日経記事;『ニッポンの製造業 新たな挑戦 トヨタ自動車(上) 日本でこそ強くなる』に関する考察 - アライアンス・事業提携 - 専門家プロファイル

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
神奈川県
経営コンサルタント
専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

日経記事;『ニッポンの製造業 新たな挑戦 トヨタ自動車(上) 日本でこそ強くなる』に関する考察

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 新規事業・事業拡大
  3. アライアンス・事業提携
経営コンサルタントの活動 アライアンス(連携・提携)支援

皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

8月4日付の日経新聞に、『ニッポンの製造業 新たな挑戦 トヨタ自動車(上) 日本でこそ強くなる』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『愛知県豊田市にあるトヨタ自動車の本社で今、法人税の納付に向けた準備が進む。納税は5年ぶりだ。

揺るがぬルール

トヨタには揺るぐことのない決まり事が20年前からある。子会社などが海外で稼いだ売上高の6%前後をトヨタに技術料として支払うルール。その額は2012年度で約4千億円に達している。日本は法人税の実効税率が主要国で2番目に高い国。だがそれでもトヨタは日本に戻すという。

リーマン・ショック、東日本大震災、超円高。それらを越え、再び世界で勝ち進もうとするトヨタがこだわるのは意外にも日本だ。

世界では米国のアップルやグーグルが国境を越えて稼ぎ、アイルランドなどの低税率国に利益を集中させる。日本企業でも日産自動車は海外で上げた利益を原則国外に再投資し始めた。

豊田社長は「自動車は地域や社会が潤って初めてつくれる」と話す。
 
トヨタはなぜ日本か。豊田章男社長は「自動車は一つの企業でつくるものではない。地域や社会が潤って初めてつくれる」と話す。

新体制が発足した4月、トヨタは「国内で年間300万台の生産を続ける」と改めて宣言した。「大台を割れば競争力が阻害されるとの強い危機感がある」と日本を含む先進国担当になった小沢哲副社長は話す。

トヨタの14年3月期の連結税引き前利益は2兆300億円とリーマン・ショック前の最高益の約8割まで改善する。その原動力は5年で1兆5千億円に及ぶ原価改善。司令塔は日本だ。

先端技術開発も同じ。ハイブリッド車や燃料電池車の開発は豊田市を中心にトヨタや部品会社に従事する数万人の総力であたる。そうした雇用は300万台を維持してこそ生まれ、「歴史的にも意味を持つ数字」(小沢氏)という。

「普通の社員一人一人が1千万円プレーヤーをめざす町」。製造業就労人口の8割が自動車関連で働く豊田市をトヨタはこう呼ぶ。1億円でないのがミソだ。

トヨタを支えるのは下から上がるボトムアップの提案。黙々と働き、環境変化に対応する組織の集積は海外では容易につくれない。「日本にいることこそ競争力」と豊田社長は言う。

トヨタが豊田市の元町工場で初代「クラウン」の生産を始めたのは1959年。その年、挙母市から改名し発足したのが豊田市だった。人口は現在42万人。当時の2.8倍に膨らんだ。

一方、同じ59年に人口がピークを迎えたのが、ゼネラル・モーターズ(GM)の本社がある米デトロイト。同市は7月に財政破綻した。安価な労働力を求め、GMなどが工場を米南部や海外に移し、市の人口が3分の1近くに減った。

「廃虚にしない」

「豊田市を廃虚にしてはならない」。豊田章一郎名誉会長は約10年前、世界的な紡織機会社、プラットのあった英国の町を訪れ、こう決心したと話す。

同社は日本の発明王、豊田佐吉が開発した織機の特許を売却した会社。トヨタはその資金で誕生した。だが目にしたのは荒廃したプラットの跡地と町並みだった。

「リーマン・ショック以上の危機があっても利益を上げ続ける」と豊田社長は言う。トヨタは最近、国内工場で為替が1ドル=80円台でも米工場と同じ競争力を持つための原価低減を進める。生きていく場所はあくまで日本に求める構えだ。』


本日も昨日に続いてトヨタ関連記事でブログ・コラムを書きます。

昨日に書きましたように、トヨタの2014年3月期の連結税引き前利益は2兆3千億円となり、リーマンショック前の最高水準の8割まで戻します。

米国やASEAN市場での販売好調と、円安効果で収益改善が進みました。本日の記事によると、トヨタの日本市場重視のポイントは以下のようになります。

・海外子会社の売上の6%前後をトヨタ本社に技術料として払う。当該技術料は、2012年度で約4千億円になるとのこと。
・この技術料を本社開発費用などに充てる。
・日本国内で年間300万台の生産を続ける。
・本社がある豊田市周辺の子会社や関連企業と共同で開発・実用化を進める。
・国内工場で為替が1US$、80円になっても米工場と同じ競争力をもつための原価低減を進める。など

