日経記事;『アップルに新興国の壁 高価格スマホ不振 4~6月、22%減益 「日米頼み」鮮明』に関する考察 - 海外展開 - 専門家プロファイル

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日経記事;『アップルに新興国の壁 高価格スマホ不振 4~6月、22%減益 「日米頼み」鮮明』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

7月25日付の日経新聞に、『アップルに新興国の壁 高価格スマホ不振 4~6月、22%減益 「日米頼み」鮮明』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『スマートフォン(スマホ)「iPhone(アイフォーン)」で成長してきた米アップルが、新興国市場でつまずいている。4~6月は中国での売上高が前年比で14%減と急速に落ち込んだ。

新興国のスマホ需要が拡大するなか、利益率が高い日米の販売に頼ったアップルの収益モデルは岐路を迎えている。

「中国には大きな商機がある。90日間(四半期)の結果だけで弱気にはなれない」。23日の決算説明会、アップルのクック最高経営責任者(CEO)は中国市場の不振を相次いで指摘され、防戦に追われた。

4~6月期の純利益は69億ドル(約6900億円)。前年同期比22%減とはいえ、利益率はなお高い。アップルはそのブランド力を使って高価格のスマホやタブレット(多機能携帯端末)を販売。

新製品の発売時に旧型モデルを値下げして、コストを削減しながら利益を確保していく手法で大きな収益を上げてきた。

中国などの新興国でもその手法を展開するはずだったが、戦略に狂いが出始めている。

製品別の売上高を販売台数で割った「1台あたりの売上高」の減少傾向が止まらない。昨年秋に「iPhone5」を発売したが、価格が安い旧型の「4」が「スマホを初めて買う消費者をひき付けている」(クックCEO)。

「品切れ中。次の販売は30日12時からです」。いま、中国で最も人気を集めるスマホは「iPhone」ではなく「小米」。新興企業の北京小米科技が手がけるスマホであり、その魅力は16ギガバイトの最新モデルで1699元(約2万7000円)という低価格にある。

これに対して、iPhone5は最も安いタイプでも大卒新入社員の月収平均の約1.8倍に相当する5288元。小米のスマホなら、その3分の1のお金で手に入る。

今年1~3月、中国スマホ市場のシェアでアップルは6.4%と6位に転落した。平均で800元という低価格のスマホを投入するレノボ・グループや華為技術(ファーウェイ)といった中国ブランドは10%を超えるシェアを確保しており、アップルは大きく引き離された。17.3%でシェア首位のサムスン電子でさえ、中国勢の低価格攻勢にさらされている。

アップルが苦戦するのは中国ばかりではない。インドでは今年1~3月期の販売台数でアップルが6位以下に転落したとみられる。ロシアではトップのモバイルテレシステムズOJSCなど三大通信会社が、アップルとの販売契約を更新しない見通しとなった。

新興国でのアップルの思わぬ「つまずき」。だが世界のスマホ市場をみると、需要拡大が際立っているのは新興国だ。2010年には全体の出荷台数に占める新興国のシェアは約43%だったが、13年には約65%に高まり、17年はさらに70%に達すると予想される。

一方、アップルの売上高は全体の約40%を米国などの米州が占め、これに欧州と日本を加えると約70%となる。購買力がある先進国で高機能・高価格のスマホを販売して、利益率を高める経営戦略だ。

世界全体でスマホ市場が年間に30%以上の伸びを示すなか、iPhoneの販売台数は4~6月期も前年同期比で約20%にとどまる。

今のところ、日本でのアップルのブランド力に衰えはない。調査会社IDCによれば今年1~3月の日本市場における米アップルのシェアは約4割に達する。2400店以上の家電量販店の販売データを集計したBCNの調査でも1~6月のアップルのシェアは34%を占める。「iPhone販売に減速感はない」(ソフトバンクの孫正義社長)

