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村田 英幸
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(弁護士)
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閲覧数順 2016年12月02日更新

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日経記事;『ルネサス、山形の最先端工場を閉鎖 15年度にも システムLSI』に関する考察

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経営戦略 集中と選択;事業撤退

皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

7月27日付の日経新聞に、『ルネサス、山形の最先端工場を閉鎖 15年度にも システムLSI、台湾勢にコスト競争及ばず』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。


『ルネサスエレクトロニクスは2015年度にも、システムLSI(大規模集積回路)の主力生産拠点である鶴岡工場(山形県鶴岡市)を閉鎖する方針を固めた。

東芝や富士通など同様の最先端工場は国内に6カ所あるが閉鎖は初めて。生産に特化した台湾メーカーにコスト競争で及ばず、システムLSIの国内生産は縮小均衡が鮮明になってきた。

システムLSIは演算や画像処理に用いる半導体。回路を形成するウエハーが大きいほど効率的な生産が可能で、現在は直径300ミリメートルが最大。

国内ではルネサスの鶴岡工場や富士通の三重工場(三重県桑名市)、東芝の大分工場(大分市)などがある。鶴岡工場ではチップ1個で複数の情報処理ができる最先端品を量産するが、主力のゲーム機向け需要が落ち込み採算割れとなっている。

ルネサスは昨夏、同工場を1年以内に売却する計画を策定。半導体受託生産会社(ファウンドリー)最大手の台湾積体電路製造(TSMC)などと交渉したが、合意できなかった。

鶴岡工場で働く約1千人の従業員は早期退職の実施やグループ内の配置転換で対応する。ルネサスはさらに拠点閉鎖や人員削減などを実施する公算が大きい。

ルネサスは9月末までに政府系ファンドの産業革新機構やトヨタ自動車などから1500億円の出資を受けて再建を目指す。当初、システムLSI部門について富士通、パナソニックとの事業統合を検討したが断念した経緯がある。』

また、同日付の日経新聞に、『日の丸半導体、スマホ対応で明暗 ルネサス出遅れ』のタイトルで関連記事が出ています。 以下の内容になります。

『日本の半導体メーカーは急成長するスマートフォン(スマホ)向けの需要増の対応で明暗が分かれた。システムLSI大手のルネサスエレクトロニクスや富士通は家電やゲーム機に強いがスマホは出遅れ、米クアルコムの牙城だ。半導体メモリーを手がける東芝やエルピーダメモリはスマホ市場拡大の流れに乗り、投資を再開した。

ルネサス鶴岡工場では主に任天堂の家庭用ゲーム機「Wii(ウィー)」に使うシステムLSIを生産する。しかしスマホでゲームを楽しむ人が増え家庭用ゲーム機は需要が低迷気味。そのあおりで鶴岡工場の稼働率も落ち込んでいた。

開発から生産まで一貫して手掛けるルネサスに対し、クアルコムなどは開発に専念。生産は半導体受託生産会社(ファウンドリー)に任せ、スマホなど新製品向けシステムLSIの開発で日本勢を先行した。

日本でも堅調なスマホ需要の波に乗った半導体メーカーは増産投資に乗り出す。東芝とエルピーダはスマホのデータを記憶させる半導体メモリーを手がけている。東芝は主力の四日市工場(三重県四日市市)に約300億円を投じて先端製品を増産する計画だ。

エルピーダも台湾で増産投資を再開した。両社とも米アップル向けで高いシェアを持つほか、中国メーカーからの引き合いも強まっている。』


本日の二つの記事は、ルネサスエレクトロニクスの合理化について書いています。ルネサスは、以前に経営が破たんしており、政府が中心となって経営再建を進めています。

具体的には、記事にありますように政府系ファンドの産業革新機構を中核に大手顧客であるトヨタ自動車や日産自動車、あるいは、ケーヒン、デンソー、キヤノン、ニコン、パナソニック、安川電機の主要取引先8社から合計、1500億円の出資を受けます。

