日経記事;『ニッポンの製造業 新たな挑戦 日立製作所(上)世界のGDPと足並み』に関する考察 - 事業・企業再生戦略 - 専門家プロファイル

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
神奈川県
経営コンサルタント

注目の専門家コラムランキングRSS

対象:事業再生と承継・M&A

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

日経記事;『ニッポンの製造業 新たな挑戦 日立製作所(上)世界のGDPと足並み』に関する考察

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 事業再生と承継・M&A
  3. 事業・企業再生戦略
経営戦略 集中と選択;事業撤退

皆様、
こんにちは。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

9月29日付の日経新聞に、『ニッポンの製造業 新たな挑戦 日立製作所(上)世界のGDPと足並み』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。


『茨城県日立市。人口19万人の3割が日立製作所関連の従業員や家族という企業城下町に、転機が訪れる。

海外市場開拓へ中西社長は積極的にトップセールスをかける。

日本と同じ軌道

日立は三菱重工業と火力発電機器事業を来年1月に統合。創業以来の歴史を刻み、タービンなどを生産してきた「海岸工場」の建屋を切り出して新会社の傘下に入れる。転籍者は9千人程度になりそうだ。

誕生する新会社の出資比率は三菱重工65%に対し、日立35%。名門意識が強い日立には当然「大幅譲歩」への反対論が渦巻いた。だが中西宏明社長の危機感は強かった。「日本で何とかなる程度の事業ではだめ。世界で戦う体制をつくる」

日立が得意とする中小型ガスタービンは今後、中国勢との価格競争が避けられない。一方、三菱重工は大型品が主力であり、製品構成をフルラインに拡充できる。事業の火を絶やさないばかりか「顧客が求める製品と営業体制が築け、世界にまた一歩踏み込める」。

GDP(国内総生産)企業。日立はかねてこう呼ばれてきた。日清・日露戦争以降、「国づくり」そのものでもある電力・通信を柱とする日立の業績は日本のGDPと同じ軌道を描いた。

だが日本の成長は止まり、103歳の日立も東京電力やNTTグループの設備投資に依存した成長方程式が通用しなくなった。

そして2008年のリーマン・ショック。デジタル家電など弱い事業の赤字を電力・通信向け事業で補う「総合経営」が行き詰まり、09年3月期に製造業最悪となる7873億円の連結最終赤字を計上した。

「現金がみるみる減っていった」。当時社長だった川村隆会長は「会社は簡単に沈むものと感じた」と話す。日立はどん底を見た。

創業以来の出直しだった。増資で急場をしのぐ一方、上場5子会社を完全子会社化して少数株主への利益流出を抑え、赤字の元凶だったデジタル家電を縮小した。

業績は13年3月期まで3期連続で営業利益が4千億円を超えた。ただバブル期の最高益には届かず、売上高もピークの08年3月期より2割減った。赤字事業を切っただけの成長なき好業績だった。

縮んだ体を大きくするため世界に軸足を置き直す。中西社長が重視するのは上位取引先の大幅な入れ替えだ。

今月初め。経営陣は東京都内の本社でサウジアラビアの国営石油、サウジアラムコのハリド・ファリハ最高経営責任者(CEO)を出迎えた。石油掘削設備に不可欠な圧縮機を13年前から販売してきたが、最近ストレージ(外部記憶装置)の新規取引も内定した。

150人の精鋭部隊

日立の大口取引先の上位は現在も電力・通信大手やJRグループ、日産自動車など。だが今後はサウジアラムコや英豪リオ・ティント、英アングロ・アメリカンなどのグローバル企業60社にトップセールスをかけ取引規模を大幅に増やす。

中長期の目標は「海外売上高比率50%超」「2ケタの営業利益率」。中西社長はそう公言する。売上高が10兆円規模の日立には営業利益1兆円の大目標だ。だが「それができてこそ米ゼネラル・エレクトリック(GE)と勝負できる」。

東京・秋葉原の一角に今、150人の精鋭社員が集められている。「社会イノベーション・プロジェクト本部」。技術や文化、政策に通じ、日立の技術でどんな問題解決型事業を海外に提供できるかを練る社長直轄の「まだ見ぬ事業モデル発明部隊」だ。

目指すのは世界のGDPを追うHITACHI。その姿は製造業の新たな形を探る日本の縮図でもある。』


日立が三菱重工業と火力発電機器事業を2014年1月に統合する事項については、本ブログ・コラムでも取り上げました。

両社の得意とする火力発電用タービンのラインナップを中小型から大型まで揃えられますので、この事業統合は大きな「Win/Win」効果を生み出すことへの期待を書きました。

同時に、日立と三菱重工業という日本を代表する重電メーカー同士の大型事業統合の決断の背景には、超大手企業といえども得意分野をさらに専業化して、徹底的な差別化・差異化を実現することと、世界市場で事業展開しないと勝ち組みになれない事業環境になっていることも書きました。

