お口の健康を保つ正しい歯磨きの仕方 - オーラルケア・歯磨き指導 - 専門家プロファイル

井川 征博
日本橋ジェム矯正歯科 院長
東京都
歯科医師

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対象:一般歯科・歯の治療

赤岩 経大
(歯科医師)
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閲覧数順 2024年04月15日更新

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お口の健康を保つ正しい歯磨きの仕方

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【お口の健康を保つ正しい歯磨きの仕方】

 

むし歯や歯周病予防のために欠かせないのが毎日の歯磨きです。食べカスや歯垢などの汚れを落とし、口腔内の健康を保ってくれる歯磨きですが、間違った磨き方をしていると汚れを落とせないばかりか、歯や歯肉を傷つけてしまいます。汚れを落とすことに必死になり力いっぱいゴシゴシ磨いていませんか?歯磨き粉をたくさん付けてお口の中を泡だらけにして磨いていませんか?歯ブラシは正確に歯に当たっていますか?しっかり歯磨きをしているはずなのにむし歯ができてしまう…。磨いているのと磨けているのは違うのです。

 

-むし歯のメカニズム-

 お口の中には常に300種類以上の細菌が存在し、その中でむし歯を作るのがむし歯菌であるミュータンス菌です。清潔な状態だとミュータンス菌に害はなく悪さをしません。

しかし、ミュータンス菌は糖を栄養分とし、食事などで糖をミュータンス菌に与えることで活動を始めます。歯垢を作りミュータンス菌が増え、バイオフィルムを形成し歯にくっつきます。ミュータンス菌は糖を酸に変える働きがあり、お口の中を酸性に傾け、むし歯になりやすい環境をつくります。すると歯は溶け始め脱灰が起こります。これがむし歯です。

 

-むし歯ができる4つの条件-

4つの条件が重なることで、脱灰が起こりむし歯になります。それは、①歯質②糖質③細菌④時間(お口の中が酸性に傾いている時間)です。これらの力が強くなると脱灰が起きやすく、大きなむし歯へとなってしまいます。

つまり、①歯の質が弱い②甘い飲食物を好む③ミュータンス菌が多い④食事回数が多く口の中が酸性である時間が長い、これらの条件に当てはまる人は脱灰が起きやすくむし歯になりやすいのです。

しかし、この4つの条件を排除することでむし歯にはならなくなります。その排除方法の1つが歯磨きです。正しい歯磨きにより食べカス(糖質)や歯垢(ミュータンス菌)などの汚れを落とすことが、むし歯予防につながります。

 

-歯磨きの目的-

歯磨きの目的は、大きくわけて2つあります。

・食べカスや歯垢、ステインなどの汚れの除去

食べカスや歯垢を取り除くことは、むし歯や歯周病を予防できるだけでなく口臭予防にもつながります。また、ステインを取り除くことで歯への着色を防ぎます。

・歯肉のマッサージ

歯肉も歯ブラシで優しくマッサージすることで、歯肉の血行がよくなり、細菌に対する抵抗力が増え、歯周病を防ぎます。

 

-正しい歯磨き-

 歯磨きの目的を果たすためには、磨けている歯磨きでなければいけません。正しい歯磨きを身につけましょう。

 

☆ポイント① 持ち方

 歯ブラシは、鉛筆持ち(ペングリップ)で持ちましょう。手のひらで握るようにして持つ持ち方(パームグリップ)の人が多いと思いますが、この持ち方では力が入りすぎてしまい細かい動きができません。ペングリップで持つと余計な力が入らず、細かく毛先を動かすことができます。鉛筆を持つように、親指、人差し指、中指で持ち、残りの指は添えるだけにしましょう。

☆ポイント② 毛先をきちんと当てる

 歯ブラシの毛先を歯面にまっすぐ90度に当てて磨きましょう(スクラッピング法)。鏡を見ながらきちんと当たっているか確認してください。歯と歯肉の間を磨く時は、歯ブラシの毛先を歯と歯肉の境い目に45度に当てて磨きましょう(バス法)。

お口の状態や磨く部位によってスクラッピング法やバス法を使いわけてみるといいでしょう。一番大切なのは、毛先をきちんと歯面に当てることです。

☆ポイント③ 小さく細かく動かして磨く

 1~2本ずつ磨くように細かく(1~2ミリ幅)動かして磨きましょう。1か所につき20回程動かしましょう。大きく動かすと、歯と歯の間などの細かい所まで毛先が届きません。細かく動かすことで、歯と歯の間や歯と歯肉の間の汚れをしっかり落とすことができます。

☆ポイント④ 軽い力で磨く

 磨く力は、150g~200g程度の軽い力で優しく磨きましょう。汚れを落とそうと思い、つい強く力をいれてしまいがちですが、力まかせにゴシゴシ磨いても汚れは落ちないだけでなく、歯肉を傷つけてしまう恐れがあります。力加減が不安な方は、キッチンスケールなどを使い、150g~200gがどれくらいなのか体験してみてください。案外軽い力で汚れは落ちるのです。

 

特に磨き残しの多い部分は、「歯と歯の間」「歯と歯肉の間」「奥歯の噛むところ」「前歯の裏側」です。表面は磨けていても、見えないところや細かいところまでは磨けておらず、汚れがたまりむし歯になりやすい場所です。これらの場所は、より丁寧に磨きましょう。

 

-キレイに磨くコツ-

 磨きにくいところはポイントをおさえると磨きやすくなります。

 

☆動かし方にひと工夫

<奥歯>

後ろ側はブラシのつま先、手前側はブラシのかかとを細かく動かし磨きましょう。

噛むところは、奥から前にむかってかき出すように磨きましょう。

<前歯>

表側は、歯ブラシを縦に持ち、歯を3分割(右側、中央、左側)して1本を3回にわけて磨きましょう。

裏側も、歯ブラシを縦に持ち、1本ずつかき出すように磨きましょう。

 

☆磨く順番を決める

あっちこっち考えずに磨いていると、磨き忘れた場所ができてしまう可能性があります。磨き残しがないように、磨く順番を決めて磨くといいでしょう。

 

☆歯磨き粉の量に注意

歯磨き粉は、歯ブラシの毛の上に3分の1のる程度で十分です。歯磨き粉は少量で十分効果があります。歯磨き粉を多く使ったからといって効果が増すわけではありません。多く使い過ぎるとお口の中が泡だらけになり、爽快感もあるので、磨けていないのに磨けた気になってしまいます。また、歯磨き粉には研磨剤が含まれており多量に使うと歯や歯肉を傷つけてしまいます。

 

  食後は、細菌が活動を始める前に正しい歯磨きを行い、細菌から歯を守り、磨けている歯磨きで効率よく汚れを落とし、健康なお口を保ちましょう。

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