日経記事;『ロシアで先端がん治療 官民の医療輸出戦略第1弾』に関する考察 - 海外展開 - 専門家プロファイル

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日経記事;『ロシアで先端がん治療 官民の医療輸出戦略第1弾』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

4月28日付の日経新聞に、『ロシアで先端がん治療 官民の医療輸出戦略第1弾』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『政府は民間企業と組み、2015年にも最先端のがん治療施設を備えた病院をモスクワ市内に建設する。住友重機械工業が開発した最新鋭の放射線治療設備を導入し、海外で初めての臨床試験を始める。

日本から医師も派遣する計画だ。機器や人材を丸ごと輸出し、世界に日本発の医療技術を広げる。4月に官民一体で始めた医療輸出戦略の第1弾となる。

安倍晋三首相が28日から訪ロするのに合わせ、政府や住友重が30日、病院建設の計画をロシア側に表明する。病院の運営は産学官で23日に立ち上げた組織である「メディカルエクセレンスジャパン」(MEJ)が担う。

MEJは政府が音頭をとり、東芝、ソニー、NECなど医療機器を手がけるメーカー23社が参加して発足。政府は医療機器やサービスを海外に売り込む中核組織と位置づける。今回が具体的に手がける初めての海外案件となる。

ロシアと共同で新病院「日ロ先端医療センター」(仮称)をつくり、新鋭の「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」の装置を納入する。BNCTは正常な細胞にダメージを与えずにがん細胞だけを攻撃でき、転移・再発したがんに有効な治療法とされる。国内では、住友重が14年から福島県の総合南東北病院(郡山市)で臨床試験を始める。

住友重はロシアでも臨床試験を申請する計画だ。治療費は1人当たり300万円程度と想定。モスクワでは富裕層の間で高額医療への需要が強いとされる。住友重などはロシアで実用化の道が開ければ、欧米諸国などへの輸出に弾みがつくとみている。

BNCTの研究開発は日本が先行しており、日立製作所なども進めている。政府は先端医療で優位な地位をつかむ試金石ととらえる。

モスクワでの用地取得はロシア側が担う。病院や施設の建設費は総額で100億円程度となる見通し。国際協力銀行(JBIC)が融資を検討しているほか、現地でも資本を募る。住友重は新病院に陽子線がん治療装置も導入する。

病院建設に先立ち、MEJは国立がん研究センター中央病院(東京・中央)など57の連携病院でロシア人患者を受け入れる。国内での治療実績が増えれば、海外でも信頼性が高まる。外国人向けの治療や先端技術に対応できる医師を養成し、海外に派遣する。

安倍首相は6月にまとめる成長戦略で女性の活躍とともに医療を中核に据える。医薬品や医療機器の分野では日本から海外への輸出よりも海外からの輸入が圧倒的に多く、2つを合計した医療分野の貿易収支は11年に2兆9703億円の赤字となった。医療輸出のテコ入れは、日本企業の国際競争力を高めるうえでもカギを握る。

新興国向けの医療機器の輸出や病院事業の展開では、欧米が先行している。政府はロシアに続いて中東、東南アジアに対しても病院、医療機器、人材をパッケージにした輸出を急ぐ。』


3月21日に、日経記事;『医療機器、官民で輸出 ソニーなど18社参加し新組織 成長戦略に盛り込む』に関する考察 のタイトルでブログ・コラムを書きました。

この時は、経済産業省の主導で2011年に発足した一般社団法人メディカルエクセレンスジャパン(MEJ、東京・港)を近々に全面的に改組し、新MEJを中核に医療機器の海外展開を行なうことについて述べました。

本日の記事は、新MEJにとって初めての海外進出案件となるロシアでの展開について書かれています。

記事によると、新MEJを中心に国内参加メーカーの医療機器をロシアに丸ごと輸出して、最先端のがん治療施設を建設するとのこと。

新MEJには、東芝、NEC、三菱重工業やソニー、テルモなど医療機器メーカー23社が参加しています。3月時点では、18社が参加することになっていましたので、5社が新規に参加したことになります。

それだけ、国内医療機器関連メーカーの関心が高いことを示しています。

記事にありますように、国内の医療機器事業は、大幅な輸入偏重になっており、2011年に2兆9703億円の貿易赤字を出しています。

海外市場では、米GEや独シーメンスなどの欧米企業が圧倒的な売上とシェアをもっています。これは、欧米企業が国内メーカーより先行して海外市場開拓を行ったことによります。

国内メーカーは、個々の技術・商品では、優れたものをもっていますが、トータルな医療機器システムを構築したり、維持運営する経験やノウハウが不足しているため、GEやシーメンスなどの先行企業に後れを取っていました。

現時点では、国内メーカーが単独で欧米市場でGEやシーメンスなどの大手企業と競争するのは難しいのが実状です。多くの国内メーカーは、医療機器を単品販売している状況です。

政府は、この医療機器事業を今後の成長分野の柱の一つとして位置付けています。新MEJは、海外事業展開の中核になる組織です。

政府は、まず新興国市場開拓を優先して行なう方針を打ち出しています。具体的には、先日の日経記事に、『アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビに「日本UAE先端医療センター」の設置で合意する見通し』が掲載されました。加えて、今回の『ロシアで行なう粒子線治療施設の建設の協力』が先行して動きます。

安倍首相が本日から訪問するロシアで本案件の事業展開について、公式表明するとのこと。新MEJは、新興国の富裕層の取り込みから海外事業展開を行ないます。

新MEJには、新興国の中間層需要の取り込みも期待します。富裕層の市場規模は限定されていますので、海外事業規模を伸ばすには、中間層の取り込みが必要になります。

医療機器事業の拡大には、機器単位だけでなく、医療機器システム全体の最適化や、設置後の病院運営の維持強化が必要になります。

海外市場でのこれらの医療ノウハウを蓄積するには、数多くの輸出案件を手掛けていくことが必要になります。

新MEJが、核となって多くの海外案件獲得に動くことを期待します。さらに、以前のブログ・コラムで書きましたように、大手企業だけでなく、高い技術力をもつベンチャー・中小企業にも新規事業機会がもてるような仕組み作りを新MEJに期待しています。

国内には、優れた技術・商品をもっている多くのベンチャー・中小企業が存在します。これらのベンチャー・中小企業を大手メーカーの下請けだけでなく、連携・協力メンバーととして加えて、国内医療機器関連メーカーの底上げを行なうことが重要です。

新MEJには、このような医療機器事業の海外市場開拓について、大きな枠をもって数多くのメーカーを巻き込んでいくオーガナイザーとしての役割が必要になります。

個々のベンチャー・中小企業が医療機器事業の海外市場開拓を行なうことは、安全規格への適応や、販路開拓・集客などの実現性などの点から多くの困難を伴います。

新興国では、人口増加が続いていますので、医療機器事業に対する潜在需要は大きいものがあります。

新MEJを中心に官民一体でベンチャー・中小企業も含めて、最先端の技術・商品で海外医療機器の事業拡大を行なう姿勢が重要です。

今後の新MEJや国内医療機器関連メーカーの動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

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