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日経記事;『米ミシシッピ州の逆襲 日本車で経済「カイゼン」』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

10月6日付の日経新聞に、『米ミシシッピ州の逆襲 日本車で経済「カイゼン」』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『米南部ミシシッピ州が産業発展の遅れた貧困州というレッテルの返上に動いている。原動力は日本の自動車産業。「日産とトヨタ。日本のビッグ2の双方に選ばれたのは我が州だけ」とブライアント知事は強調する。財政が破綻した米ビッグ3の本拠地、北部デトロイト市を反面教師に日本勢との蜜月を育んでいる。


北海道と九州を合わせた面積に300万人が暮らすミシシッピ州。中部マディソン郡で産業誘致の「生き字引」と言われる人物に会った。

ジョン・ワラス氏(78)。元空軍パイロットとしての豊富な海外経験を買われて1979年に郡の外資系製造業の誘致責任者に就いた。「まさに産業振興のゲームチェンジャー(局面打開)だった」。2003年の日産自動車の工場操業をこう振り返る。

「工場用地は十分にあり、労働力は安くて潤沢」。にもかかわらず実績が乏しく誘致活動は難航した。80年代にまずトヨタ自動車初の単独米国工場の誘致に動いたがケンタッキー州に敗北。90年代は欧州タイヤ大手なども候補にあがったが、不発に終わった。

だが努力が報われるときがやってきた。かつての候補だったタイヤ大手の仏ミシュラン。日産・ルノーのカルロス・ゴーン最高経営責任者は同社の北米事業の責任者を務めていた。「ゴーン氏の頭には我々の存在が残っていた」とワラス氏は推し量る。

ミシシッピ工場は日産の再建に乗り込んだゴーン氏の最初の攻めの一手でもある。機動的で柔軟な生産ラインはゴーン流。従業員3千人で始動したが、今や5千人を突破。セダンやミニバン、商用車まで10車種を組み立てている。

州当局によると、税制優遇やインフラ整備など費やした資金は累計4億ドルにのぼるが、日産は20億ドル超を投資した。日産は1人当たり年間所得が3万3千ドルと全米最低水準の州経済の復興のけん引役を担っている。

ブライアント知事は「我が州はプロビジネス(企業重視)を貫く」と語る。同州は州憲法で従業員の労働組合への強制加入を禁じる。強力な労組との折衝で体力をすり減らしたビッグ3とは異質な経営環境をアピールする。


州北部、人口3万人のテュペロ市の目抜き通りにあるツリー・オブ・ライフ診療所。医療保険に未加入の貧しい住民を対象に、医師や看護師、薬剤師らが無料で医療を提供する。ここに今年1月、トヨタの特別部隊が乗り込んだ。

毎月2回の診療日には徹夜組を含む100人前後の患者が殺到し、善意のボランティア側も疲弊していた。課題の解決へトヨタが注入したのは「カイゼン」のノウハウだ。

トヨタの助言で患者1人当たりの滞留時間は平均70分へと24分縮小した。診療所代表のポーリー・ベイリーさんは「残業が減りボランティアの負担も軽くなった」と話す。

トヨタの進出決定は07年。テュペロ工場は現在、カローラのフル生産体制を敷く。雇用や納税、寄付金にとどまらないきめ細かな地元貢献を加速するきっかけは、09年に発覚した大量リコール問題だ。

「ワシントンはいいかげんにしろ。トヨタは本質的にまじめな会社だ」。米連邦政府や議会、メディアの袋だたきにあい、トヨタは身動きが取れない状況に陥ったが、反撃に動いたのはミシシッピやケンタッキーなどトヨタが拠点を置く州知事たちだった。

「トヨタの存在は米国の国益そのもの」(当時の各州知事の共同声明)。米南部で築いた地元自治体と日系自動車メーカーとの理想的な協調関係がここにある。』


2009年から2010年にかけて、トヨタ自動車は、アメリカ市場でトヨタ車を運転中に発生した急加速事故について、事故の原因がトヨタ車にあると主張された結果、大規模リコールに発展しました。

