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日経記事;『円安でも海外生産拡大 経営者アンケート原料コスト高警戒国内投資賃金へ波及焦点』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

5月11日付の日経新聞に、『円安でも海外生産拡大 経営者アンケート原料コスト高警戒国内投資賃金へ波及焦点』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。
 
『円相場が10日、対ドルで節目の1ドル=100円を超えて下落し、輸出産業を中心とした企業の業績にプラスに働く。ただ、多くの企業は成長が見込める新興国など海外で生産を拡大する姿勢を変えない。円安・株高が景気の本格回復に結びつくか。賃上げや国内投資に波及するかが焦点になる。

日本経済新聞社が10日に実施した「経営者緊急アンケート」では企業の6割超が現状に近い1ドル=100円台なら収益が改善すると見ていることが分かった。

国内主要企業の社長(会長、頭取などを含む)を対象に10日に実施。102社から回答を得た。1ドル=100円台が続いた場合の影響を聞いたところ、18.6%が「大幅な収益改善の要因となる」と回答。小幅ながら収益が改善するとの回答を含め計63.7%がプラスの効果を見込んでいる。

日立製作所の中村豊明副社長は10日の決算説明会で現状の円安について「100円にいけば(収益へのプラス効果は)結構、大きな額になる」と話した。

円安が進めば輸出が増え、製造業を中心に恩恵が出る。外国人旅行者も増えている。

ただ、長く続いた円高下で日本企業は海外への生産移転、原材料や製品の海外調達の拡大で為替変動に左右されにくい体質への転換を進めた。東芝は8日の決算会見で、90円に満たない円高下に比べ、ここまで円安が進むと増益効果は半減する見通しだと話した。

アンケートではカジュアル衣料の「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングなど21.6%が現在の円安が続いても「収益にほとんど影響しない」と回答した。

輸出企業は現地ニーズに即応するため中長期的な計画で海外展開を進めている。スズキの鈴木修会長兼社長など「生産の現地化、海外生産の流れは変えない」との回答が62.7%を占めた。国内投資の拡大にはなお慎重な企業が多い。

むしろ過度な円安は原材料などの輸入コスト上昇を招きかねず、経営者から「為替の中長期的な安定」(JFEホールディングスの馬田一社長)を望む声が上がっている。

円安は多くの企業に収益改善効果をもたらすものの業種によっては負の影響が大きくなる。第一生命経済研究所の永浜利広主席エコノミストの試算では、円安がさらに1割進むと電子部品や自動車、電気機械の収益は4~10%押し上げられる一方、非鉄金属や建設、電力・ガスなどは1~6%ほど収益が落ち込む。

円安による資源高をスムーズに価格転嫁できなければ業績改善は難しい。為替が現在の水準で安定し企業業績の回復が確かにならないと賃金の上昇も含めたデフレ脱却には結びつかない。

液化天然ガス(LNG)などの輸入が貿易収支を赤字方向に引きずる現状を考えると「円安の行き過ぎはむしろマイナス」と日本総合研究所の山田久調査部長は話す。株価上昇などの影響を考慮しない場合、110円台に達すると国内総生産(GDP)にマイナスの影響が出ると見込む。』


現在の円安は、輸出事業を主に行なっている中小企業には大きなメリットを与えています。今までの異常な円高環境下で何とか生き残ってきた中小企業は、それなりのコスト競争力をもっていますので、円安は収益拡大に直結します。

さらに、円安を利用して輸出価格を値下げして、中国、韓国、台湾などのアジア企業との競争に打ち勝とうとする積極的に動く中小企業も出始めています。

実際、私の支援先企業の中にも、価格競争力の向上を武器に積極的に海外市場開拓を進めて、売上拡大を実現しつつあるところもあります。

円高・円安にかかわらず、国内市場は少子高齢化と15歳から64歳までの生産年齢人口減少により、市場規模が縮小していきます。

国内市場に特化して、これだけで一定の事業規模を確保して海外市場開拓を必要としない一部の中小企業を除くと、多くの企業は海外市場開拓を行なう必要があります。

海外市場への販売には、基本的に二つのやり方があります。一つは、国内に生産拠点をもちつつ、国内から輸出する事業のやり方です。もう一つは、製造業の場合ですと、海外に生産拠点をもって、消費者市場で近いところで生産・販売する「地産池消」のやり方です。

