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日経記事;『大手の特許使い進化 中小が新製品・サービス 』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

7月8日付の日経新聞に、『大手の特許使い進化 中小が新製品・サービス 光和電機、基板判別の精度向上 ヤマチ工芸社は車内装材で高級ソファ』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『中小・ベンチャー企業が大手企業の特許や技術を使って新たな製品・サービスを生み出す動きが広がってきた。大手と競合しないニッチ分野で競争力を高めたり、製品開発と同時に大手のブランド力も取り込んだりする。

中小支援策として自治体が大手との橋渡しをするケースが多いが、特許や技術を有効活用する意識が大手・中小の双方で高まれば産業活性化に一役買いそうだ。

光和電機は製品開発に富士通の拡大視認装置の技術を生かした。

光和電機(川崎市、黒川純社長)は、電子機器に使われるプリント基板に正確に部品が取り付けられているかどうかを判別する装置の製造を手がける。

不具合が疑われる箇所をモニター画面に映し、目視検査をサポートするのが特徴。富士通の「拡大視認装置」の特許と光和の検査装置のノウハウが結合した成果だ。

富士通とは2008年に特許使用契約を結んだ。詳細は明らかでないが、当初2~3年間は同社に売り上げの数%を支払う契約だったもようだ。現在は対価は発生していないという。

光和は現在顧客拡大に向け、富士通の技術を引き続き生かす形で高機能機種を開発中。従来は基板の真上から1つのカメラで映していたが、新機種は斜めなど複数方向から映し出し、はんだ付けの盛り上がり具合なども精緻にチェックできるようにする。年度内の発売をめざす。

富士通が川崎市に主要研究開発拠点を置き、同市が中小企業への技術移転に力を入れていたことが縁になった。「受託生産品が多く独自製品を増やしたいと考えていた」(黒川社長)光和と富士通の話し合いのなかで、拡大視認装置技術の活用にたどりついた。

家具製造のヤマチ工芸社(札幌市、若竹雅人社長)は札幌市の「開放特許活用型モデル事業」を通じて日産自動車と結び付いた。同社の高級車「フーガ」などの内装に使っている合成皮革素材「ソフィレス」を利用した高級ソファを開発、今年初めから販売を始めた。

ソフィレスは合成皮革としては質の高い風合いがあり、家具職人が製品に仕上げる。価格は3人掛けで24万3千円とヤマチの他製品より5万円ほど高いが、日産の技術を使っていることをうたってもよい契約になっており「当社のソファのブランド力向上や高所得者層への拡販効果」(若竹社長)を期待する。

ベンチャーのクラウドサービスと結びついた例もある。携帯端末を使った販促支援のビートレンド(東京・港、井上英昭社長)は富士フイルムからデジタルカメラや医用画像機器に使っていた画像処理技術の使用許諾を得て、インターネット経由で画像の質感を自動補正する事業を始めた。

通販サイトや店舗紹介サイトを運営する事業者らの需要を掘り起こす。顧客にネットで衣料品や食品などの画像を登録してもらい、注文に応じてより商品の魅力を引き出すように質感を高める。顧客はその画像をダウンロードし、サイトに掲載することができる。』


ベンチャー・中小企業が新規事業立ち上げを行なって、事業の維持拡大を行なっていくためには、取り扱っている商品・サービスが競合商品などに比べて、差別化・差異化できるものである必要があります。

特に製造業では、技術的な差別化・差異化を可能にする優位性をもつことが重要になります。

ベンチャー・中小企業では、人材や資金力などの点で中堅・大手企業より総じて劣勢な状況にあり、1社単独で画期的な技術・商品を生み出すことが難しいのが一般的です。

もちろん、元気があるベンチャー・中小企業も数多く存在しています。このような企業は、創業者が画期的なアイデアや特許をもっていて、他社と差別化・差異化可能な技術・商品で事業展開しています。

一方で、競争力をもつ商品開発や事業化に苦しんでいる中小企業も数多く存在しています。韓国、台湾、中国などの海外勢の技術力も向上しており、国内市場および海外市場で、売上拡大していくためには、徹底的な差別化・差異化できるものを維持強化する必要があります。

創業者が優秀で画期的な技術・商品で事業化に成功しても、後継者が同じように差別化・差異化なものを生み出したり、他の事業分野で競争力のある商品開発ができず事業拡大に伸び悩む中小企業も多いのが実情です。。

本日の記事は、大手企業がもっている特許からすでに使用しなくなったものや、当該企業の事業分野と競合しない条件つきでの特許の活用をベンチャー・中小企業に認めることについて書いています。

記事にありますように、大手とベンチャー・中小企業がうまくマッチングできれば、ニッチ市場で差別化・差異化可能な技術・商品を生み出せる可能性が高くなります。

しかし、現状ではこのようなマッチングが成功しているケースは少ないと言えます。一般的に国内企業は、競争力の源泉の一つである特許を公開しない傾向にあります。

私は、この企業姿勢に対して問題があるとは感じていません。競争力の維持・強化、各企業の生命線ですので、自社で所有する特許の開示・供与方針は企業の考えによれば良いからです。

記事によると、富士通や日産自動車、富士フイルムなどは、自社所有特許の中から他社に使用許諾する事業を行なっているようです。

大手企業同士では、「Win/Win」の関係が確認できれば、競合他社であっても技術提携して、他社に自社特許を使用許諾することは、日常的に行なわれています。

大手企業とベンチャー・中小企業間でも、「Win/Win」関係が確認できれば、大手から保有特許の使用許諾を出すケースもあります。

上記の富士通、日産自動車、富士フイルムなどのように、多くの大手企業が自社所有の特許を使用許諾するビジネスモデルをもてば、多くの特許が市場に開示されるようになります。

この特許開示が単純にベンチャー・中小企業の競争力強化につながるとは限りません。現時点で力のあるベンチャー・中小企業は、創業者などが独自に編み出した技術・商品を扱っており、一般的に他社の技術を必要としているところは少ないとみます。

私の支援先企業や過去お付き合いのあったベンチャー・中小企業は、自社独自の技術・商品開発を進めて徹底的な差別化・差異化を目指すところばかりです。

自社で独自技術をもっていないベンチャー・中小企業が、上記のような大手企業が開示・使用許諾する特許を使って自社の競争力を上げるには、当該特許を評価し実用化するための技術目利きの能力を必要とします。

現時点では、多くのベンチャー・中小企業にそのような技術目利きができる人材は多くいません。

自社所有特許の使用許諾に積極的な大手企業と、ベンチャー・中小企業の間に入って当該特許の技術目利きを行なう専門家や中間機関の存在が必要です。

さらに、中小企業には、利用する特許を自社商品に取り組んで事業化する能力をもつことが求められます。

大手企業が所有する特許のベンチャー・中小企業への移管の動きは、徐々に始まりつつありますので、今後の動きや影響などに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

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