その後、急加速問題の原因調査をしていた米運輸省・米運輸省高速道路交通安全局が2011年2月8日に行った最終報告で、トヨタ車の電子制御装置に欠陥はなく、急発進事故のほとんどが運転手のミスとして発表されました。

しかし、トヨタ自動車はその騒動の渦中に、さまざま政府機関や顧客による訴訟など多くのバッシングにあいました。

このトヨタバッシングの間、トヨタを擁護する政府機関や人びとがいました。政府機関・関係者では、本日の記事にありますミシシッピやケンタッキーなどトヨタが拠点を置く州知事たちでした。

アメリカで大規模なバッシングを受けているトヨタにとっては、貴重な支援者である団体でありました。

民間人では、トヨタの工場従業員やディーラーのセールスマンたちがトヨタ支持を表明し、トヨタの社長が連邦政府の公聴会に呼ばれた時も支持者が会場に駆けつけました。

当時のアメリカでのトヨタに対する悪感情の高まりがある中で、トヨタに対する一定の支持者が積極的に活動する姿に感動しました。

この時に、中小企業の海外進出を支援する者の一人として、過去にトヨタ、日産自動車、ホンダなどの自動車メーカーや、パナソニック、ソニーなどの電機機器メーカーなど、過去に海外進出をした企業のやり方を再認識する必要性を痛感しました。

東南アジアでは、タイに対する国内メーカーの進出方法が参考になります。電機機器や自動車などの国内メーカーがタイに進出開始してから、約50年経っています。

自動車の場合、タイ政府が1960年代初頭に産業投資奨励法を改正し,輸入税,営業税等の優遇措置を盛り込んだ輸入代替産業育成政策,完成車輸入への高関税を賦課したことに対応する外国メーカーの現地生産化(ノックダウン生産)が契機となって、国内メーカーが進出しました。

タイ人の勤勉性、労働者賃金の安さが魅力的でした。

国内メーカーは、タイ人を従業員として雇い入れ、日本国内の工場で作る商品と同じ品質・信頼性などをもつものの生産実現に努力しました。

このためにきちんとした従業員教育を行ない、彼らの習熟度を上げるようにしました。その結果、タイ国内工場で作る商品や部品の性能・機能・信頼性・品質などが、日本国内品と遜色ないものになり再輸出事業を拡大できました。

雇用も経営環境の激変や極端に低い労働者の能力などがない限り、雇用継続を保証しました。

自動車生産台数の増加と共に、部品メーカーも集まり出してさらに雇用機会を増やしました。この動きは、自動車だけでなく、電機機器でも同じように起こりました。

その結果、タイ人の労働者賃金も向上していき、タイ国内市場が消費者市場として成立するようになりました。

現在のタイでは、ほぼ失業率がゼロの状態になっています。

トヨタや日産だけでなく、多くの国内メーカーが同じように、従業員教育をしっかりと行ない、長期雇用を保証するやり方を取っています。

このやり方は、国内企業が海外進出をする時の強みの一つになっています。東南アジアでは、タイ以外の国々が、産業集積の進んだタイを目指して積極的に動いています。

国内企業は、すでに海外進出した多くの先輩企業のやり方をしっかりと勉強して、良いとこ取りしながら、自社にマッチした方法を立案・実行することが重要です。

単にモノマネしても上手くいきません。先輩企業が成功したやり方の背景や理由を学んで、自社に取り入れることが必要になります。

地元に愛され、地元から頼られる工場になると、安定的な信頼関係を地元で築くことが可能になります。

現在、多くの国内企業がASEANを中心とした海外進出を検討・実行しようとしています。先人たちが行った進出方法をしっかりと事前に研究して、必要な情報収集や分析も行ないながら、事業計画作成と実行を行なうことが成功するためのポイントになります。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁


 

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