日経記事;『日産・ルノー、設計・調達を一体化 コスト3割減 小型300万台に共通部品』に関する考察 - 海外展開 - 専門家プロファイル

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日経記事;『日産・ルノー、設計・調達を一体化 コスト3割減 小型300万台に共通部品』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

 

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

 

4月26日付の日経新聞に、『日産・ルノー、設計・調達を一体化 コスト3割減 小型300万台に共通部品』のタイトルで記事が掲載されました。

 

本日は、この記事に関して考えを述べます。

 

記事の主な内容は以下の通りです。

 

『日産自動車と資本提携先の仏ルノーは主力の小型車で設計・調達を一体化する。年産300万台規模の部品共通化を進め、開発コストを3割削減する。新興国の台頭で多極化が進む世界の自動車市場で、規模で上回るトヨタ自動車や独フォルクスワーゲン(VW)に対抗するための戦略。

 

完成車大手の部品共通化が広がれば、素材や部品を含む自動車産業の構造を変える可能性がある。

 

2015年に発売する予定の次期「マーチ」と、ルノーの「クリオ」から順次、部品の共通化を進める。車種によって異なるが、部品を5割程度共通化する見通しだ。コスト低減分はそれぞれ、環境・安全技術の開発に充当し商品力を上げる。

 

両社は4年前から中型車を対象に設計の一体化を試行。年内に第1弾となる新型多目的スポーツ車を投入できるメドがついたことから、両社にとって主力の小型車でも一体化を進める。すでに両社の設計・購買担当役員が定期的に会合し、設計初期から部品の共通化戦略を擦り合わせている。

 

中型車を含めた共通化対象の車は500万台近くに上る見通し。両社の12年の世界販売台数(約810万台)の6割に達する規模だ。共同購買は実施しているが、両社の一体化の取り組みが設計まで広がる。

 

新興国では経済成長に伴う大気汚染が深刻になり、需要の大きい小型車で環境性能の強化と低価格の両立が厳しく求められる。

 

生産・販売規模で日産・ルノー連合を上回るトヨタ自動車や米ゼネラル・モーターズ、VWなどに新興国市場で競り勝つには、1999年からの提携関係をさらに強化する必要があった。

 

部品共通化ではVWが先行。傘下の独アウディやチェコのシュコダなどのグループ企業も巻き込み、すでに400万台分の車種の7割近い部品を共通化できる体制を整えた。トヨタ自動車も部品の設計共通化などを進める専門部署を設けるなど、対策を講じ始めた。

 

完成車大手の部品共通化の動きは、部品や素材産業にも大きな影響を与える。車メーカーが共通化で発注規模を拡大すれば、部品・素材各社の優勝劣敗が鮮明になる。完成車メーカーごとにピラミッド構造を形成してきた部品業界も系列の枠を超えた競争が始まる。』

 


本日の記事は、日産・ルノーが両社の主力車である小型車について、設計から調達まで共通化して、開発から製造までのトータルコストを下げるやり方を採用することについて書いています。

 

このやり方は、VWが中国をはじめとする新興国で、コストを下げながら現地での要求仕様・機能・性能・価格にあった商品;自動車を作るために、先行して行ないました。

 

VWは、このやり方により中国市場で勝ち組みになっています。記事によると、すでに400万台分の車種の7割近い部品を共通化できる体制を整えたとのこと。

 

トヨタとVWは、世界市場でナンバーワンのシェア争いを行なっています。現時点では、トヨタの生産台数は、年間974万台でVWの907万台を上回る見込みです。

 

トヨタの強みは、北米市場で大きなシェア獲得ができていることです。VWは、中国を含む新興国市場で大きなシェアをもっています。

 

コスト削減力では、VWが上記部品の共通化や消費地に近いところでの工場建設などでトヨタを上回っている可能性があります。。

 

日産・ルノーは、生産台数で810万台であり、トヨタやVWより低くなっており、部品・素材調達力では劣っています。

 

これは、日産・ルノーが北米市場ではトヨタに負けており、新興国市場ではVWの後塵を拝していることによります。

 

