意思決定の前提とすべきものが”すでに起こった未来” - 資産運用・管理 - 専門家プロファイル

前田 紳詞
代表取締役
ファイナンシャルプランナー

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対象:お金と資産の運用

柴垣 和哉
(ファイナンシャルプランナー)

閲覧数順 2024年04月23日更新

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意思決定の前提とすべきものが”すでに起こった未来”

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ファイナンシャルプランナーが教えるシリーズ 役に立つ”偉人達のお言葉”
”マネジメントの父”と言われる、P・F・ドラッカーのお言葉。

GE(ゼネラル・エレクトリック)やマイクロソフトとかの企業経営に大きな影響を与え、世界トップクラスの経営コンサルタントで”マネジメント”の概念を考え出したドラッカーは、”社会生態学”という社会の大きな流れについても多くの論文を残され、社会に大きな影響を与えました。

有名なものとしては”断絶の時代”(ダイヤモンド社)において民営化について述べ、それを英国のサッチャー政権が重要政策として採り入れたことは有名です。日本の郵政民営化の基を考えたとも言えます。

そのドラッカーが将来に向けて何かを意思決定しなければいけないときの考えとして示したのがこの言葉です。

意思決定の前提とすべきものが「すでに起こった未来」である。


学者や知識人、優秀な役人の方々は理論や哲学から物事を推論します。政治や社会、経済はそういった理論どおりに動くと考えます。しかし現実には理論をもとに社会が動くことはありません。常に変化し続けるからです。

そのためドラッカーは将来のことを考えるにはこれまでに起こっている事実”すでに起こった未来”を知ってその変化の延長線を知ることが大切だと述べました。

「サブプライム問題」は大きな問題になりました。これが最初に表面化したのは2006年から米国の住宅不動産価格が下げ始め、2007年2月に英国の大手銀行HSBCがサブプライム関係で多額の引当金を計上したところからです。

その頃、ほとんどの人達が”米国経済は底堅く、大した影響は出ない”とその問題を軽視していました。

その後もベアスターンズが6月に大幅損失処理を出したり、各金融機関が損失を出してきて問題化してきても尚、多くのエコノミストは”米国経済は底堅いので心配ない”と述べていました。

結局、問題の大きさに気づいたのは2008年になってからです。その頃には、すでに米国経済は下降路線に入ってしまいました。

私自身は2007年5月に米国のニューヨークに行き、現地での不動産バブルを目の当たりにし、大変な問題になることを実感してその後、すぐに自分のブログにこの危険性を報告しました。

こういった目の前で起きていることが”すでに起こった未来”です。

個人投資家の方々も、将来について考えるときには大勢のコメントをそのまま信ずるのではなく、自分の目や耳で調べた事実をもとに投資対象を判断することをオススメします。