２０１３年８月のソニー銀行の金利発表

　銀行の中では、数少ない翌月の適用金利を今月に発表しているソニー銀行ですが、８月は長期固定金利が上昇しました。

　まず変動金利ですが、これは日銀が「量的・質的金融緩和」を継続していることや、日本の短期金融市場が安定しているため、横ばいとなりました。変動金利の横ばいは、８月の他行の金利でも同様だと思います。

　なお、ソニー銀行は返済額を5年間一定とし、その一定の金額の範囲内で、元本、利息の定期的な見直しを行う「５年ルール」や、５年後に返済額を見直す際に、前回返済額の１２５％を上限とする「１２５％ルール」の不採用により、適用利率が急激に上昇した局面においては、返済額が大幅に増える可能性があります。

　ソニー銀行や新生銀行の変動金利を選択する際は、上記の仕組みの適用がないことを、よく理解しておくことが大切です。

　一方の固定金利ですが、中心となる固定１０年は前月比横ばいだったものの、２０年超の最長期間は前月比0.120％上昇の2.620％となっています。

　ソニー銀行の資金調達時期にあたる、６月下旬から７月上旬にかけては、アメリカのＱＥ３（量的金融緩和政策の第３弾）の縮小時期を巡り、アメリカの長期金利が上昇したことから、日本の長期金利もつられて上昇し、中心レンジが先月よりも多少高い、0.8％台後半で推移したことが要因と考えられます。

　今後の見通しですが、変動金利はしばらく据え置きとして、長期固定金利は今後もアメリカのＱＥ３の縮小時期をめぐる、ＦＲＢ（連邦準備制度理事会）のバーナンキ議長を中心とした委員の発言に左右される展開となりそうです。

　現在は、ＱＥ３の縮小時期が９月の予定通りと示唆する発言が出ると、金融引き締めを嫌気して、アメリカの株価は下落し長期金利は上昇、一方で、延期を示唆する発言が出ると、金融緩和の継続を好感して、アメリカの株価は上昇し長期金利は低下しています。

　同じような流れが日本でもそのまま起きており、0.8％台を中心レンジとした、上下に振れる展開となっています。

　また、アメリカ以外に留意すべき点としては、２１日投開票の参議院選挙で自公が過半数を獲得し、衆参のねじれが解消した場合、政策の進展を期待した海外投資家からの買いが日本株に入り、株価が上昇する一方、債券価格は下落し、長期金利が上昇する可能性があります。

　一方で、現在も中国の金融問題を中心とした不信感は根強く、香港や上海の株価が下落すると、日本株も軟調な展開となることが多く、この場合、債券価格は上昇し、長期金利は低下するものと考えられます。

　以上を総合的に勘案しますと、不透明要因が多いものの、現時点では最終的には、長期金利の変動幅は小幅に留まり、それに連動する長期固定金利も、小幅な動きになるものと考えています。

ソニー銀行、住宅ローン金利

沼田　順（ＣＦＰ(R)認定者・１級ＦＰ技能士、宅地建物取引主任者、住宅ローンアドバイザー）

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