日産・ルノーは、新興国市場開拓を優先課題にしています。競合相手は、VWとなります。また、ルノーは、売上の落ち込み問題に直面しており、本来ならばリストラなどの集中と選択を行なう必要に迫られています。

 

しかし、フランス政府は、雇用を守る立場からルノーの経営に圧力をかけて、リストラなどの人員整理が難しくなっています。

 

そこで、日産・ルノーは、コスト削減の一環としてルノーの工場の中で生産余力があるところで、日産の自動車を作る生産分業を合理化のために行なう必要に迫られました。

 

今回の、開発から調達までの共通化・一体化は、上記両社の合理化が後押ししているとみます。
同時に、主要市場である新興国で、VWと同じようにコスト削減力を強化して、シェアを獲得するやり方です。

 

このやり方は、いかにも日産・ルノーの社長であるゴーン氏らしい明確なものです。多分、徹底的に行なうでしょう。

 

日産・ルノーの新方式は、トヨタやホンダなどの他の国内自動車メーカーを刺激します。両社とも国内や北米市場では、一定規模のシェアをもっていますが、中国を含めた新興国市場では、VWや日産・ルノーに後れを取っている部分があります。

 

新興国市場開拓では、トヨタやホンダもVWや日産・ルノーと同じように、部品の共通化や調達方式を変えてコスト削減を一段と進めるやり方を取るのは確実です。

 

国内自動車メーカーは、以前ほどでないにしろ、部品・素材について系列企業をもっています。例えば、自動車の産業集積が進むタイでは、大手自動車メーカーを支える部品・素材の系列企業が数多く進出しています。

 

しかし、今後、日産・ルノー、トヨタやホンダなどのなどの自動車メーカーは、トータルコストを下げるため、系列企業以外のメーカーと共に部品・素材の共通化を行ない、まとめて調達するやり方に切り替えるとみます。

 

開発力とコスト削減力の両方をもつ部品・素材メーカーが勝ち残れることになります。また、このようなメーカーは、今までの系列の主力企業だけでなく、他の競合する自動車メーカーにも当該部品・素材を売り込める機会が増えます。

 

今後の自動車に関する部品・素材メーカーは、国内あるいは海外を問わず、開発力とコスト削減力に磨きをかけないと、本業界では勝ち残れないリスクが今まで以上に高まります。

 

同時に、販路開拓・集客拡大を自前で確実に行なっていく必要もあります。まさに、自動車の部品・素材業界は、戦国時代に突入することになります。

 

この動きは、関連する中小企業にも大きな影響を与えます。

 

私に対する中小企業;メーカーの相談事で多いのは、東南アジア地域への海外進出です。大きな理由の一つに既存取引先からの要請があります。

 

既存取引先が海外に工場を作るので、一緒に進出して欲しいと要請されています。進出しないと、今後の取引継続が難しくなる、あるいは国内に顧客がいなくなる切迫した状況から、海外展開を考えざるをえないケースが数多く発生しています。

 

海外進出を考える中小企業は、進出前に既存取引先に依存しない事業展開を計画・実行することが、勝ち残るために必要です。

 

中小企業庁が毎年出している、「中小企業白書」には、既存取引先にのみ頼って海外進出した中小企業が撤退を余儀なくされている状況が記載されています。

 

中小企業が海外進出する時の最大の課題の一つが、販路開拓・集客です。この最重要課題を海外進出前にしっかりと事前に調査と計画立案を行なって、最小限のリスクになることを見極めて、海外進出することが重要です。

 

このような事前の準備と計画作成を事業性確認(FS::英語では、Feasibility Study)と呼びます。公的機関でもさまざまなFS支援メニューがあり、無料か低コストで活用できますので、これらの支援策の活用も含めて、多くの中小企業がしっかりとFSを行なってから、海外進出することを期待します。

 

「一寸先は闇」であることを理解しつつ、海外進出するためのFSを行なって、一歩一歩手元を明るく見えるようにしていくことが成功のポイントになります。

 

よろしくお願いいたします。

 

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 


 

 

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