人生で支出額が多い項目は,住宅の購入費,教育費,退職後の生活費で,これらをまとめて「人生の三大支出」といいます。「人生の三大支出」について考えてみたいと思います。
想像しやすいように,支出額を,
1 住宅の購入費 3500万円(利息含む)
2 教育費 2000万円(お子様お二人分)
3 退職後の生活費 7500万円(月25万円×12ヵ月×25年)
と設定しておきます。
それぞれの項目について見てみましょう。
1 住宅の購入費
借入限度額は,年収の一定範囲内と決まっています。積極的に上限いっぱいまで借りることはせず,家計の状況を見て,購入費や借入額を決定すると思います。また,頭金を準備しておくことで,利息や諸経費の負担を減らすことができます。金利や諸費用の低い金融機関を選ぶことでも負担を減らすことができます。住宅の価格自体を落とす以外にも負担を減らす方法が複数あるのが特長です。
住宅の購入を考えるときには,教育費の積み立て時期と重なる場合が多く,教育費を念頭に置きながら住宅の購入費を決定するかと思います。
ここで,考えたいことは,退職後の生活のための貯蓄です。年金の推定受給額を算出し,あとどのくらい貯蓄しておかなければならないか,大まかな目標額を算出しておきましょう。また,お子様(末子)が独立してから退職までの間でどのくらい貯蓄できるか算出してみましょう。
2 教育費
他の二つの支出に比べると金額は低めですが,節約することの難しい支出です。一定額はかかりますので,どのように準備(運用)するかがポイントになります。また,住宅の借入額が大きいと,教育ローンを組まなければならないかもしれません。利息の支払いが発生しますので,家計への負担になります。住宅ローンを抱えた上での更なるローンは避けたいものです。
3 退職後の生活費
退職後の生活費は,支出時期が一番遅く,どのくらい準備しておけばよいか分かりにくいため,考えることを後回しにしがちです。しかし,支出額としては非常に大きく,不足額によっては貯蓄期間を十分に取らなければなりません。
また,公的年金の受給額によって不足額が異なります。必要生活費もご家庭によって異なりますので,少し時間をかけて考えておくことをお勧めします。出来れば後回しにせず,他の支出と併せて考えたいものです。
さらに…
第四の支出(貯蓄)として保険料があります。三大支出にどのように対応するか,保険をどのように利用するか,ご家庭の状況や考え方によって異なるため,答えも異なります。
例えば,退職後の生活費はどのご家庭でも考えなければならない費用です。長生きリスクという言葉があるように,公的年金では賄えない部分を貯蓄しておく必要があり,大きな課題です。その方法として保険を利用することができます。しかし,退職後の生活費を準備する前に,今の生活費,住宅ローンの支払い,教育費の積立など,準備しておかなければならない支出はたくさんあります。三大支出を中心とした家計の状況を把握せず,解約しにく保険(退職後のための保険)に加入してしまうと,家計のやり繰りが難しくなります。逆に言うと,家計の状況を把握すると,保険選びはしやすくなります。ムリ・ムダの少ない保険を選べますので,納得して加入することもできます。
支出はバランスが大切です。木ばかりに目をとらわれず,森を見ることも忘れずに。
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