日経記事;『パナソニック、プラズマ 年度末に撤退 尼崎工場売却へ』に関する考察 - 事業・企業再生戦略 - 専門家プロファイル

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日経記事;『パナソニック、プラズマ 年度末に撤退 尼崎工場売却へ』に関する考察

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経営戦略 集中と選択;事業撤退

皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

10月9日付の日経新聞に、『パナソニック、プラズマ 年度末に撤退 尼崎工場売却へ』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『パナソニックは2013年度末をめどにプラズマテレビ向けパネル生産を停止する方針を固めた。生産拠点の尼崎工場(兵庫県尼崎市)も売却する方針で同事業から完全撤退する。

プラズマテレビ事業は同社が13年3月期まで2年連続で7500億円を超える最終赤字を計上する要因の一つだった。最大の懸案に区切りがつくことで同社の構造改革が大きく前進する。(関連記事を下記に記載)

月内にも発表する。プラズマの新規開発はすでに中止、当初は14年度の生産終了を検討していた。在庫がなくなる14年度に販売も終える見通し。尼崎工場で製造などに従事する従業員は主に他部門へ配置転換する。

尼崎工場は生産棟が3棟あり、現在稼働しているのは第2棟のみ。このうち休止している第3棟について外部企業と売却交渉しており、年内に合意できる見通し。

第3棟の土地の所有者である兵庫県、尼崎市とも借地権の移転に向けて調整しているもよう。残る第1、第2棟は売却も含めて活用を検討する。

関連記事;「パナソニック、テレビ事業の構造改革急ぐ プラズマ市場に幕」
 
パナソニックが2000年代半ばから5000億円以上を投じたプラズマテレビ事業から完全撤退する方針を固めた。子会社の三洋電機が手掛けるテレビ事業の設計・開発などの業務を本体に統合。テレビ事業の構造改革を一段と急ぐ。

テレビ事業の構造改革では、姫路工場(兵庫県姫路市)で生産する液晶パネルでタブレット端末や医療用モニターなどテレビ以外の用途の比率を高める。北米の販売網の合理化にも取り組む。

尼崎工場の資産については製造設備の減損処理は実施済み。建屋で400億円強を残すが、撤退により評価損を計上しても、本業の収益回復で吸収できるとしている。

プラズマテレビ市場の一角を占めるパナソニックが撤退することで、薄型テレビにおけるプラズマテレビも事実上、終焉(しゅうえん)を迎える。今後は市場の大半を占める液晶テレビを軸に有機ELテレビがどこまで追い上げられるかがカギとなる。

米ディスプレイサーチによると、2012年のプラズマテレビにおけるパナソニックのシェア(台数ベース)は16.5%。韓国サムスン電子(51.9%)、韓国LG電子(23.9%)とともに市場の大半を握っていた。 

1990年代後半に薄型テレビ市場が立ち上がってから、電機業界では画面サイズで50型以上の大型テレビにプラズマ、50型未満の中小型には液晶と、住み分けが続いた。しかし技術革新で液晶の画面の大型化が進み、価格競争力のある液晶が中心となった。

パナソニックも2方式を併存する戦略をとってきたが、これが重荷となり液晶を含むテレビ事業は13年3月期に885億円の営業赤字で、5年連続で赤字となった。

プラズマテレビは日本メーカーが開発を主導。しかし日立製作所が08年度に、パイオニアは09年度に撤退した。パナソニックの撤退でプラズマテレビを手がける国内家電メーカーはなくなる。』


パナソニックは、現在ソニーやシャープなどと共に、集中と選択を行っている家電メーカーの一つです。

どの家電メーカーにとっても、テレビ事業は収益の足を引っ張っており、巨大赤字産出の大きな要因になっています。

液晶テレビは、汎用化が極端に進んだ結果、国内メーカーは韓国、台湾、中国勢に価格競争力で負けており、生産・販売するだけ赤字を産む状態になっていました。

それでも、多くの家電メーカーは液晶テレビ事業の継続にこだわっていました。こだわった理由は、テレビ事業の売上額が大きく、この事業分野から撤退すると代わりの新規事業が短期にみつからないことや、テレビ商品がメーカーの顔になっているなどの理由によるものでした。

