労働協約 - 労働問題・仕事の法律全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
弁護士
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労働協約

 

労働協約とは、「労働組合と使用者又は使用者の団体との間の労働条件その他に関する協定」である。(労働組合法14条)。

労働協約は、書面に作成し、労使の両当事者が署名又は記名押印することによって、その効力を生ずる(労働組合法14条)。

労働協約は、3年をこえる有効期間の定めをすることができない(労働組合法15条)。

 

労働協約に定めることができる事項

・労働条件(労働時間など)

・労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は交渉することを使用者が許すこと(労働組合法5条2号ただし書前段、7条3号ただし書前段)

・厚生資金又は経済上の不幸・災厄を防止し、若しくは救済するための支出に実際に用いられる福利その他の基金に対する使用者の寄附(労働組合法5条2号ただし書後段、7条3号ただし書後段)。

・最小限の広さの労働組合の事務所の供与(労働組合法5条2号ただし書後段、7条3号ただし書後段)。

・労働組合が特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約(ユニオン・ショップ協定)(7条1号ただし書)。

・労働組合費のチェックオフ(労働組合員の給料から労働組合費を天引きすること)。賃金全額払いの原則(労働基準法24条1項)に違反しない。

「当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる」(労働基準法24条1項ただし書)。

 

(交渉権限)

第6条  労働組合の代表者又は労働組合の委任を受けた者は、労働組合又は組合員のために使用者又はその団体と労働協約の締結その他の事項に関して交渉する権限を有する。

 

  労働組合法 第3章 労働協約  

労働協約の効力の発生)

第14条  労働組合と使用者又はその団体との間の労働条件その他に関する労働協約は、書面に作成し、両当事者が署名し、又は記名押印することによってその効力を生ずる。

労働協約の期間)

第15条  労働協約には、3年をこえる有効期間の定めをすることができない。

  3年をこえる有効期間の定めをした労働協約は、3年の有効期間の定めをした労働協約とみなす。

  有効期間の定めがない労働協約は、当事者の一方が、署名し、又は記名押印した文書によって相手方に予告して、解約することができる。一定の期間を定める労働協約であって、その期間の経過後も期限を定めず効力を存続する旨の定があるものについて、その期間の経過後も、同様とする。

  前項の予告は、解約しようとする日の少なくとも90日前にしなければならない。

 

 

○労働協約の効力

(労働協約に定める基準の効力)

第16条  労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準に違反する労働契約の部分は、無効とする。この場合において無効となった部分は、(労働協約に定める労働条件の)基準の定めるところによる。労働契約に定めがない部分についても、同様とする。

(注)労働協約に定める労働条件が労使間で直接効力を有するので、「労働協約の直律的効力」という。

 

(労働協約の一般的拘束力)

第17条  一の工場事業場に常時使用される同種の労働者の4分の3以上の数の労働者が一の労働協約の適用を受けるに至ったときは、当該工場事業場に使用される他の同種の労働者に関しても、当該労働協約が適用されるものとする。

 

また、地域的な労働協約の一般的拘束力について、18条が定めているが、現在では実例はほとんどない。

 

余後効

・労働協約が効力を失った場合、その後も、労働協約に定めた労働条件どおりの効力(余後効)が労使間で存続するかについては、裁判例はおおむね肯定するが、労働協約失効後の事情の変更などにより、否定する裁判例もある。

 

・団体交渉で、労使の議事録への会社の記名押印が求められることがあるが、上記のように書面で作成され、労使が記名押印すると、労働協約とみなされるおそれがあるので、当事者は安易に作成に協力すべきではない。

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