本日の記事にあります、日立トップの中西社長のインタビュー内容から、全く同じ視点になっていることを確認できました。

国内電機機器メーカーの中で、日立と東芝はいち早く、集中と選択を行ないました。両社が他社に比べていち早く黒字化を達成しました。

その日立でさえ、現時点では赤字状態にあったデジタル家電の事業縮小で黒字化できたとの認識を示しています。

記事の中では、日立は世界のGDPを追うという表現をしています。GDPの意味合いは、社会インフラ、環境、エネルギーなどの事業分野を通じて世界市場でビジネスを行なうことと解釈します。

日立、三菱重工業、東芝などの総合電機機器メーカーは、上記社会インフラ、環境、エネルギー分野で各々強みをもっています。

特に、環境、エネルギー分野において、各社とも大きな強みをもっています。どの分野も世界市場でみますと、大きな潜在需要があります。

CO2排出量削減などの環境対応を行ないながら、電力などのエネルギー生成や送電などのインフラを構築・維持することができる装置・システム開発と、運用ノウハウに大きな強みをもっています。

世界市場には、米GEや独シーメンスなどの競合相手もいますので、そう簡単に勝ち組みにはなれませんが、一歩一歩世界市場で事業運営するノウハウ蓄積しながら、勝っていく積極姿勢が必要です。

国内勢は、各機器では技術的な強みをもっていますが、海外市場で大きく事業展開する経験やノウハウに関しては、GEやシーメンスなどの世界企業に後れをとっていることは否めません。

まずは、人口増加と市場拡大が続いているASEANを中心とした海外市場開拓に経営資源を集中して、社会インフラ、環境、エネルギー分野で事業展開することを薦めたいと考えます。

私が日立、東芝、三菱重工業、ソニー、パナソニックなどの大手電機機器メーカーの動きに関心をもっていますのは、これらの企業の事業展開のやり方が、中心企業にとって大いに参考になる部分があることによります。

例えば、以前、大手電機機器メーカーは、総合電機企業として家電商品から重電分野まで幅広く事業展開していました。

商品分野を幅広くもっていれば、事業拡大とある分野が赤字でも他分野の収益でカバーできることができたことによります。

しかし、海外勢特に、韓国、台湾、中国などのアジア企業が実力向上し、多くの競合商品が市場に流れて、国内勢の売上は、急減しました。

この2~3年で国内総合電機機器メーカーは、集中と選択を本格化して、赤字事業の撤退や清算、縮小、売却などを行なうことで赤字状態から脱しつつあります。

今後は、超大手総合電機機器メーカーといえども、徹底的な差別化・差異化を実現する商品分野に経営資源を集中して世界市場で事業しないと勝ち組みになれないことは明確になっています。

中小企業も同じです。徹底的な差別化・差異化を実現する商品をもっていても、国内市場だけに特化していると、事業拡大が難しくなっています。

日本は、生産年齢人口の減少により、市場が縮小していることによります。

中小企業が勝ち残っていくには、ニッチ市場で徹底的な差別化・差異化を実現する商品提供する必要があります。

ニッチ市場には、中堅・大手企業は参入しませんので、他の中小企業との競合に打ち勝てば勝ち組みになれます。

国内だけのニッチ市場に特化していると、飽和状態に直面します。事業拡大を望まなければ、国内市場に特化して安定した状態で事業展開ができることもあります。

一般的には、中小企業も事業拡大を積極的に考えるところが多くあります。そのような中小企業は、多くの場合、ASEANに熱い眼を注いでいます。

ASEAN市場を開拓することについて相談や質問を受けた場合、基本的に賛成しています。上記しましたように市場自体が拡大していることによります。

但し、進出した市場の顧客の要求仕様・機能・性能・価格に合った商品・サービスを提供できることが、前提条件になります。

日本国内で勝ち組みになった商品・サービスを、そのまま海外市場に適用しても多くの場合、上手くいきません。

進出前の十分な情報収集と事業計画作成を行ないながら、当該商品・サービスにマッチした販路開拓・集客を行なうことが必要であり、重要になります。

インターネットによる情報発信やネット通販の活用なども重要になります。

大手総合電機機器メーカーが、自社の強みを発揮できる特定の商品分野で海外市場開拓していくやり方も、中小企業に参考にしてもらっています。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

カテゴリ このコラムの執筆専門家

(神奈川県 / 経営コンサルタント)
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表

起業・企業存続の為の経営戦略立案・実行と、ビジネススキル向上

起業及び、事業拡大や経営合理化を目指す企業に対して経営コンサルを行います。大手メーカーで得た経験を活かし、補助金活用、アライアンスやM&A、市場分析に基づいた事業戦略策定・実行や事業再生を支援します。OJT研修でのビジネススキル向上を支援します。

カテゴリ 「経営戦略」のコラム

このコラムに類似したコラム

事業承継/知的資産経営フォーラムが開催されます 濱田 浩三 - 事業承継アドバイザー(BSA)(2014/11/17 11:00)

2月26日『中小企業支援フォーラム』が開催されます 濱田 浩三 - 事業承継アドバイザー(BSA)(2014/02/09 20:48)