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日経記事;『パナソニック、家電量産に3D印刷機 コスト3割減 部品金型、短期で製造』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

6月16日付の日経新聞に、『パナソニック、家電量産に3D印刷機 コスト3割減 部品金型、短期で製造』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『パナソニックは樹脂や金属の立体物を容易に作れる3次元プリンター(3D印刷機)を家電製品の大量生産に活用する。樹脂部品の生産に必要な金型を同印刷機で作り、生産コストを3割程度削減する。

新たな生産技術として世界で注目される3D印刷機を家電など大量生産品で使う初めてのケースとなる。同手法は今後、自動車産業などでも広がる可能性がある。

3D印刷機は最近、世界で急速に普及している。顧客の求めに応じて一品ごとに形の異なる製品や部品を効率的に作ることができる。ただ、樹脂などの部品を大量生産できる金型を使う従来手法に比べて生産効率が低いため、家電や自動車などの生産には不向きとされてきた。

パナソニックは3D印刷機を使って金型そのものを低コストかつ短い期間で作ることで大量生産の効率をさらに高めることに成功した。

金型は様々な工作機械で金属を削ったり磨いたりして作っている。高い精度と強度が求められるために熟練技能も必要で、通常は製作に少なくとも1カ月程度かかる。新製品を開発するたびに新しい金型が必要なため、製造業大手では金型の費用が年数百億円程度になっている。

パナソニックは3D印刷機を使い、金型の製作期間を半分に短縮して費用も減らし、樹脂部品のコストを削減する。

同印刷機の一種で「金属積層造形機」という高性能機で金属の粉を溶かしたうえで固めて金型にする。工作機械メーカーの松浦機械製作所(福井市)などと共同開発し、多くの特許も取得している。

住宅関連機器を主力とする社内カンパニー「エコソリューションズ社(ES、大阪府門真市)」と子会社のパナソニックエコシステムズ(愛知県春日井市)がコンセントや換気扇のファンなどの金型を生産し中国やタイなどにも輸出する。ESは金型が約5000個あるが、半分近くを3D印刷機で作りたい考えだ。

同印刷機を使えば、樹脂の冷却時間を短縮できる特殊な構造の金型を作れるため部品の生産性が高まりコストも下げられる。ドライヤーやシェーバーなど他カンパニーの家電品にも広げていく。』

3Dプリンターに関する現在までの新聞やテレビでの報道内容は、個人がものづくりで起業できる時代が来たことが強調されています。

しかし、中小企業のものづくり分野では、3Dプリンターが活躍を開始しています。私の支援先企業の多くは、企業経営にITを多様的に使って、経営効率を上げています。

これらの企業は、ITと共に3Dプリンターを積極的に導入したり、活用することで、開発行為の高精度化と高効率化を同時に実現しつつあります。

現在、多くの中小企業は、商品企画、開発、製造、販売を分業化・専門化して行なうことで、差別化・差異化を図って勝ち残ってきています。

これらの分業化した中小企業は、日本全国に分散しており、情報交換や打ち合わせは、ITを使ってSkype会議や電子メール、あるいは、チャット機能などを使って行なうことで、コストと時間の短縮を図っています。

Face-to-faceの打ち合わせは、必要最小限の頻度にて行なうことで、効率的な水平分業の事業モデルが成り立っています。

そこに、昨年来国内で急速に広がっている3Dプリンターが開発分野で革命を起こしています。

一つは、低コストで試作品製作が手軽にできることです。3Dプリンターを使うには、ベースとなるデータ入力を行なう必要がありますが、いったん作成・入力できれば、当該データは関係企業間で共有できます。

今までの試作品製作は、図面データやイラスト、写真などの情報に基づいて行なう必要がありました。

このため、試作品製作の依頼主は、思うような試作品ができるまで何回も製作を要請することになり、当該製作コストが高くなる、あるいは製作期間が長くなる負担が生じていました。

3Dプリンターは、上記のような問題を解決しつつあります。いったんデータ作成・入力が終了すれば、依頼主は試作品製作企業にインターネットで情報を送ります。

金型を使わずに一品一品違うデザインのものを低コストで製造できる、複雑な形状の部品の一体造形が可能になる、といった利点を活用できるからです。

3Dプリンターは試作の期間短縮や低コスト化をもたらすだけでなく、開発段階でコミュニケーションツールとして活用できる点も重要なことになります。

手軽に製作できるため、何回でも試作し、実際に形を作って見せることで関係者の間でアイデアを交換でき、質の高い共同作業が可能になることで、付加価値の付く試作品ができあがることもあります。

繰り返しになりますが、試作品製作企業は、当該データを3Dプリンターに入力して試作品を作ります。そのできた試作品を依頼主に送って評価してもらって、Skype会議などで情報交換や討議を行ない、必要に応じて再度試作品の改善を行ないます。

実際の試作品をもとに依頼主と製作企業が会話できますので、試作品製作が迅速に進みます。

このようなプロセスを何回か行なっても、上記のように製作期間とコストは格段に短く、かつ安くなっています。

少々資金力がある企業は、自社に3Dプリンターを導入して、試作品製作を取り込んで更なる合理化を達成しているところもあります。

3Dプリンターの利便性は、使用、あるいは活用頻度が増えることで体感できます。ある金型メーカーは、顧客企業からの金型製作依頼をよる柔軟に、かつ、低コストで対応できるようにするため、自社に3Dプリンターを導入して成功しています。

このように3Dプリンターは、金型を含む試作品製作で大きな効果を上げてきましたが、現在まで小型3D プリンターでの生産には限界があると言われてきました。

量産能力が低いことと、使用できる素材が5 種類ほどに限られていることによります。
一方、一部の産業用3Dプリンターは、既に医療用インプラントやジェットエンジン用の部品など、最先端分野で活用されていようになっています。

業務用に開発された高度なこれらの技術は、いずれ小型3D プリンターにも転用され、多くのベンチャー・中小企業が、小型3Dプリンターの発展に目を配りながら、デザインや品質など、他社がまねできない領域を開拓できるようになるとみています。

国内製造企業は、ITと3Dプリンターを業務効率化やコスト削減だけでなく、新たな価値創出のために活用する姿勢が差別化・差異化を図るうえで必要になります。


さて、3Dプリンターの課題の一つに、上記のように量産品への適用がありました。本日の記事は、パナソニックが金属の粉を溶かしたものを素材として使う3Dプリンターを、工作機械メーカーの松浦機械製作所などと共同開発して、樹脂部品の生産に必要な金型を多数作る手法を実用化したことについて書いています。

大手製造企業は、パナソニックのように多くの金型を使っており、年数百億円程度になっています。私が以前勤めていました電機メーカーも同じ状況でした。

金型の製作と管理は、大きな負担の一つになっていますが、金型は差別化・差異化を実現する重要な手段であるため、必要悪として許容されています。

今回のパナソニックの動きは、メーカーの金型製作・管理に革命をもたらします。3Dプリンターの導入で、金型の高機能化・低コスト化を同時に実現できるからです。

また、このことは国内製造企業の技術力の源泉の一つ出会った金型製作が、ITと3Dプリンターを使いこなせば、海外企業も容易に実現できることを示しています。

3Dプリンターの使いこなし方が、メーカーの競争力を左右する要因の一つになる可能性があります。

今後の3Dプリンターの動きについて注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁


 

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