革新機構が1383億円を出資し、上記企業が計117億円を出資します。出資期限は、今年9月末とされます。

革新機構や顧客企業がルネサスを支援するのは、ルネサスが車載用や産業用のマイコンなどのいわば製造業を支える基盤の一つとなる半導体を開発・製造していることによります。

今までの新聞記事などから、ルネサスの再建には幾つかの危惧が出されています。その一つは、ルネサスの寄り合い所帯経営です。

寄り合い所帯経営の最大の課題は、明確な経営方針の作成と早期実行が難しいことです。今のルネサスは、集中と選択や事業撤退を果敢に行なう必要があります。

半導体産業は、変革の速度が速く、半導体を使用する機器も常に大きな変化に直面しています。ルネサスの半導体が国内産業界を支える基盤の一つだとしても、赤字状態の事業は、先行き不透明であれば早期に整理や撤退することが基本です。

本日の記事は、システムLSIの主力生産拠点である鶴岡工場の閉鎖について書いています。このシステムLSIの顧客は、ゲームメーカーです。

かって、ソニーや任天堂などの国内企業がゲーム機やソフトで世界を席巻した市場環境は、大きく変化しています。

スマホやインターネットの高速普及で、消費者はゲーム専用機を買って、専用のゲームソフトを楽しむことを止めてしまいました。

スマホでネットからダウンロードする、あるいは、クラウドサービスでゲームを楽しむのが一般的になりつつあります。

ゲーム機と専用ソフトで収益を上げるビジネスモデルが、縮小傾向にあり無くなりつつあります。

このような事業環境下で、ゲーム機に使用されるシステムLSIを供給する主力工場をもっていることは大きな固定費負担になります。

鶴岡工場が売却できなければ、閉鎖することは合理的です。工場閉鎖や事業撤退は、大きな痛みを伴いますが、ゲーム機のように市場が小さくなる事業領域用の専用工場をもっていることは、経営の足を引っ張ります。

ルネサスは、マイコン、アナログIC、SoCのそれぞれで、良い技術を持っているとされます。
SoCとは、System-on-a-chipの略称で、1つの半導体チップ上に必要とされる一連の機能(システム)を集積する集積回路の設計方法のことです。

革新機構や上記8社が出資しているのは、そのような差別化・差異化できる技術で、最先端の半導体を開発・実用化して欲しいからです。

ルネサスは、赤字状態からの脱却のため、先行き不透明な事業からの撤退や売却を早急に行ないながら、自動車や電気機器などの商品の差別化・差異化を実現する最先端の半導体を開発・実用化する責務があります。

ルネサスがこれらの課題を達成できなければ、今回の出資はすべて無駄になります。

ルネサスは、集中と選択を確実にかつ、迅速に行なう必要があります。この観点から、寄り合い所帯経営から脱却して、競争力のある半導体事業を構築できる強力な経営体制が必要であることは間違いありません。

ルネサスは、今年6月26日に定時株主総会を開催しました。同社の取締役を選任するとともに、取締役会を開催して代表取締役会長兼最高経営責任者(CEO)と、代表取締役社長兼最高執行責任者(COO)を正式に決定しました。

ルネサスの経営トップは、その前の2月22日に大幅に刷新されました。代表取締役社長が赤尾泰氏から、生産本部長を務めていた鶴丸哲哉氏に交代し、水垣重生取締役執行役員を除くほかの取締役は経営から外れました。

最終的には、代表取締役会長兼CEOには、オムロンで取締役会長を務めていた作田久男氏が就任し、鶴丸哲哉氏は代表取締役社長兼COOとなりました。

また、事業本部などの本部群が7つから4つに統合され、新た執行役員4名が4つの本部を担当する形になりました。

その結果、経営層の人数が減少するとともに組織が簡素になりました。この一連の組織変更で、ルネサスが寄り合い所帯経営に終止符を打つことを期待します。

現在、幾つかの半導体分野で、将来の自動車や電気・電子機器などの競争力を左右する、次々世代の半導体の開発・実用化の動きがが起こっています。

新ルネサスがこの半導体革新の一翼を担うことを大いに期待します。今後も注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁


 

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