しかもアップルにとって日本はまだ「伸びしろ」のある市場。iPhoneの人気があるといっても、日本の携帯電話の全契約に占めるスマホの割合は、シンガポールの半分以下の38%にすぎない。従来型の携帯電話からのスマホへの買い替えが見込める。

「(iPhoneなど価格が高い)ハイエンドの市場が飽和したとは思わない」。クックCEOはこう断言する。23日の4~6月期決算でiPhoneの販売台数などが予想以上に良かったのを受け、同日の米株式市場の時間外取引でアップル株は一時5%以上も値上がりした。収益が足踏みしても、市場はiPhoneを売り込む底力を評価している。

だが、将来にわたって新興国での旺盛な需要を取り込めなければ、韓国サムスンや中国勢の追撃はかわせない。

。。。

これまでと同じように高収益が見込める新製品を投入するか、あるいは新興国を攻略するための低価格品を投入して薄利多売の収益モデルに転換するのか。』


アップルが新興国市場で売上が伸びていない状況は、数年前に国内家電メーカーが直面した課題と同じです。

かって、国内家電商品は、新興国市場で高機能・高性能・高耐久性をもつ高級商品として、高額で高所得者層に受け入れられていました。

この時は、国内家電メーカーは、日本や欧米市場で売っているものと同じ商品を新興国市場に投入していれば良いビジネス環境でした。

この時点では、韓国、台湾、中国などのアジア勢はまだ市場では大きな存在感をもっていませんでしたので、国内家電メーカーの独壇場でした。

しかし、高所得者層の市場は小さいことと、アジア勢の商品力向上などにより、国内家電商品の売上は伸び悩みました。

アジア勢は、低価格商品を武器に新興国市場の中間所得層から低所得層に焦点を当てて、家電商品を売り込みました。

当初、国内家電メーカーはこのような市場の変化に気がつかず、日本や欧米市場で販売している商品を多少値下げすれば、高い商品力を気に入って買ってくれると期待していました。

しかし、新興国市場での中間所得層や低所得層の反応は、全く異なったものになりました。低価格だけでなく、新興国市場の顧客が要求する仕様・機能・性能・価格を満たすものでなければ、売れないことに気がつきました。

このことに気がついたのは、韓国や欧米メーカーの方が早かったため、最近まで新興国市場での顧客を当該メーカーに奪われていました。

現在、国内家電メーカーは現地顧客の要求仕様・機能・性能・価格に合った商品を、可能な限り市場に近いところで開発・製造するやり方を採用しており、巻き返しを図っています。

国内家電メーカーが新興国市場で勝ち残るには、16歳から64歳までの生産年齢人口層の需要を確実にとらえることが必要であり、重要になります。

ASEANは、2015年に経済統合を行ない、基本的に関税ゼロになります。ASEANは、生産拠点としてだけでなく、上記生産年齢人口の数と所得水準の増加で、いわゆる中間所得層が急拡大していきます。

国内メーカーは、家電商品だけでなく、自動車などの他の商品分野でも、この中間所得層の取り込みが、当該地域での事業成功の秘訣になります。

アップルが、現在行なっている世界共通商品で、日本、欧米、新興国の市場を取れるかどうか、岐路に立っているとみます。

アップルが、もっている高いブランド力と、高い商品性で新興国市場の中間所得層を席巻できれば、今までの各国家電メーカーとは異なる事業展開ができます。

本日の記事も含めて現時点までの状況では、アップルの事業展開の仕方は、新興国市場で成功していないようです。

国内企業は、中堅・大手企業だけでなく、現時点で中小企業も新興国市場の代表であるASEAN域内の中間所得層取り込みが事業拡大のポイントになります。

アップルは、現在、新興国市場開拓で大きな課題をもっており、その課題をどう解決していくのか、今後の自社の事業展開の参考情報とできます。

この視点から今後のアップルの動きに注目していきます。

しかし、一般的には各国ごとの顧客の要求仕様・機能・性能・価格に合った商品を開発・提供していくのが基本形であることは間違いありません。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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