「良い」「悪い」という他人の批評はどれくらい役立つか - 建築プロデュース - 専門家プロファイル

松岡 在丸
松岡在丸とハウジング・ワールド 
東京都
建築プロデューサー

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対象:住宅設計・構造

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「良い」「悪い」という他人の批評はどれくらい役立つか

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住宅に限ったことではありませんが、ある国、ある文化、ある人種、ある商品について、「良い」「悪い」と様々な意見が述べられますが、一体、どうして同じものなのに正反対の反応が見られるのでしょうか。

ある住宅メーカーで家づくりをした人は「この住宅メーカー良かった! 成功した!」と言い、同じ住宅メーカーに発注した別の方は「この住宅メーカー、悪かった。失敗した!」と言います。

結果的に見れば、どっちも正解ですよね。要するに、いい思いをしたか、いやな思いをしたか、の違いだからです。

「日本はいい国だ」と思う人は、日本でいい思いをしている。

「日本はあまりいい国ではない」と思う人は、日本でいい思いをしていない。

本屋さんに行けば、日本はいい、日本は悪い、と様々な書籍が売られていますが、結局は、その意見を述べる人にとって、自分がいい思いをしていれば「悪くないな」と思えるわけですし、嫌な思いをしていれば「良くない国だな」と考える。

これって公平なことでしょうか。正しい判断なのでしょうか。


それなら家づくりはどうやって判断するの?

住宅メーカーや工務店、建築業者の「良し悪し」を、他人の感想で判断するのは止めましょう

評判というのは一人、二人の意見で決まるものではありませんが、宣伝力や発言力、そして誰を味方に付けるかということでいくらでも操作できるものです。

あなたが家づくりのために業者を選ぼうとするのであれば、あなたが建てたいと思っている実在する家を探して、その技術を持っている業者を見つけてください。

お友達の家を見て、「この家、いいなぁ」と思ったら、どうしてその家がいいと思ったのか、そしてその家を建てる技術を持っている業者はどこなのか、という観点で探すことです。その家がいい家だったからという理由で、必ずしも同じ満足度を得られるわけではありません。

土地が異なり、プランが変われば、満足度は必ず変わります


家づくりを始める前に、何百棟もの家を見るつもりで

素人とプロの違いの一つは、目にしている物件の数です。

プロは見る部分が異なります。特にプランナーの場合、その建物の意匠性よりも、住みやすさや使いやすさに注目します。どんなにきれいに見えても、住みづらかったら意味がありません。

外観を見るだけで、「あ、あの素材だと数年後にはボロボロになる」ということもすぐにわかります。素人には、家を見るだけで「築○年」はすぐには分かりませんよね? たった2年でボロボロに見えてしまう家というのもあります。逆に、10年経っても新築のような魅力を保っている家もあります

プロは素材もしっかり見ますし、過去の失敗から学んで次の成功を生み出します。小さな失敗レベルをなるべくたくさん改善している建築業者が良いでしょう。住んでいるユーザーが気付いていない「小さな失敗」から学び、日々、精進している建築業者はたくさんいます

規格住宅の場合は、ユーザーの反応で次の戦略を考えます。もしユーザーの考え方が素人的で浅いものだったとしても、ユーザーが喜ぶ建物を追求してしまうのが規格住宅メーカーです。大々的に宣伝して、「今、ユーザーの中ではこれが人気です!」と営業マンは話しますが、売れなくなると、まったく逆のことを言い始めるものなのです。

営業マンはそれほどたくさんの「家づくり」には関わってはいません。お客様とは関わっているかもしれませんが、家づくりのことが分からなくても営業はできますし、評判も作れますし、ユーザーの感想を操作することもできる、と考えてください。

 

もし、あなたが「自分の家づくりでは成功したい!」と考えるのであれば、間違っても他人の反応で選んでしまってはならないのです。

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