今回は、教育資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度の適用を受けるための流れを解説いたします。
大きな流れは、1.教育資金口座の開設等⇒2.教育資金口座からの払出しや教育資金の支払⇒3.教育資金口座に係る契約の終了の3つに分けられます。
このうち、1と2は税務署での手続は必要なく金融機関等で手続は完結しますが、3は税務署での手続が必要となる場合があります。
1.教育資金口座の開設等
教育資金の贈与は、金融機関等との一定の契約の基づいて、
(1)信託受益権の付与
(2)書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入
(3)書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等で有価証券を購入
のいずれかの方法によることが必要です。
その上で、『教育資金非課税申告書』をその口座の開設等を行った金融機関等の営業所等を経由して、受贈者(贈与された者)の納税地の税務署長に提出します。
2.教育資金口座からの払出しや教育資金の支払
教育資金口座からの引出しや教育資金の支払を行った場合には、その支払に充てた金銭に係る領収書などを、次の(1)または(2)の提出期限までに教育資金口座の開設等をした金融機関等の営業所等に提出します。
(1)教育資金を支払った後にその実際に支払った金額を教育資金口座から払い出す場合・・・領収書等に記載された支払年月日から1年を経過する日
(2)(1)以外の方法を教育資金口座の払出方法とする場合・・・領収書等に記載された支払年月日の属する年の翌年3月15日
(1)または(2)の教育資金口座の払出方法の選択は教育資金口座の開設時に行います。
3.教育資金口座に係る契約の終了
教育資金口座に係る契約は、次の(1)~(3)の事由に該当したときに終了します。
(1)受贈者が30歳に達したこと
(2)受贈者が死亡したこと
(3)口座等の残高がゼロになり、かつ、教育資金口座に係る契約を終了させる合意があったこと
上記に該当し契約が終了した場合に、非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額があるときは、その残額がその年の贈与税の課税価格に算入されます。
((2)の場合は贈与税の課税価格に算入されるものはありません。)
したがって、残額が贈与税の基礎控除額を超えるなどの場合には贈与税の申告を行う必要があります。
教育資金口座に係る契約が終了したときの残額について贈与税が課される可能性があるため注意しておく必要があります。
このコラムの執筆専門家
- 松本 佳之
- (大阪府 / 税理士・公認会計士・行政書士)
- 税理士法人AIO 代表
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