不思議に思っていましたら、東京新聞の記事にこんな話が載っていました。「風立ちぬ」主人公のモデル 堀越二郎さんの終戦日誌が発見され、その内容が公開されました。彼は、戦争の原因を「日本の軍部とそれと結ぶ政治家が外交で平和的に打開せず武力に訴えるところまで短気を起こしたことが戦争の近因ではなかったか」
「戦勝国民も日本国民もこの反省がなければ、日本の前途には長期にわたる経済、道徳の混乱が続くだろう」 その上で、「日本に壊滅をもたらした政策を指導してきた者が全部去らなければ腐敗の種は残る。『誠実にして叡智(えいち)ある愛国の政治家出(い)でよ』。これが願いである」と書いてあるそうです。
ご承知のように、安倍首相の祖父岸伸介は開戦に突き進んだ東条内閣の商工相でした。まさに、「日本に壊滅をもたらした政策を指導してきた者」の一人です。岸伸介は戦後になって首相も務め、憲法改正によって自主憲法を提唱しています。安倍首相が郷里で墓参りをしたとき「憲法改正に向けて頑張っていく。それが私の歴史的な使命だ」と言っています。
戦争を一国民として経験した人のほとんどは、自民党が進める憲法改正をとんでもないことと思っています。憲法改正の先には、国防軍増強と戦前の社会秩序への回帰があります。戦後の日本社会は、ドイツとは違って、この国に戦争をもたらした指導者に寛容でした。東京裁判とは別に、日本人自身が戦争指導者を罰することはしていません。
誤りをしっかり正さない社会は、同じコトを何度も繰り返します。今まさに、堀越さんが危惧した、腐敗の種が残って、再び幹を育てようとしています。戦争を経験した国民は、誰もが二度と戦争は起こさせないと言います。しかし、戦争指導者だった連中は、今度こそヘマはしない方法を子孫に伝えているような気がしてなりません。
【一言】
集団的自衛権が認められると、中東の反政府勢力に日本攻撃の口実を与えることになります。百田直樹著「海賊と呼ばれた男」のテーマですが、戦後直ぐにわが国の出光石油は、欧米の石油メージャーに対抗して、イランからガソリンを買い付ける快挙を成し遂げています。その後、先進国ではわが国は中東諸国と独自の友好関係を結んでいます。この関係を壊してまで集団的自衛権を主張すると、今後は反政府勢力の格好の標的になりそうです。中東に経営者を引き連れていくほどビジネスを考えるなら、自分から戦火の臭う場所に近づかないことです。
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