インド特許法の基礎(第3回)(1):外国出願に関する情報の通知について(2) - 特許・商標・著作権全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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インド特許法の基礎(第3回)(1):外国出願に関する情報の通知について(2)

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インド特許法の基礎(第3回)(1)

~外国出願に関する情報の通知について(2)

 

                               河野特許事務所 2013年8月6日 執筆者:弁理士  安田 恵

 

 

 外国出願に関する情報の通知(第8条,Trips協定29条(2)[1])について,前回に引き続き,長官に提出する具体的内容及び提出期限徒過時の対応を説明する。

 

 

 

1.      第8条の規定の概要

 

第8条は,表1に示すように2つの項からなり,大きく分けて2つの情報を要求している。

 

 第1の情報(第8条(1))は,外国出願の明細事項(出願国,出願日,出願番号,出願の状態,公開日,登録日等)を記述した陳述書(第8条(1)(a))であり,様式3(規則12(1))により提出する。また様式3には,当該明細事項を長官に随時通知する旨の誓約書((第8条(1)(b)))が含まれる。

 

 第2の情報(第8条(2))は,外国出願における拒絶理由通知書,拒絶査定,特許査定等のオフィスアクションの写し,登録又は拒絶されたクレーム,及びこれらの英語による翻訳文である。また,国際調査報告書及び国際調査見解書の写しも提出する。

 

 

 

表1 第8条の条文構造

 

条文

規定の概要

第8条(1)

(a)

外国出願の明細事項を記載した陳述書の提出

(b)

外国出願の明細事項を長官に随時通知する旨の誓約書の提出

第8条(2)

外国出願のオフィスアクション等の要求権限及び提出

 

 

 

2.第8条(1)/様式3

 

(1)外国出願の明細事項の具体的内容

 

(1.1)様式3

 

 出願人は,外国出願の明細事項として,出願国,出願日,出願番号,出願の状態,公開日,登録日等を様式3に従って記述する。様式3の一例は以下の通りである。

 

 マーカ部分に出願人の名称及び住所,出願番号,出願日,提出日,代理人名等の書誌的事項を記入する。

 

 “Country”欄には,インド出願に係る発明と同一又は実質的に同一の発明について特許出願を行った外国の国名を記載する。例えば,基礎日本出願に基づいて,PCT出願を行った場合,”Japan”及び”PCT”を記載する。PCT出願は,指定国への特許出願の束としての性格を有しており,PCT出願を行った場合,国際調査報告及び国際予備審査報告書等が作成されることを考えると,PCT出願の情報も記載すべきである。

 

 “Status”欄には,ペンディング“Pending”,放棄”Abandon”,取下“withdrawn”,特許“Granted”,拒絶“Rejected”等,対応する各国の出願の状態を記載する。

 

 なお,出願審査請求,審査中,出願公開等の状態変化を記載することもできるが,第8条の陳述書は外国の審査結果を利用して迅速かつ的確な審査を行うためのものであると考えた場合,ここまでの詳細な情報は不要であると考える。

 

 “Date of Application”欄には,出願日を記載する。PCT出願にて各国へ国内移行を行っている場合,国際出願日又は国内段階出願日のいずれかを記載すれば良い。条文及び規則には,いずれの出願日を記載すべきかについては明記されていないが,各国における審査手続きの進捗を確認する趣旨からすれば,国内段階出願日を記載すべきと考える弁護士もいる。いずれにしても両方の日付を記載することは事務負担を増加させるのみであり,いずれか一方の日付を記載すれば足りる。

 

 下の表は外国出願に関する明細事項の記入例である。

 

Name of the country

Date of application

 

Application No.

Status of the Application

Publication No. & date

Patent No. & Date of Grant

JAPAN

12/08/2005

2005-111111

Pending

 

 

PCT

11/08/2006

PCT/JP06/315315

Pending

WO2007/22222

02/02/2007

 

USA

12/09/2005

60/715,715

Pending

 

 

 

 

 

(1.2)通知すべき更新情報

 

 様式3に従って記載した外国出願の明細事項に変更が生じた場合,更新された明細事項を長官に提出しなければならない。一口に状態変化と言っても,出願審査請求の提出,審査待ち状態,出願公開,出願の放棄,取下,特許査定,拒絶査定等の変化があるが,すべての変化を逐一通知する必要は無い。出願の放棄,取下,特許査定,拒絶査定等,インドにおける審査結果に影響を与える変化が生じた場合に,更新された明細事項を通知すれば良い。

 

 また,一つの国の出願状態が変化した場合,当該国のみの明細事項を長官に通知するようにしても良いし,状態が変化していない他の全ての外国出願も合わせて明細事項を通知するようにしても良い。

 

 下の表は更新された明細事項の記入例である。

 

Name of the country

Date of application

 

Application No.

Status of the Application

Publication No. & date

Patent No. & Date of Grant

JAPAN

12/08/2005

2005-111111

Pending

 

 

PCT

11/08/2006

PCT/JP06/315315

Pending

WO2007/22222

02/02/2007

 

USA

12/09/2005

60/715,715

Withdrawn

 

 

JAPAN

11/08/2006

2007-222222

Pending

 

 

China

08/11/2006

200680021234.7

Granted

101231234

08/06/2008

ZL2006123.7

07/06/2011

 

 

 

(2)提出時期の徒過

 

 提出期限を徒過して外国出願の明細事項を提出した場合,提出時期の要件を満たしていないとして拒絶される場合がある。この場合,所定の手数料(第1附則手数料:4000ルピー)と共に嘆願書を提出すれば拒絶理由は解消する(規則137)。なお,提出期限を徒過して提出された明細事項を受領するか否かは長官の権限である点は留意すべきである(規則137)。また,特許が認められた後に,外国出願の明細事項を追加的に提出することは認められない。外国出願の明細事項の通知内容に漏れがあった場合,治癒不可能な無効理由を包含した特許権になるおそれがあるため,特許が付与されるまでに外国出願の明細事項を漏れなく通知すべきである。

  


 

[1] Trips協定第29条(2):加盟国は,特許出願人に対し,外国における出願及び特許の付与に関する情報を提供することを要求することができる。

 

 

(第2回へ続く)

 

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