三洋電機解体に想う! - 各種の新規事業・事業拡大 - 専門家プロファイル

下村 豊
株式会社CSプランナー 代表取締役
経営コンサルタント
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今朝の日経新聞に「三洋電機解体」という私にとってショッキングな記事が載っていた。


パナソニックに吸収合併されてから、2年・・・。


一時期は、洗濯機や留守番機能付き電話、ニッケル、リチウム電池、太陽電池などは、世界シェアNO.1を誇っていたこともある。


他にも、携帯電話やデジタルカメラ、カーナビなど、OEM(相手先ブランド)供給で生産日本一にもなったこともある。


従業員も、最高時には連結で10万人を超えていた企業である。


私は、前職で工場が顧客だったので、三洋電機は、関連会社を含め、岐阜、滋賀、京都、大東、守口、淡路、鳥取、佐賀に何度も行った。


日立や東芝、三菱やパナソニック(旧松下電器)、ソニーのように、規模や商品力は一流どころではなかったかもしれないが、それになりに電機メーカーの中で、定位置があったように思う。


最近、シャープの業績不振が話題になっているが、一時期は三洋電機のほうが上だったはずだ。


思うところに、シャープの先行きを、さらに不安にさせるニュースだ。


では、なぜ、こうなってしまったのか、と思わせる事例をひとつ挙げたい。


それは、『洗剤の要らない洗濯機』である。


技術におぼれ、消費者感覚を軽視した商品だった。


工場は滋賀にあり、琵琶湖を抱える土地柄、水質汚染に敏感だったのは間違いない。


しかし、売れなかった。


当時、消費者センターの発表では、洗剤を使う洗浄力との比較が出ていたと記憶しているが、極端に能力が劣るものではなかったはずだ。


理由は、洗濯後の衣服の香りに対する消費者感覚がなかったことだ。


洗った後、干して乾かした後の衣服についた石鹸の香りがない、ということは消費者を不安にさせた。


また、洗剤メーカーが1回の洗濯に使う洗剤の量を激減させたのも、この時期だった。


洗剤を使わない、イコール洗剤を購入する費用を節約できる。


だから、売れると考えたのだろう。


このことが、今回の解体に直接、結びついたのではないだろうが、多くの製品で同じ発想が流れていたのが根本にあったのではないか。


ここだけの話だが、当時、工場に行った時、従業員が「僕でも買わない。」と言っていたことを思い出す。


これは、三洋電機という製造業だけの問題ではない。


現代の日本が抱えている大きな問題ではないか。


自社商品やサービスを従業員に『私は要らない。』『私なら買わない。』と言わせている企業がどれだけあるのだろうか。


読者の皆様、一度、自分の扱っている商品やサービスを見直してみてはいかがでしょうか。








新商品、新規事業の戦略を貴社と一緒になって考えます。ぜひ、ご相談下さい。

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