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日経記事;『フィリップス復活の教訓 AV機器撤退/アジアに売却/法人向け柱に』に関する考察

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経営戦略 集中と選択;事業撤退

皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

7月15日付の日経新聞に、『フィリップス復活の教訓 AV機器撤退/アジアに売却/法人向け柱に かつて日の丸家電の最強ライバル』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『パナソニックやソニーなど日本の家電企業が収益悪化に苦しんでいるが、苦境から一足先に脱却した先輩格の企業が欧州にある。1990年代までテレビやビデオなどのAV(音響・映像)市場で、日本勢の最強のライバルだったオランダ・フィリップスだ。

同社は過去10年強にわたって事業の入れ替えを進め、収益性が低下する一方のAV事業からほぼ撤退した。欧州景気の低迷下でも利益を出すフィリップスの軌跡からどんな教訓をくみ取るべきか。

今年5月に開かれたフィリップスの株主総会で、1つの決定がなされた。長年慣れ親しんできた正式社名のロイヤル・フィリップス・エレクトロニクスから「エレクトロニクス」の文字を削り、単にロイヤル・フィリップスとして再出発することになったのだ。大胆な事業構造の組み替えの結果「もはやエレクトロニクス企業ではない」という社内外への宣言だ。

昔と今で何が変わったのか。例えば主要事業の数は6から3に減った。半導体やITサービスなどを切り離したのだ。会社の規模も縮み、1998年には25万人いた従業員が現在は半分以下の11万人強に減った。

反対に強化した事業もある。先進国を中心とした高齢化社会の到来をにらみ、医療機器事業で大型買収を実施し会社の柱に育て上げた。今のフィリップスはBtoB(法人向け)事業が売り上げの7割を占める。パナソニックの津賀一宏社長も「BtoBの強化」を掲げるが、フィリップスは一足早くその目標に到達したといえる。

01年12月期に26億ユーロ(約3400億円)の赤字を出した企業体質は経営改革によって改善。12年12月期は欧州の厳しい経済環境のもとで2億ユーロの黒字を確保した。

同社のリストラの手法を振り返ると、日本企業にも参考になりそうな点が多い。一つは「アジアパワーの活用」だ。フィリップスはAV機器からはほぼ撤退し、今ではブランド供与が中心だ。事業譲渡先はアジア勢が圧倒的に多い。

テレビ事業は台湾TPVテクノロジーが株式の過半を握る合弁会社に譲渡した。携帯電話ビジネスは中国企業に、オーディオ事業は日本の船井電機に売却する。韓国LG電子との合弁で出発した液晶パネル事業も最後は持ち株をLGに売って撤退した。

「アジア企業は手ごわいライバルだが、同時に非戦略事業の有力な買い手でもある」とフィリップスOBで、欧州のビジネススクール、IESE教授を務めるヤン・ウスターベルド氏は指摘する。

日本でもNECがパソコン事業を中国レノボとの合弁会社に移管するなどアジア企業を事業再編のテコに使う動きがあるが、もっと大々的に取り組んでもいい。

もう一つの参照点は「時間差スピンオフ(事業の切り出し)」とも呼ぶべき手法だ。フィリップスの半導体事業は今ではNXPという独立企業になったが、一刀両断で外に切り出したわけではない。

まず06年に半導体事業を分社し外部ファンドの資金を入れたが、フィリップスも一定の株式を持ち続けた。全株売却は4年後だ。

「フィリップスがいなくなることに、一部の顧客が不安を感じた。彼らの納得を得るために、時間をかけた」とフィリップス幹部はいう。顧客や社員などステークホルダー(利害関係者)の合意を重視する日本企業にとっても、時間差スピンオフは役に立つだろう。』


私は、会社勤務時に何度かフィリップス本社を訪問しました。本社がある町は、フィリップスの企業城下町の雰囲気をもっており、かっての日立製作所などが大きな規模で事業所を構えていた日立市の環境と似たものをもっていました。

私が最後にフィリップス本社を訪問した時には、すでに家電部門のリストラである、集中と選択が実行されていました。

フィリップスは、提携先でもありましたが、同時に幾つかの事業分野での競合相手でもありましたので、他の競合先と共にフィリップスの経営状況についても情報収集と分析を行なって、強み・弱みを見出いしていました。

その時に参考情報の一つにしたのが、フィリップスが発行するAnnual Report(株主に対する年次決算報告書)でした。

その当時、フィリップスのAnnual Reportには、事業部門別のEBITやEBITAが示されており、事業部門別の収益性の目安の一つになっていました。

EBITとは、Earnings Before Interest, Taxesのことで日本語表記では、利払い前の税引前当期利益となります。

EBITAとは、Earnings Before Interest, Taxes, Amortizationのことで日本語表記では、支払利息・のれん償却費等営業外損益および税引前利益となります。

フィリップスは、Annual Reportの中で上記事業部門別のEBITやEBITAを示した上で、何期にもわたって赤字状態にある事業部門のリストラ策や方向性などについて示していましたし、一歩一歩実行しつつありました。

この情報開示と集中と選択、事業撤退などのやり方は、大いに参考になりました。リストラ対象の事業部門を訪問したとき、その部門の幹部クラスは元気ありませんでしたが、リストラは、赤字を垂れ流し続ける事業をもっていると、会社全体が沈んでしまうので、必要な措置だと率直に話していたのが印象的でした。

その後も、フィリップスは、毎年リストラを一歩一歩行なって、本日の記事にありますように、エレクトロニクス事業を主事業にしないことを、会社名から「エレクトロニクス」の文字を削除することで示しています。

フィリップスの事業撤退のやり方は、私がある事業分野の撤退に携わったときに、参考にさせてもらいました。

多少の時間をかけても、客観的な情報・データをもとに、現在および将来の事業性を見極めて、社内外の関係者の理解と協力を得ながら一歩一歩行なうやり方で実行しました。

もちろん、どんなに丁寧なやり方を取っても、事業撤退は多くの痛みを伴います。丁寧に行なうと事業撤退をある程度ソフトランディングできることになります。

事業撤退のソフトランディング化は、その後の他の事業分野での事業継続にも大きな影響を与えますので、重要になります。

これから、集中と選択や事業撤退を行なう企業は、フィリップスのやり方が参考事例の一つになります。

自社の企業文化にあうやり方であれば、取り入れることをお勧めします。

集中と選択や事業撤退時に重要なことは、同時並行して新規事業立ち上げや成長分野強化の方策をしかっりと計画・実行することです。これをやらないと、企業はジリ貧に陥ります。

フィリップスの場合、医療機器分野を強化してBtoB型事業に特化しつつあります。世界全体で高齢化が進み、医療関連事業規模が成長すると見込んでいるのです。

日立製作所や東芝などのようなフィリップスと事業基盤が重なる企業も似たような動きをしています。

ソニーやキャノンなどの家電メーカーも、成長分野の一つとして医療関連事業強化を打ち出しています。

新規事業立ち上げは、徹底的な差別化・差異化を可能にする技術や商品をもっていることが大前提です。

自社にない場合は、他社を買収して取り込むことになります。あるいは、他社との事業連携でカバーするやり方もあります。

フィリップスを参考にする場合、新規事業分野をどう取り込んでいったかもみる必要があります。
上記しましたように、毎年発行されていますAnnual Reportを読んで経時変化を確認することも参考になります。

他社のやり方を参考にする場合、自社にそのまま取り込んでも上手くいきません。本質的な内容を確認しながら、自社に合ったやり方で計画作成し、実行することが重要であり、必要なことです。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

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