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日経記事;『北海道電、電力網に蓄電池 住友電工製、発電量変動を調整 再生エネ拡大に弾み』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

7月5日付の日経新聞に、『北海道電、電力網に蓄電池 住友電工製、発電量変動を調整 再生エネ拡大に弾み』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『北海道電力が再生可能エネルギーの導入拡大に向け、寿命が長く安全性も高い新型の大容量蓄電池を導入することが分かった。住友電気工業が開発し、2015年にも電力網につないで稼働させる。

太陽光発電などを大量導入すると電力網の電圧などが不安定になるのを蓄電池の充放電で防ぐ。電力会社が大容量蓄電池を本格導入する初の事例になり、再生エネ普及の弾みになりそうだ。

住友電工は横浜製作所でレドックスフロー電池の実証実験を進めている。

北海道電は新型蓄電池を基幹変電所に設置する計画だ。電気をためられる能力は6万キロワット時(一般家庭6千世帯の1日分の消費電力に相当)で世界最大級となる。

導入費用は200億円規模とみられ、再生エネ導入拡大や蓄電池ビジネス事業の育成を狙う経済産業省が資金支援する。

昨年7月から始まった再生エネの固定価格買い取り制度に伴い、土地の取得が容易なことなどからメガソーラー(大規模太陽光発電所)事業などに参入する事業者が急増。

ただ太陽光発電や風力発電は気象条件などにより発電量が大きく変動し、大量に導入した場合には電力網の電圧や周波数に影響を与えかねない問題があった。

このため北海道電は受け入れ能力に限界があるとして4月に電力網への接続を太陽光発電分(出力2千キロワット以上)については40万キロワットに制限すると発表。

今後各地でメガソーラーなどの建設が進めば他の電力会社でも同じ問題が起きる可能性があり、再生エネ普及に向けた課題になっていた。北海道電は新型蓄電池により導入可能量を1割程度増やせるとみられる。

住友電工が納入するのは同社が開発を進めてきた「レドックスフロー電池」と呼ばれる大容量蓄電池。寿命は20年程度持つ。実用化で先行するリチウムイオン電池の倍の長さだ。電気を大量に蓄えても発火を防げるなど安全面にも優れている。

同社は現在、横浜製作所に5千キロワット時のレドックスフロー電池を設置し、実証試験を始めている。14年度からは大阪製作所で電池の量産を始め、5~6年間で年1千億円規模に育てる考えだ。

日本は電力の有効利用に必要な大容量蓄電池技術で世界に先行している。政府は昨年7月に「蓄電池戦略」を策定。次世代蓄電池の実用化を後押しし、日本企業の世界シェアを現在の2割弱から20年に5割に高める目標を掲げている。』

レドックスフロー電池とは、日経記事によりますと、1974年に米航空宇宙局(NASA)が基本原理を公表しました。

電解液に含まれる金属イオンの酸化・還元反応で電気を生み出す方式です。国内外の電力会社や研究機関が開発してきましたた。

実証研究が中心で容量も1千キロワット時程度までに限られていました。住友電工は2001年にバナジウムイオンを使うタイプの電池を開発、11年から事業化を本格的に検討してきたとのこと。

本日の記事は、住友電工がレドックスフロー電池を6万キロワット時まで大容量化し、実用レベルにまでもってきたことを示しています。

現在、蓄電池の主流は、リチウムイオン電池です。リチウムイオン電池は、ソニーが世界で最初に実用化して以来、パソコン、スマホタブレット型端末機器、自動車などのさまざまな分野で使われています。

当初、リチウムイオン電池は国内メーカーが主導権をもって事業展開できていましたが、現在、韓国、台湾、中国メーカーに価格面で劣勢を強いられており、2010年度に約24%ありました世界シェアは、2012年度には約20%に下落したと推測されています。(出典;日本政策投資銀行レポート「蓄電池産業の現状と発展に向けた考察」、2013年3月)

国内メーカーが世界シェアを落とした理由は、上記小型電子機器分野ので価格競争力弱体化です。韓国、台湾、中国メーカーは、低価格化を追及して国内メーカーからシェアを奪いつつあります。


一方、今後の蓄電池事業は、車載用蓄電池や家庭用蓄電池などの大型分野で大きな成長が見込まれます。

この大型リチウムイオン電池では、パナソニック、ソニー、GSユアサ、日立、東芝、NECなどが開発を継続しています。

さらに、東芝、エリーパワー、NEC、三菱重工などのメーカーは、発電用途などの産業機器に使用する大容量リチウムイオン電池の開発・商用化を進めています。

大型蓄電池分野では、国内メーカーの技術力が海外企業より進んでおり、低コスト化を先んじて行なえば、国内勢が大きな世界シェアを取れますし、取る必要があります。

国内メーカーは、環境やエネルギー分野に関する世界市場で勝ち組みになることが、今後の国内経済成長に必要です。

大容量蓄電池は、電力エネルギーを効率的に貯蔵・使用するための基幹装置の一つになりますので、当該蓄電池で競争力をもっていないと、勝ち組みになれません。

従って、国内メーカーが大型蓄電池で競争力を維持・強化することはとても重要な意味をもちます。

環境やエネルギー事業分野は、大きなすそ野をもっています。素材、部品、製品、装置などの各分野の集合体になります。

大手企業が当該事業分野で世界市場を勝ち組みで開拓してくれますと、多くの関連中小企業にも新規事業機会が生まれます。

この視点からも、大型蓄電池事業は国内経済に大きな影響を与えます。

さて、本日の記事によりますと、住友電工が大容量のレドックスフロー電池の商用化に目処をつけて、北海道電力に納入することになります。早ければ、2015年にも使われるとのこと。

この大型蓄電池は、太陽光によって発電された電力を貯蔵するために使用されます。太陽光発電は、自然条件で発電量が変動しますので、一時的に大型蓄電池に貯蔵することで、電力供給網に安定化・平準化して電力供給ができるようになります。

太陽光発電だけでなく、他の自然再生エネルギーによる発電方式の普及に大きく貢献します。

また、住友電工は、このレドックスフロー電池の事業化では他社より先行しています。記事によりますと、レドックスフロー電池は、リチウムイオン電池に比べて、下記の点で優位性があるとのこと。

・導入コスト(1キロワット時あたり)レドックスフロー電池は数万円の見込みに対して、リチウムイオン電池は約20万円。
・安全性は、レドックスフロー電池の方が高い。
・製品寿命は、レドックスフロー電池では20年に対して、リチウムイオン電池は10年。

もちろん、リチウムイオン電池陣営も更なる開発を進めて、より高性能で安全かつ低コスト化した大型蓄電池を実用化する可能性があります。

国内メーカー同士で、切磋琢磨してレドックスフロー電池と、リチウムイオン電池による大容量電池の開発を進めていくことが重要ですし、国内勢の競争力強化・拡大に必要なことです。

今後とも、これら国内蓄電池メーカーの動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

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