しかし、家電メーカーはテレビ事業の巨大赤字を支えなくなったため、2012年度以降急速に事業撤退や売却を進め始めました。

大手家電メーカーといえども、総花的に商品ラインナップをもって、事業継続することはできない状況になっていることは、明確です。

こうなった理由は、上記海外勢の急激な追い上げで競争力を失ったことによります。国内家電メーカーは、競争力を失ったテレビ事業に長期間固執し過ぎました。

液晶とプラズマテレビが対象になります。

国内市場は、少子化により人口減少が毎年進んでいます。さらに、若者は生活様式や好みの多様化と、パソコン、スマホ、タブレット端末の急速普及などにより、テレビを生活スタイルの中で中心には置いていません。

必然的にテレビ市場は、縮小する事業環境になっています。

残念ながら多くの家電メーカーが長期間競争力を失ったテレビ事業にこだわったのは、経営判断のミスと言わざるを得ません。

中小企業は、大手に比べて資本力などでぜい弱なので、大手企業のように長期間赤字状態を続けることはできません。

大手企業の場合、経営余力があったために、テレビ事業の見直しに時間をかけることができました。

パナソニックは、今年の3月時点で、2013年度からの3カ年でテレビ事業を大幅に縮小し、プラズマテレビは2014年度をメドに撤退する方向で検討すると表明していました。

本日の記事によりますと、パナソニックは、2013年度末にプラズマテレビ事業から撤退するとのことであり、1年前倒しになります。

パナソニックは、2013年初めの時点で、プラズマテレビの新規開発行為は止めていましたので事業撤退は、生産、販売、在庫の状況をみながら、工場閉鎖や売却などの施策作成と実行を行っていたと推測します。

それらの事業撤退のロードマップが、当初想定より前倒しで実現できたことになります。私も複数の事業撤退を経験していますので、パナソニックが前倒しでプラズマテレビ事業の撤退を行なうために、相当のエネルギーを使ったことと感じます。

この前倒し実現は、パナソニックの経営力の健全性を実証しています。事業撤退は、経営陣が即断即決で強力に進めないと実現しませんし、ましてや前倒しは非常に難しいことになります。

パナソニック、ソニー、シャープなどの国内大手家電メーカーは、可能な限り早期に赤字事業を撤退、あるいは、売却して赤字事業を整理することが重要です。

赤字事業をもっていますと、在庫過剰状態と同じように、ボクシングのボディーブローで効く状況と同じことになり徐々に自己中毒となって、キャッシュフローの減少などの症状となって経営を圧迫します。


また、各家電メーカーは、並行して新規事業分野を拡大・強化する必要があります。

少々きつい言い方をしますと、無能な経営者は合理化だけを行って、新規事業立上を怠ります。これは、合理化の方が新規事業立上より容易なことによります。

優秀な経営者や経営陣は、合理化をやりながら、常に新規事業立上を行って攻撃的な積極姿勢を取ります。

企業は、事業・収益拡大を行うことで社会的に評価されるからですし、企業が収益拡大を行うことは合理的であることによります。

パナソニックの場合、現時点では明確な柱となる新規事業分野が明確化されてないとみています。家庭用エネルギー・環境分野、産業用エネルギー・環境分野、白物家電、医療事業などの候補はありますが、パナソニックの経営資源を集中してこの分野では、世界ナンバーワンになるという施策は公開されていません。

多分、パナソニックは、現在重点市場分野の検討と絞り込みを行っていると推測します。プラズマテレビ事業の早期撤退を実現するように、新規成長事業の早期具体化を大いに期待します。

パナソニック、ソニー、シャープなどの大手メーカーが、徹底的な差別化・差異化を実現する商品で、世界市場でナンバーワンになることを期待しています。

これらの大手メーカーの動きは、中小企業にとってニッチ・特定市場で、徹底的な差別化・差異化を実現する商品で事業するやり方のヒントや参考になります。

引き続き、パナソニック、ソニー、シャープなどの動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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