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日経記事;『スマホ電池,容量10倍 信越化学が新材料 3~4年後量産 長時間利用,開発競争が加速』に関する考察

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皆様、
こんにちは。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

8月1日付の日経新聞に、『スマホ電池,容量10倍 信越化学が新材料 3~4年後量産 長時間利用,開発競争が加速』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『信越化学工業はスマートフォン(スマホ)や電気自動車(EV)に搭載するリチウムイオン電池の新材料を開発した。電池で蓄えられる電気の量を最大10倍に増やせるため、スマホの使用時間を延ばしたり、電池を小型にしたりできる。

3~4年後に量産し、国内外の電池大手に供給する方針だ。次世代電池材料の開発では日本の素材企業が先行している。信越化学の参入でより多くの電気をためる技術の開発が加速しそうだ。

信越化学が開発したのは電池内で電気を蓄えるために必要なシート状の材料。現在は炭素系材料が使われているが、同社は半導体ウエハーで培った技術を活用しシリコンで代替する。

シリコンは炭素系に比べ価格は大幅に高いが、電気を10倍程度蓄える特性がある。スマホに搭載すれば長時間使え、頻繁な充電の煩わしさの解消につながる。

信越化学は試作品を開発し国内外の電池メーカーに出荷を始めた。2014年までに群馬県安中市に電池材料の実験施設をつくる。

隣接するコンタクトレンズ材料の工場と合わせて投資額は約100億円。使用時の材料の変形による劣化や生産コストなど、量産に向けた課題を電池メーカーなどと協力して克服する。

民間調査会社の富士経済(東京・中央)によるとリチウムイオン電池の世界市場は17年に12年比5割増の1兆7千億円に拡大する見通し。韓国のサムスンSDIやパナソニックが強い。

こうした電池に使われる材料では日本の素材メーカーが世界で5割近いシェアを持つ。日立化成は合金を使って電池容量を増やす技術を開発している。容量だけでなく、発火などのリスクを抑える技術でも日本勢は優位を保つ。住友大阪セメントなども新技術の開発を進めている。

中国や韓国勢も技術力を高め攻勢をかけている。市場で主導権を握るには、信越化学のような新素材の開発が欠かせない。スマホ開発を競う情報機器メーカーなどと素材大手が連携し、グローバルな開発競争を繰り広げることになりそうだ。

スマホは世界で年間7億台出荷され、パソコン代わりに業務などで使う利用者も増えている。そのため容量の大きい電池の開発ニーズは高い。』


リチウムイオン電池は、ソニーが世界で初めてノートパソコン用途の小型バッテリーとして、商品化・量産化に成功しました。

その後、多くのリチウムイオン電池は、ノートパソコン、携帯電話、スマホ、タブレット端末などに使用されています。

記事にありますように、小型リチウムイオン電池の2012年の世界出荷シェアで韓国のサムスンSDIがパナソニックを上回り、初めて年間首位になりました。

サムスンSDIが25.1%、パナソニックが20.7%で残念ながら世界シェアの低下になっています。その他の企業ごとのシェアでは、 韓国のLG化学は0.2ポイント低下の16.0%で前年に続き3位、ソニーも0.8ポイント低下して7.7%となりました。

リチウムイオン電池は、家庭用だけでなく、多くの産業用途でも使用される場面や数量が拡大していきますので、パナソニックやソニーなどの国内企業の巻き返しを期待しますが、現時点では難しい状況になっています。

韓国勢や中国勢が、現行のリチウムイオン電池のコスト削減を積極的に行なっており、販売価格が下がり続けているためです。

現行商品は、ますます汎用化していきますので、現行品で勝負しようとすると、価格競争に勝つため、材料の調達コストや製造コストを大幅に削減するために海外での製造を積極的に行なう必要があります。

海外での製造には、技術流出のリスクが伴いますので、海外生産する場合には現行のリチウムイオン電池に限定して行なうことが重要です。

リチウムイオン電池の用途は、拡大し続けています。例えば、小型端末機器以外の用途では、電気走行の割合が大きいプラグインハイブリッド車(PHV)や、モーターだけで走る電気自動車(EV)など次世代の環境対応車向けにはリチウムイオン電池が使用されています。

また、一時金火災トラブルがありましたが、GSユアサの産業用リチウムイオン電池は、米ボーイングの最新鋭機「787」や鉄道車両などに使われています。

当面の間、リチウムイオン電池は、産業を支えるインフラの一つとして、重要な位置を占めていきますので、国内企業が当該事業分野の世界市場で勝ち組みになることはとても重要です。

上記しましたように、小型端末機器用のリチウムイオン電池は、現行品では汎用化していきますので、液晶テレビと同じように、価格競争に巻き込まれて、国内企業は消耗します。

国内企業は、汎用化した事業領域で価格競争に勝てない見込みをもった場合、その市場に固執しないことが重要になります。

リチウムイオン電池は、現在発展途上の商品であり、今後の用途拡大に沿って、さまざまな材料や技術の研究・改良が行なわれていきます。

特に、付加価値の大きい事業分野で勝ち組みになることが重要になります。本日の記事では、信越化学がリチウムイオン電池で蓄えられる電気の量を最大10倍に増やすことができるシート状の材料を、シリコンで実現するやり方に目処をつけたとあります。

シリコンは、元素の一つケイ素の別名。石や土の主成分で地表に多く存在しますので、国内でも安く調達できます。

但し、現時点では、シリコンは炭素系に比べ価格は大幅に高いとされています。量産化が進めば、シリコンの調達コストは下がるとみます。

記事には、信越化学のほかに、日立化成や住友大阪セメントの新規開発の動きが書かれています。上記企業以外にも、宇部興産や三菱化学などが電池を構成する電解液の開発・改良を進めており、電池材料の一つである正極材の大手である戸田工業も同様に開発・改良を重ねています。

国内材料メーカーは、リチウムイオン電池の主要材料や部品の分野で常に世界最先端を進んでいますので、パナソニック、GSユアサ、ソニーなどの国内電池メーカーと強固な連携を組んで、産業用途などでの新規開発・事業化をオールジャパン体制で行なうことを期待します。

この視点からリチウムイオン電池業界の動きについて、注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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