新築分譲マンションは買ってはいけない?? - 新築工事・施工全般 - 専門家プロファイル

松岡 祐作
株式会社松岡祐作デザインオフィス 代表取締役
建築家

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閲覧数順 2016年12月04日更新

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新築分譲マンションは買ってはいけない??

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新築分譲マンションのメリット・デメリットとは?

 職業柄、友人・知人から「新築分譲マンションを買うべきでしょうか?それとも中古マンションや戸建住宅?それともこれからはあえて賃貸住宅でしょうか?」とよく相談されます。そして実際、その中の少なくない方は「新築分譲マンション」を第一の選択肢とした腹づもりで来られます。しかし私は原則として、「新築分譲マンション」をくれぐれも「最後の選択肢」とする様、アドバイスしています。

 これらの選択肢の比較はなかなか複雑です。ですからまず「新築分譲マンション」のメリットとデメリットについてわかりやすく整理してみましょう。

 ■メリット①立地や階の選択肢が広い

 ■メリット②自分好みの室内レイアウトをデザインでき、住宅設備(キッチンやバスルーム等)も自由に選択できる。

 ■メリット③購入までのマンションディベロッパーのフォローが行き届いている。

 ■デメリット①修繕積立金はいずれ必ず足りなくなる。

 ■デメリット②20~25年で自宅の住宅設備の更新が必要になる。

 ■デメリット③他の選択肢に比べ、かなり割高。 

 まず、■メリット①②については、中古マンションも実は変わらないのですが、新築の方が主にマスメディアを使っての情報流通が盛んで、デザイン選択におけるサービスも充実しています。ですが、ウェブなどで閲覧していますと、現在は中古マンションの情報流通もかなり充実しており、デザインの手法についても同様です。ただ、新築の方がご自分の手間が掛からないのは事実でしょう。

 ■メリット③は住宅ローン、登記といった購入手続についてですが、同様にフォローが充実しています。でもしっかり勉強すれば自分でも行うことができ、その方が、将来も続く住まいの諸手続きの学習機会となってかえっていいくらいです。

 メリットは総じていえば、情報コスト、サービスコストとして割高に価格として転嫁されていると言えるでしょう。

 さて、問題のデメリットの方ですが、■デメリット①については、私も職業柄20年~25年ほどたった分譲マンションの改修の相談やコンサルティングをさせて頂くことがあるのですが、まずすべての案件において修繕積立金が全く足りません。

 ですから不足分は各入居者から持ち出し(つまりカンパ)するか、修繕を先送りするかいずれかになるのですが、当然に理事会等での話し合いがその議題で紛糾し、その時間ロスも相当なものです。

 そのことを問題視した国土交通省は平成23年4月に「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を出しましたが、法的拘束力はなく、あまり守られていないのが実情です。

 特に気をつけて欲しいのは「タワーマンション」と「立体駐車場」がある新築マンションです。高層建築物の外壁や設備の将来における補修コストは大変割高です。立体駐車場のメンテナンスや補修はメーカーの寡占状態にあり、これも割高です。その中でももっとも避けたいのはタワー型立体駐車場です。

 加えて■デメリット②ご自身の専有部分の改修も20年~25年で必要になってきます。

 ■デメリット③分譲マンションは、新築時には2割、大手ならば3割近くが粗利益として載せられています。分譲マンションビジネスは、多額の債務を抱えますので、そのリスクプレミアムも含めて、大きな金額が価格に転嫁されます。さらにご自身が住宅ローンで3割ほど金利を払うことを想定すると、かなり割高なのがご実感いただけるでしょう。

 住宅ローンを組むならば、新築分譲マンションは購入した途端にその価格が粗利益2割~3割ぶん下落します。粗利益を超える頭金を準備しておかないといわゆる「逆さや」の状態が長く続きます。、住宅ローンが元利均等払いだと最初しばらくは元本が減らないのでなおさらです。加えて修繕積立金、管理費、固定資産税、都市計画税等の年間コストがかかります。「最悪賃貸に出せば、、、」といった考えも、近年の賃貸相場を考えると難しいでしょう。

 建築家として、新築分譲マンションのデザインレベルを評価するならば、建築法規とコストのバランス最優先。外壁や内壁、住宅設備といったいわゆる「表層」を手際よく合わせた、といったレベルでしょう。無難なスタイルで、デザイナーズマンションといいつつデザイナーが不在なのも特徴です。

中古マンション・賃貸住宅・戸建住宅それぞれの特徴は?

 コストパフォーマンスを考えるならば、圧倒的に中古マンションです。修繕履歴も開示されていますし、入居者に関する情報も少なからず手に入ります。(新築では個人情報保護の建前、全く手に入りません。)

  所有にこだわらず、将来も見据えたファイナンスの安全、立地や階の自由度、ライフスタイルの変化に伴う自由を求めるならば賃貸住宅がベストです。賃貸住宅市場は、これから一部の競争力のある物件は除いて、人口減少とともにゆるやかに下落していくというのが大方の予想です。部屋のすべてを自由にすることはできませんが、市場での工夫のための商品も充実しており、何と言っても住宅ローン、諸税、修繕積立金、管理組合といった諸負担から自由であることの、人生におけるメリットは計り知れません。不具合があればビルオーナーが修繕してくれます。集合住宅に住むと、少なからず自分とソリの合わない人やいわゆる変人と同居することになるのですが、賃貸ならば他人同士でいられます。不愉快ならば引っ越せばいいわけですから。

 不動産の資産価値と、生活の自由度にこだわるならばやはり戸建住宅でしょう。資産として土地を所有するということの強みは、分譲マンションとは訳が違います。将来の資産の継承も含めた強み、そして庭といった生活の自由度、そして近隣との適切な距離も魅力です。

 「新築分譲マンション」をくれぐれも「最後の選択肢」とアドバイスさせて頂く理由、ご理解いただけたでしょうか?

 参考までに、現代社会の鮮やかな切り取り方で注目を集める作家・垣谷美雨さんの著書「ニュータウンは黄昏れて」を皆さんにお薦めします。バブル崩壊直前に新築分譲マンションを購入した家族が20数年後、前述した様な新築マンションの所有に伴う様々な現実に翻弄され続ける姿を描いていますが、我々プロが読んでも、かなり分譲マンション事情を勉強されて執筆されている印象です。そして何より社会小説としての完成度も優れています。将来の現実を実感する意味でも是非お手にとってみてください。

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