日経記事;『タイ起点に東南ア投資を インラック首相、日本に期待 本社と会見』に関する考察 - 海外展開 - 専門家プロファイル

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日経記事;『タイ起点に東南ア投資を インラック首相、日本に期待 本社と会見』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

5月3日付の日経新聞に、『「タイ起点に東南ア投資を」 インラック首相、日本に期待 本社と会見』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『タイのインラック首相は2日、バンコクで日本経済新聞と会見し、日本について「タイにとって最大の直接投資国であり、関係も良好」だとして、重視する姿勢を強調した。

タイ政府は、生産性向上と産業高度化のため今後7年間で2兆2000億バーツ(約7兆円)を社会インフラに投資すると表明。

高速鉄道などでも日本からの一層の投資・協力拡大に期待するとし「タイを東南アジアへの投資の入り口として活用してほしい」と述べた。

タイはインラック首相の就任直後の2011年後半の大洪水被害で、同年の実質国内総生産(GDP)伸び率がほぼゼロまで低下。ただ旺盛な内需と製造業の好調を原動力に、12年は6.4%成長とV字回復を果たした。

インラック首相は13年も4.5~5.5%の成長率が維持できると述べたうえで、中長期の成長に向けて「今年は国家の基盤強化に専念する」と強調。その中核として、年間の国家予算規模(13年度で約2兆バーツ)に匹敵する額を社会インフラに充てていくことを明らかにした。

洪水対策などのほか、鉄道や道路などを整備して国内や周辺国との物流を効率化し、タイ国内の開発と投資誘致を進めることを狙っているとみられる。

タイには日本企業約4000社が進出。タイへの直接投資累計額の4割超を占め、日本にとっても東南アジアで最大の事業集積地となっている。これまでは自動車、電機や繊維、食品など製造業・加工業が中心で、インラック首相は「新たなインフラ計画は、日本からの投資をもっと拡大してほしいというタイの姿勢の表れ」と強調した。

「インフラ整備は日系企業に大きな利益をもたらす」として、さらに幅広い投資に期待するとした。

具体的には、首都バンコクと主要都市を結ぶ高速鉄道4路線(総延長約1300キロメートル)の整備が大きな柱になる見込み。この車両システムでは日本のほか中国、韓国、フランスなども受注を狙っており、安倍晋三首相は1月の訪タイ時に新幹線の採用を働き掛けた。

昨年4月の来日時に九州新幹線に試乗したインラック首相は、2日の会見でも「日本はハイテク分野で優れている」と述べた。現状では在来型鉄道導入の検討が進んでいるが、日本が本格的に参画することへの期待を示した。

インラック首相発言のポイント
・タイ政府は、今後7年間で2兆2000億バーツ(約7兆円)をインフラに投資する
・日本はタイへの最大の直接投資国で、良好な関係を維持してきた。インフラでも一層の投資を期待する
・タイと日本の協力で東南アジア域内投資も進めたい。タイがミャンマーで計画する「ダウェー経済特区」で協力してほしい
・タイの国内政治はかなり安定してきた。格差を是正し、国民融和を進める
 
 タイは東南アジア諸国連合(ASEAN)域内外との貿易自由化を積極的に進めている。インラック首相は、タイの製造・物流の基盤をさらに強化すれば「周辺国との接続強化で、狙える市場がタイ1国の6000万人からASEAN全体の6億人に広がる」と指摘。東南アジアの「ハブ」として、活用の余地はまだ大きいとした。

一方、タイ国内の政治については「国民の声を聞くことを重視し、国内融和に向けた雰囲気の醸成に力を入れていく」と語った。タイはインラック首相の実兄のタクシン元首相派と、反タクシン派の対立が続いており、一層の安定のためには経済発展をさらに促し、所得を底上げすることが必要との考えを示したものだ。

日本経済新聞社の喜多恒雄社長と岡田直敏東京本社編集局長が会見した。』


現在、中小企業を含む多くの国内企業が、海外進出・展開を考える際、対象地域は東南アジアに集中しています。

東南アジアは、地理的に近く、かつ時差もほとんどないので、国内企業には、輸出であれ、工場や販売の拠点づくりのための投資を行なうには、最適な地域の一つとなっています。

特に、中国のように、一貫した反日教育や反日政策を取っている国がないので、領土問題に端を発した反日デモ・暴動で工場や店舗を破壊・略奪されるリスクも低くなっています。

