融機関は、中小企業に対する厳しい融資条件や姿勢をもっており、資金調達の難しさや、事業に失敗した場合のリスクの高さなどから強固に反対する母親の気持ちが表れています。

もし、日本でABLが米国のように、一般的に資金調達の方法として普及すれば、中小企業は低リスクや条件で、融資を受けられることになります。

また、現在の円安状況を受けて、多くの中小製造業者は、国内・海外市場で反転攻勢をかけつつあります。

この時にネックになるのが、新規開発や設備投資などに必要な資金調達です。ABLをもっと多くの中小企業が活用できれば、資金調達方法の選択肢が増えますし、容易になります。

中小企業が活発に新規事業立上や海外市場開拓を行えば、国内経済の活性化につながります。

ABLを国内で普及させるためには、多くの金融機関が不動産以外の売掛債権や在庫品などを担保にするやり方を採用する必要があります。

このためには、金融機関がABLの仕組みについて習熟すると共に、売掛債権や在庫品に対する目利き力(評価能力)を高める必要があります。

当該中小企業が、他社と比べて差別化・差異化を実現する商品をもっていれば、その企業の売掛債権や在庫品は、担保としての価値があります。

金融機関がその価値を正しく評価できるか、あるいは、評価できるとしてABLを積極的に採用するかどうかが当該仕組み普及のカギになります。

日経の別記事によると、ABL評価の仕方などを教育訓練・支援するベンチャー企業が国内に存在しています。

このような企業からの支援を受けて、ABLに関するノウハウ蓄積するやり方もあります。

一方、ABLを利用するためには、中小企業は自社の経営状況を可視化して金融機関に開示すると共に、売掛金や在庫状況を的確に把握、管理する能力が求められます。

金融機関と中小企業が共に努力して、徹底的な差別化・差異化を実現する商品・サービスの提供が可能な企業がABLを利用して、企業家が破産や家族崩壊などの高リスクを伴わない経営環境が整備されることを大いに期待します。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁


 

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