豊田市は、トヨタの企業城下町です。私も何回か訪問したことがあります。完全なトヨタの城下町で、素材、部品などの子会社や関連企業が数多く存在しており、トヨタ自動車のための産業集積が高度に進んでいます。

ハイブリッド車や次世代環境対応車である水素自動車の開発・実用化には、最新の技術、素材、部品などが必要になります。

トヨタ本体と子会社や関連企業が近隣に集まっていることは、開発・実用化行為の高効率化、迅速さを加速させます。

自動車は、すそ野の広い産業ですから、新商品開発・実用化は、幅広い企業群との緊密な協力・連携作業が必要であり、一地域への産業集積はその行為を容易にします。

多くの国内製造事業者は、海外市場を開拓しないと収益の確保・拡大が難しい状況になっています。

海外勢との競争も激しくなっていますので、海外市場で勝ち組みになるには、当該市場の近いところで、現地顧客の要求仕様・機能・性能・価格に合った商品を開発・生産する必要があります。

このため、多くの国内企業は、海外子会社に開発機能を分散化して、対応しています。トヨタも同じことをしていますが、徹底していることは、海外子会社の売上の一部を技術料として、本社に還元させていることです。

通常は、海外子会社が現地で生産した商品を販売すると、国内本社の売上になりません。本社は、国内市場の売上から、経費や開発コストなどを賄うことになります。

この場合、海外子会社の売上が伸びた結果、連結売上では収益拡大が図れますが、本社の収益拡大には寄与しません。

多くの国内企業は、トヨタのように技術指導料や経営指導料などの名目で、本社に売上の一部を還元させています。

トヨタは、他社よりもその売上還元をより一層徹底しているとの印象をもっています。また、国内生産・販売で年間300万台の規模を維持しようとする方針も、国内での産業集積を維持・強化することが目的になっています。

このやり方がトヨタの競争力向上を維持できると確信していることによります。

中小製造業者の場合、トヨタと同じやり方はできません。しかし、トヨタの産業集積を大事にする姿勢は大いに学ぶことができます。

中小製造業者が多く集まる、東京都大田区や墨田区などの地域では、中小企業同士が自然に連携・協力して、開発や生産の分業を行なわれています。

これは、産業集積しているからできることです。さらに、最近中小企業の中で、得意分野に特化して、設計、開発、生産などの専門企業として、差別化・差異化を図っている企業が多くなっています。

お互い得意分野に特化して、連携・協力して、設計・開発・生産の一連のプロセスを行なって行くケースが増えています。

インターネットや3Dプリンターの普及は、近いところに関連企業がいなくても、中小企業同士の連携・協力を容易にしています。いわば、一種のバーチャルな産業集積になります。

中小企業は、トヨタのような大手企業と同じやり方はできませんが、関連企業と密に協力して、コスト削減も含めて、得意分野で連携・協力していくことで競争力向上が図れます。

いずれのケースでも、日本国内に産業集積機能を残すことが、国内製造業の競争力向上の要因の一つになります。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁


 

カテゴリ このコラムの執筆専門家

(神奈川県 / 経営コンサルタント)
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表

起業・企業存続の為の経営戦略立案・実行と、ビジネススキル向上

起業及び、事業拡大や経営合理化を目指す企業に対して経営コンサルを行います。大手メーカーで得た経験を活かし、補助金活用、アライアンスやM&A、市場分析に基づいた事業戦略策定・実行や事業再生を支援します。OJT研修でのビジネススキル向上を支援します。

カテゴリ 「経営コンサルタントの活動」のコラム

このコラムに類似したコラム

あっという間の失速。日本電産の決算見通し発表 下村 豊 - 経営コンサルタント(2013/01/25 04:41)

日経記事;"ニコン,インテルから開発費次世代半導体製造装置"考察 山本 雅暁 - 経営コンサルタント(2012/08/08 09:50)

日経記事;シャープ,奇美と提携 液晶パネル生産分担 に関する考察 山本 雅暁 - 経営コンサルタント(2011/02/05 07:22)

日経記事;日立,台湾/鴻海と液晶合弁 中小型で連合 に関する考察 山本 雅暁 - 経営コンサルタント(2010/12/27 11:58)