- 真鍋 貴臣
- 香洋ファイナンシャル・プランニング事務所 代表者
- 香川県
- ファイナンシャルプランナー
対象:家計・ライフプラン
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130314/biz13031413350015-n1.htm
【抜粋開始】
トヨタ自動車の豊田章男社長は14日、安倍晋三首相と官邸で会談し、年間一時金(ボーナス)で満額回答した今春闘の結果を報告した。
豊田社長は会談後に記者団の取材に応じ、安倍首相が「トップ企業として、そういう(満額回答の)姿勢を示されたことはありがたい」と謝意を示したことを明らかにした。
【抜粋終了】
アベノミクスの効果が出始めています。
真っ先に恩恵を受けるのは輸出型の大企業であり、これは構造上真っ当な現象です。
まずは大企業が儲かり、次にその影響が中小に波及しますので、地方や中小下請けに影響が出るのは、もう少し先になりそうですね。
さて、今回のテーマは「企業間格差」
就職するなら大企業と中小企業どちらがいいの?という事ですが、私の見解は以下のとおりです。
「中小企業の方が面白い」
■日本の企業のほとんどは中小企業
中小企業の定義は、中小企業庁のFAQ(http://www.chusho.meti.go.jp/faq/faq01.html)を見ていただくとして、日本にある全企業のうち、実に99%は中小企業と分類されます。
つまり、そもそも多くの人は「大企業と中小企業のどちらに就職しようか?」と天秤に掛ける事さえ難しい状況です。
また、給与水準や賃金上昇のスピードを比べても、中小企業が大企業に劣る事は明確です。
(参考:http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/h21/h21/html/k3310000.html)
しかし、それでも私は「中小企業への就職の方が面白い」と感じるのです。
■大企業と中小企業の「体質的」な違い
私はかつて中堅の地方銀行に勤め、その後退職して家業に戻りました。
今では家業の経営者兼自営業者(FP)という二足のワラジを履く立場です。
その経験を通して確実に言える事が一つあります。
それは「大企業と中小企業では、職員一人に与えられる権限の範囲と意思決定のスピードが違う」という事です。
少ない職員で多くの仕事を回さざるを得ない中小企業は、相対的に職員一人一人に与えられる権限が拡大する傾向にあります。
大企業では何人もの役席に承認のハンコを貰いに回るような案件でも、中小であれば口頭で社長に相談して終わり…という事がよくあります。
また、決定権限者が社長一人ということもよくありますので、意思決定のスピードも全く違いますし、結果として自分の仕事に対する”結果”の見え方も異なります。
なにより私の場合、大企業にいた時は自分の能力を磨く事よりも、組織の中で如何にそつなく立ち回るかという事に気を回していたように思います。
それは、成功した時の報酬よりも、失敗した時のペナルティの方が大きい事を知っていたためです。
(文化的にも「仕事は成功して当たり前。失敗したらお前とお前の上司のせい」という風潮が強かったため)
そしてそういった行動原則は、上司を見ても同僚を見ても、そんなに差がないと感じていました。
■何を仕事に求めるか?
このような状況が繰り返される事により、起きてくる現象はどんなものでしょうか?
かつてマートンという社会学者は「官僚の逆機能」という概念を提唱しました。
これを私なりに要約すると「硬直化した組織が個人的な資質や成長を阻害する」ということです。
かつての私は、完全にこの状態に陥っていたと思います。
一方、経営との距離が近く、成功が自分の評価にダイレクトに影響する中小企業は、大企業に比べ能力開発のインセンティブが強く働くと感じます。
実際、日々中小企業の経営幹部や経営幹部候補の方と話していても、その意識の高さに驚かされます。
中小企業庁は「中小企業憲章」の中で「中小企業は、経営者と従業員が一体感を発揮し、一人ひとりの努力が目に見える形で成果に結びつき易い場である。」と定義しています。
サラリーの面からは大企業に劣る中小企業ですが、「仕事の成果を感じる」=「働く意義を見つける」事に関しては、むしろ優位ではないかと思います。
人は33年~38年間、何らかの仕事をします。
そんな長期間仕事をするのであれば、はやり仕事を通じて自分の成長や意義を見出したいものです。
中小企業には、それに応える事の出来る環境があると思うのです。
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