本日の記事では、大手企業は円安が進行しても、現地生産拡大のやり方について見直しをしないところが多いことを示しています。

これは、現在の主要市場がアジア地域を中心とした新興国であることが大きな理由の一つになります。

10年位までは、新興国市場の規模はまだ小さく、特定の高級市場が主要ターゲット顧客層でありましたので、先進国市場で売れているものをそのまま販売すれば、一定規模の売上確保ができていました。

また、当該市場の状況に合わせて、販売価格を下げることで、事業が成立していました。

しかし、ここ数年間で、新興国市場の状況が一変しました。国内や海外から多くの企業が進出や投資を行なった結果、現地人の就業人口と所得水準の上昇が起こり、いわゆる「中間所得層」が急増しました。

この中間所得層は、上記の15歳から64歳までの生産年齢人口の層と重なります。しかもこの層は、アジア地域では現在急増中です。

ここに多くのビジネスチャンスがあります。一部の欧米企業はいち早くこの状況に着目して、現地要求仕様・機能・価格などに合った商品を市場に近いところで作る現地生産を積極的に行ない、収益を上げました。

国内企業もその事業展開の有効性に着目して、現地に合った商品の現地生産を推進めています。


一方、米国市場では、自動車メーカービッグスリーが円安を利用して国内自動車メーカーが米国市場に輸出攻勢をかけると反発しています。

このような事業環境もあって、国内自動車メーカーは米国やメキシコなどでの現地生産をさらに増やす考えをもっています。

上記状況下、国内企業の新興国や米国などの主要市場に対する現地生産の必要性は増しています。
円安でもこの状況に大きな変化はないとみます。

多くの中小企業は、BtoBタイプの事業を行なっており、既存取引先が海外生産を拡大すると、国内市場での売上減少につながります。

また、多くの中小企業は、既存取引先から海外進出の要請・要求が出されており、応じないと取引先から受注できなくなるリスクをもっています。

このようなリスクを回避するために、取引先と共に海外進出する中小企業が少なからずあります。
私もこのような課題を抱える中小企業から、海外進出の是非について、たびたび相談を受けています。

私は、基本的に十分な事前調査や情報収集、検討と分析、事業計画作成などの事前準備を行わない状態での海外進出には反対しています。

例えば、毎年中小企業庁が出しています、「中小企業白書」をみますと、海外進出した多くの中小企業が撤退を余儀なくされる状況が起こっています。理由の大半を占めているのが、販路開拓・集客の難しさです。

海外進出前に販路開拓・集客のための事前準備や施策を行なっていなかったために、既存取引先から受注できなくなった後に、事業継続不能に陥ったことが要因の一つになっています。

このような事態を防ぐために、海外市場開拓や進出を考える中小企業は、まず国内からの輸出事業を行なって軌道にのせることからはじめるのを推奨しています。

輸出を行なうには、販売代理店、輸出入商社、販売会社、現地特約店などの流通業者などと連携・協業していくのが基本的なやり方になります。

自前で販路をもつのは、最終顧客を確実につかまえて一定規模の収益を安定して確保できるようになった後に、実行することが成功のポイントの一つになります。

また、英語や現地語での自社Webサイトを作って積極的に情報発信・更新していくことも必要なことになります。最終顧客や関連事業者は、必ずWebサイトから情報収集するからです。

中小企業は、輸出事業を通じて、海外企業との付き合い方、海外市場・最終顧客のニーズの把握、海外市場の商習慣などのノウハウ蓄積ができますし、積極的に学習し蓄積する姿勢が重要になります。

多くの中小企業は、海外市場開拓を行なう必要がますます高まっていきますので、今から必要な事前準備や検討を行なって、事業計画作成を行なうことが重要になります。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁


 

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