「公私混同」という言葉が良い意味で使われることは、ほとんどないと思いますが、最近読んだある記事に書かれていた、「良い意味の公私混同」ということがとても印象に残りました。
その記事では、「“私”で実現したいと思っていることを、“公(仕事)”を通じて実現しようとする」ことを、「良い意味での公私混同」と表現していました。
一般的には、「公私混同」は良くないことで、それを避けるため、ワークライフバランスを保つため、その他さまざまな理由から、仕事とプライベートをはっきり分けるという考え方があると思いますが、「公私混同」が仕事に良い影響を与えることも、実はたくさんあるように思います。
スポーツ用品販売のアルペンの店舗では、週休三日制を導入していて、そのうち1日はスポーツにあてるのがルールで、実際に自分が取り組み事で得た知識を顧客に伝えることを大事にしているそうです。
飲食関係の人が休日を利用して食べ歩きしたりするのも、これと同じことでしょう。
これは究極かもしれませんが、自分が心から楽しいと感じることが仕事になっていれば、「これは仕事」だとか、「これはプライベート」だとかを論じる必要もなくなってしまうでしょう。
「良い意味の公私混同」から見ると、「やりたいことを実現するためのリソースの一つとして仕事がある」とも言えるし、「仕事で得た能力や経験、立場や人脈を、いかに活用して自分のやりたいことにつなげるかという考え方」とも言えます。
経営者、事業者という立場の方々は、好むと好まざるとに関わらず、この「良い意味の公私混同」の中で仕事をしているので、苦労は多くても皆さんイキイキとしています。私自身も今はこの端くれですが、同じような感覚があります。
これは、自分が会社員時代に全くできていなかったことなので、よけいそう思うのかもしれませんが、組織に属していたとしても、自分の考え方一つでずいぶん変わるように思います。
もちろん、自分のやりたいことがあまりにも私利私欲に偏っていては問題ですが、こういう考え方をすることで、今まで持っていた仕事のやらされ感ややりがいのなさが、ずいぶん解消されていくように思います。
自分にとっての「良い意味の公私混同」をもう一度考えてみると、また少し違った世界が見えてくるのではないでしょうか。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
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