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日経記事;『中部電、東電と発電所建設 首都圏で独自小売り、地域独占に風穴』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本雅暁です。

5月25日付の日経新聞に、『中部電、東電と発電所建設 首都圏で独自小売り、地域独占に風穴』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『東京電力と中部電力は、茨城県に石炭火力発電所を共同建設する方針を固めた。2019年稼働を目指し、60万キロワット級の発電所を建設。中部電が800億円前後の投資の大半を負担し、一部の電気を東電管内で販売する。

営業区域をまたぐ「越境販売」が前提の提携は業界初。16年の電力小売り全面自由化を見据え布石を打つ。大手電力10社の地域独占体制を崩す一歩となる。

経営再建中の東電は、設備投資に回す自己資金が足りないため、24日を締め切り日として新規の火力発電所建設の入札を実施中。外部資本を活用して合計260万キロワット分の電源を確保する。中部電は東電と組む形で応札し、発電所建設と電力供給事業を担う特定目的会社(SPC)を共同で設立する方針だ。

出資比率は中部電が9割程度になる見通し。東電の常陸那珂火力発電所(茨城県東海村)に出力60万キロワット級の最新鋭石炭火力を1基建設する。全体の電力のうち7割前後を東電に、3割前後を中部電に卸供給する。発電所の実質的な運営は東電が担う見通しだ。

中部電は東電の送電網を借りて、首都圏の事業所や家庭に電力を供給する。価格競争が進み、利用者はより安い電力を選べるようになる。

今回の入札は発電単価に環境対策費などを加えた価格が1キロワット時あたり9円53銭以下であることが条件。これを満たせるのは、燃料費が最も安い石炭火力に事実上限られるため、参加企業は少ない見通し。東電・中部電連合は上限に近い価格で応札するが、落札するのは確実とみられる。

このほか、IPP(独立系発電事業者)を手掛ける新日鉄住金と、電力卸専業のJパワーが応札を検討している。新日鉄住金は発電設備がある鹿島製鉄所(茨城県鹿嶋市)の空き敷地を活用するもよう。

電力市場は00年以降の規制緩和で、工場や商業施設、ビルなどの大口契約については営業区域をまたいだ「越境販売」が可能となっている。しかし、地域独占体制の壁は厚く、九州電力が中国電力管内にある広島市のイオンの店舗に供給する1件にとどまっていた。

経営難に陥っている東電は、自前で発電所を建設する資金力はなく、幅広く提携相手を募る戦略に転換した。政府は4月に電力システム改革を閣議決定。16年に家庭向け小売事業への参入を全面自由化し、18~20年に電力会社から送配電事業を分社化する「発送電分離」を実施する方針だ。

中部電は今後、異業種の参入や地域間の顧客争奪戦が本格的に始まると判断、東電と組む形でいち早く首都圏に足がかりを築く。

電力大手が発電事業で手を組む事例はこれまでもあった。東電は東北電力と共同出資で福島県に火力発電所を持ち、新潟県の柏崎刈羽原子力発電所の1号機から発電量の半分を東北電に供給していた。ただ、両社とも調達した電力は自社の管内で売ってきた。』

本日の記事は、今まで地域ごとに発電・送電・売電の事業を独占的に行なっていた、大手電力会社同士が地域の枠を超えた事業連携を具体的に行なう視点から注目できます。

政府は、記事にありますように、2013年4月に電力システム改革を閣議決定し、2016年に家庭向け小売事業への参入を全面自由化して、2018~2020年に電力会社から送配電事業を分社化する「発送電分離」を実施する方針を明確化しました。

この電力事業自由化の動きは、新規事業創出と、より効率的な発電・送電方式が生まれることになりますので、大いに期待しています。

電力会社の地域独占の弊害は、かねてから無競争の結果、硬直的な事業構造から高コスト体質を生み、高い電気料金化につながってきたと指摘されてきました。

その硬直化した体制が、大震災と原発事故によって大きな問題のあることを顕在化させて、電力事業構造の見直しにつながりました。電力事業の自由化は、大競争時代を開き、技術革新がさまざまな分野で確実に起こります。

かって、某大手電力会社の経営幹部が、「電力料金の値上げは、電力会社の責務であり権利です。」と発言して大きな批判を浴びました。

この発言が無競争環境の弊害を端的に示しています。

日本は、ほとんどの天然資源を海外からの輸入に頼っています。石炭を除く資源である天然ガスと石油は高価格で輸入しています。価格が円安に振れると、輸入価格はさらに上昇します。

無競争であれば、必然的に電気料金は高騰し、企業と一般家庭が当該料金を支払うことになります。高額電気料金は、企業の競争力を弱めることになりますので、製造業を中心に海外移転加速化の要因の一つになります。

さらに、無競争は技術革新の可能性を封印してしまいます。国内企業は、エネルギーや環境対応事業で世界市場を開拓する必要があります。そのためには、国内で培った最新技術を事業化・実用化して、海外市場で展開するやり方を確立・強化する必要があります。

無競争では、このビジネスモデルが国内では生まれません。発電と送電事業は、今後の国内企業の海外展開の大きな柱を占めますので、電力事業の自由化は徹底的に行なう必要があります。

自由化されますと、電力事業会社のサービス内容は、価格と信頼性の観点から企業や一般家庭である顧客から判断されます。

電力会社は、必然的に高効率な事業展開を積極的に行なって自社の経営力を高めて顧客から支持される様に動きます。

顧客は、契約電力(家庭で言う基本料金)と毎月の電気使用量で電気料金を支払いますので、最適なサービス内容を提供する電力会社と契約します。

電力会社は、発電、送電の各事業に分けられて事業しますので、顧客満足度を最高レベルにする事業モデルを作る必要がありますので、各種の事業連携が生まれて、常に合従連衡する動きになります。

この過程で、最強の事業モデルを構築・維持・強化する動きが継続的に行なわれます。ここに技術革新の大きな潜在力が生まれます。


一方、企業や家庭は、CO2削減に一層の協力を行なう必要が出てきています。当面、原子力発電の本格的再開は難しい状況が続きますので、天然ガス、石油、石炭などの化石燃料に頼って火力発電量を増やす必要が出てくるためです。

化石燃料の使用は、CO2排出につながります。太陽光発電はCO2削減に貢献しますが、現時点では発電量が限定されることと、発電コストの高さが課題になっています。

CO2削減と低発電コストの観点からは、風力発電、地熱発電、バイオマス発電などの新技術が期待されますが、実用化・普及までには時間を要します。

CO2排出量の抑制には、消費電力を抑えるのが最適な方法になります。省電力化が重要になります。

部品や製品単体で省電力対応のものが続々生まれています。以前、本ブログ・コラムで紹介しましたように、多くのベンチャー・中小企業が省電力技術・製品を発表・実用化しています。

日本全体で、高効率・低コスト化の発電・送電事業や各種節電を可能にする部品・製品の実用化が進むと、電気エネルギー全体での産業集積が進みます。

この過程で生まれる技術・製品や各種ノウハウは、国内企業の大きな強みとなり、徹底的に差別化・差異化されたもので海外展開できることになります。

今回の地域を超えた電力会社の動きが、これらの流れを加速する起爆剤の一つになることを大いに期待しつつ、今後の動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本雅暁

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