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太陽光発電の売電価格38円は妥当なのか?

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2012年7月は民主党政権の時ですが、日本のエネルギー政策は原発を廃止し、再生可能エネルギーによる太陽光発電の普及促進を目的に全量固定価格買取制度が施行されました。

これは基本的には出力が10kW/時以上の産業用太陽光発電を対象にした制度ですが、10kW/時未満の住宅用太陽光発電にも余剰電力固定価格買取が適用されて、一挙に売電という言葉が話題になったのです。

ご存知のように住宅の屋根などに設置された太陽光パネルが発電する電気はまずその住宅で照明やその他の家電用の電気として消費されます。

しかし、太陽光発電システムの出力がその住宅内での消費電力を上回った場合、余った電気(余剰電力)は自動的に管轄の電力会社が買い取るというシステムで、その買取価格、すなわち売電価格は1kW/時あたり単価が42円になりました。

なお、この42円の単価を海外のそれと比較したいのですが、為替レートの変動がありますから具体的な金額は分かりません。

ただし、例えば同じシステムを施行しているドイツよりも好条件であるとも言われています。

ドイツはこの制度を2000年に導入していますが、最近では財政的な理由から売電価格はかなり引き下げられているとも聞きます。

そうなるとこの42円が妥当なのか、高すぎるのか、はたまた安いのかという基準はどこにも無さそうです。

ちなみに売電制度は今に始まったわけではなく1992年(平成4年)に始まっていて、2010年度は1kWあたり48円でした。

実は42円より6円も高かったのですが、どうして2012年度に売電が話題になったのでしょうか。

憶測の域を出ませんが、その理由のひとつは売電単価が42円に引き下げられても、その電気をつくりだす太陽光発電システムの導入価格が安くなり、投資と回収のバランスを見ると従来10年以上はかかると考えられていた回収期間が最短では7年程度まで早まったことがあげられそうです。

つまり、固定価格買取制度が有効な10年間の7割程度で元がとれますから、残りの3割に当たる3年間は売電がまるまる実収入になるのです。

さらに産業用太陽光発電では規模次第ではありますが、売電単価が42円でも前述のように投資金額が以前ほどかかりませんから十分採算がとれることになります。

こうなると太陽光発電を導入するメリットが大きくなりますし、太陽光発電ビジネスも新しい分野として成長が期待されます。

ところが、政権が変わったためこの太陽光発電普及促進に吹きかけた追い風の様相が変わりました。

売電単価42円は高すぎるということで2013年度からは38円に引き下げられたのです。

その理由は、原資にあたる太陽光発電システムの平均価格がこのところ平均8.3%下落しているからだそうです。

この8.3%の下落には?マークがつきますが、これは経済産業省の調査結果によるものとのことです。

では、この新しく改正された売電単価38円は果たして妥当なのかどうかを考えてみたいと思います。

まず、原資である太陽光発電システムの価格下落ですが、メーカーの乱立や価格競争などがあるにしても、投げ売り的なことはしませんからそれほど下がっているようには思えません。

確かに低価格の太陽光発電システムが無いわけではありませんが、この1年で見ると価格は下げ止まりとも考えられます。

次に売電単価が8.3%引き下げられたということは売電市場のパイがそれだけ縮小されたことになります。

例えば従来なら月に2万円の売電収入が見込めた場合、それが1.66万円になりますから、これを1年、10年のスパンで見ると、その差額は大きなものになります。

こうなると売電収入の旨味が減りますから太陽光発電の普及促進に影響がないとは言い切れないのではないでしょうか。

昔から大盤振る舞いという言葉がありますが、これはやる気を鼓舞するための政策です。したがって。本気で再生可能エネルギーでの発電を将来国のエネルギー政策の柱の一本にするのであれば、この太陽光発電での売電単価引き下げには疑問が残るのではないでしょうか。

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