- 村田 英幸
- 村田法律事務所 弁護士
- 東京都
- 弁護士
対象:労働問題・仕事の法律
派遣会社のマージン率などの情報提供派遣料金の明示
【関係者への情報公開】
労働者や派遣先となる事業主がより適切な派遣会社を選択できるよう、インターネットなどにより派遣会社のマージン率や教育訓練に関する取り組み状況などの情報提供が義務化される。
改正後の労働者派遣法第23条第5項の「関係者」とは、具体的には、派遣労働者、派遣労働者となり得る者、派遣先、派遣先となり得る者等が想定される。
【派遣労働者への明示】
雇入時、派遣開始時、派遣料金額の変更時には、派遣労働者の「労働者派遣に関する料金額(派遣料金)」の明示が義務化される。
<明示すべき派遣料金(次のうちいずれかを明示)>
[1]派遣労働者本人の派遣料金
[2]派遣労働者が所属する事業所における派遣料金の平均額(1人あたり)
<明示の方法>
書面・FAX・電子メールのいずれか
【派遣料金額の明示について】
・労働者に明示する派遣料金額を「当該事業所における派遣料金額の平均額」とする場合について、明示すべき額は当該事業所に所属する全派遣労働者の全業務平均の額でも足り、必ずしも業務別に分けて計算する必要はない。
・派遣料金額を明示する場合の金額の単位(時間単位・日単位・月単位等)には、制限がない。
【マージン率】
派遣会社の手数料(マージン)=派遣先企業が派遣会社に支払う料金―派遣会社が派遣労働者に実際に支払う賃金
マージン率=(派遣料金の平均額―派遣労働者の賃金の平均額)÷派遣料金の平均額
派遣会社のマージンには、以下の費用などが含まれている。
<含まれている費用の例>
マージン率はその他の情報と組み合わせて総合的に評価することがポイントである
・派遣会社が負担する社会保険料(厚生年金保険・健康保険)
・派遣会社が負担する雇用保険料・労災保険料
・有給休暇に関する負担分
・派遣会社での教育訓練費・福利厚生費
・派遣会社の社員の人件費
・営業利益
マージンには、社会保険料、労働保険料、福利厚生費や教育訓練費なども含まれているので、マージン率は低いほどよいというわけではなく、その他の情報と組み合わせて総合的に評価することが重要である。
【公開の時期について】
派遣会社のマージン率や教育訓練に関する取組状況などの公開は、平成24年10月1日以降に終了する事業年度が終了した後、改正労働者派遣法の施行後に終了する事業年度分からの公開が義務付けられているため、平成24年10月以降、すぐに全ての派遣会社についての情報を確認できるようになるというわけではない。例えば、事業年度の終了が3月末の派遣元事業主であれば、平成25年4月以降速やかに公表する必要がある。
【マージン率等の情報提供について】
・いわゆるマージン部分(派遣料金と賃金の差額部分)について、労働者や派遣先に正確な情報を提供する観点から、教育訓練費や法定福利費・法定外福利費等に分けて情報提供する取扱いでも差し支えない。いずれにせよ、情報提供の際には、マージン率のみならず、教育訓練やその他参考となると認められる事項(福利厚生等)についても可能な限り分かりやすく記載することで、派遣元事業主の取組が労働者や派遣先等に正確に伝わるようにすることが重要である。
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