起業して何が嬉しいかと言って、最初のお客さんから、料金を貰うときほど嬉しいことはありません。何とも恥ずかしい気持ちと、やっと起業で売り上げたという、晴れ晴れとした気持ちとがごちゃごちゃになって、こればかりは起業を経験したことのある人でないと判りません。
この状態が連日続いて、日々売上げが伸びているときは、仕事も楽しいですし、やりがいを感じることもできます。経営者にとっては、起業して良かったと実感する時でもあります。問題は、売上げの伸びに比例して、それだけの利益も上がっているか、どうかです。
経営セミナーなどでも、売上げ大幅アップのセミナーはいっぱいあります。しかし、利益を増やすためのセミナーはあまり見かけません。これは、講師の関係で、営業や販売の専門家は売り上げ増を主張します。利益を増やすとなりますと、会計士や税理士の分野で、こちらは大手企業向けのセミナーになります。
会社の業績を良くするためには、売上最大化です。同時に、経費最小化の努力もしなければ、大きな利益には結びつきません。売上げを増やしながら、一方ではいかに経費を減らすか、経営のキモです。忙しいばかりで、いつまでも利益がでないと、経営者も従業員もストレスが貯まります。
東日本大震災の後に、このような経験をした会社が増えました。多くのメーカーは材料が不足したため、従来のラインアップでは商品の供給が困難になりました。そのため、製造する商品を絞り込んで生産したところ、経営的に生産性が上がり利益が高くなりました。
パンや加工食品のメーカーの中には、期せずして経費削減と生産性向上が図られることになりました。売上げを上げることばかりでなく、経費を削減することが会社にとっていかに大切か、大震災で生産が難しくなった結果、意図することなく知らされました。
起業すると、どうしても売上げばかりに目が向きがちです。古くからの経営者の中には、売上げさえ上がっていると、何とかなるという人も少なくありません。現代の経営は、まず利益を上げることから始まります。売上げだけでは、会社が安心して継続することが難しい時代になっています。
【一言】
「日本人は世界で一、二を争うほど働きすぎ。それなのに労働生産性が低く、経済状況もよくない」 アパレル通販サイト「ゾゾタウン」を運営するスタートツゥデイの前沢友作社長の発言です。同社は働き方を根本から見直す方針で、昼休みをなくして一気に一日6時間労働の実現を目指しています。お日様の出ている時間に帰宅できることを目標にしています。
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