政治体制や社会体制の面でも、ベトナムなどを除けば、一党独裁の国は少なく、価値観が共有できます。

かって、政経分離の言葉が使われましたが、中国の現状ではその言葉が通用しないことが明確になりました。松下幸之助氏の陣頭指揮で、中国の近代化に貢献したパナソニックの工場が反日デモで破壊されたのは、象徴的なことです。

東南アジア地域では、賃金や労働条件などへの不満から労働者争議は起こりますが、日本企業が集中して襲われるリスクは低くなっています。

東南アジア地域の魅力は、安い労働力と、生産年齢人口(15歳以上65歳未満の人口のこと、労働者数を意味し、所得を得られる人の数)が増えていることによる、消費者市場の拡大です。

安い労働力の観点では、現在、バングラデシュ、ベトナム、ミャンマーなどが注目されています。

例えば、バングラデシュでは、もともと、労働集約型の繊維産業が活発で、総輸出額の77.1%を占める重要産業であり、2009年度において輸出額が124億9600万米ドル(前年度比1.2%増)を記録していました。

そこに、反日デモや、労働者賃金高騰、あるいは労働者不足などの問題が中国で起こったため、日本の繊維事業者が大挙して中国からバングラデシュやミャンマーなどに工場を移管しています。

バングラデシュは、ますます衣料産業の基盤を強化しつつあります。現在、国内を含めて多くの海外投資が行なわれつつあるミャンマーも、安い労働力を生かした産業基盤が強化されていきます。

ベトナムやカンボジアなども今後、労働集約型の産業投資が増えていきます。

東南アジア地域で、現在最も発展しているのは、タイです。国内企業は戦後いち早くタイの安定性と勤勉な国民性などに注目して、活発に投資を行ないました。

その結果、記事にありますように、自動車、電機や繊維、食品など製造業などの産業集積が起こり、タイは、東南アジア地域の産業を支えるハブになりつつあります。

タイでは、ほとんど失業者がいない状況になっており、他国に比べてタイ労働者賃金は高くなっています。

しかし、上記のように産業集積が進んだタイは、東南アジア地域の産業基盤を支える国になっており、労働者不足は周辺国からの移民受け入れでカバーしています。

タイは、今後とも国内企業だけでなく、欧米企業などの投資がさらに進む見込みになっており、東南アジア地域の地域大国となりつつあります。また。所得水準が上がっており、消費者市場としての大きな魅力もあります。

特に、中間所得層が増えているのが最近のタイの特徴の一つです。顕著な例が円安効果もあって、多くのタイ人の観光客が来日していることです。


タイの後を追っているのが、インドネシアです。インドネシアにも、多くの中小企業が投資を活発化させています。インドネシアでは、最近、賃金の値上げや労働条件の改善要求が多くなり、労働争議が増えています。

インドネシアには、2億人を超える人口があり、上記生産年齢人口が増えていくと、大きな消費者市場としての魅力があります。

インドネシアは、政治が今のように安定化していれば、多くの国からの投資が進み、第二のタイになります。

国内企業が新規に東南アジアに進出するときは、各国の最新状況を良く調べて、自社の事業計画をしっかりと作った上で、実行することが成功のポイントの一つになります。

例えば、コストの観点からみますと、労働賃金の安い国は、現時点では道路、交通、水道・下水、電力などの社会インフラがぜい弱です。

社会インフラが未整備だと、物流コストが高くなったり、効率的にものを移動させるのが困難になります。電力不足は、工場の効率的な運営に支障をきたします。

多くの国内企業が上記のような課題を理解しつつ、東南アジアに進出しています。

今、多くの中小企業が東南アジア地域に興味をもち、進出する意向が高いと言われています。「他人の芝生が良く見える」ことを認識して実際の行動を起こすことが重要になります。

最初から投資を含む海外進出をせずに、まずは、輸出を行なうための販路開拓・集客拡大から実行する方法があります。

現在の円安は、国内から海外への輸出を可能にしています。今までに海外進出した企業の状況を調べた「中小企業白書」などをみますと、失敗原因の主要理由の一つに販路開拓・集客があります。

進出当初は、安い労働力目当ての再輸出を狙ったものであっても、進出先の労働賃金が上昇したことで、製造コストが上がり、再輸出できなくなった。進出先の国で売ろうとしても、販路がなく売れない状況になって、最悪の場合撤退を余儀なくされることになります。

だからこそ、進出前の入念な事前調査・確認としっかりとした事業計画作成が必要であり、成功するための条件の一つになります。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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