長崎県の港町で生まれた横道世之介(よこみちよのすけ)は大学進学のために上京したばかりの18歳。
同級生や恋人をはじめ世之介と彼に関わる人たちの青春時代とその後についての物語です。
この映画を一言で表すと「愛おしさ」。
人の良さがあるんだけれどもヘタレ。
ヘタレだけれども憎めなくって愛おしい。
人との出会いが愛おしく、懸命に生きる姿が愛おしく、世之介が愛おしく、寂しささえも愛おしい。そんな作品。
この映画を観たのは2回目なのですが、1回目は笑ったり懐かしんだり寂しかったり。
2回目はスタートから切ない。
せつなさの中に笑いやほのぼのとした感じがたくさん練りこまれていて、1回目とはまた違う味わいを感じることができました。
原作は2010年本屋大賞第3位を受賞した吉田修一の「横道世之介」。
脚本は「南極料理人」、「キツツキと雨」の沖田修一監督と、劇団「五反田団」主宰、劇作家で小説家の前田司郎との共同脚本です。
先日、長野ロキシーで沖田監督が舞台挨拶をされているということで出かけてきました。
今まで舞台挨拶というものに行ったことが無く、また地方都市に映画監督が舞台挨拶に来る機会はめったにありません。
千載一隅のチャンスでした。
上映後におこなわれた沖田監督の舞台挨拶とミニトーク会ではまずキャスティングについた語られました。
主演の高良健吾さんと吉高由里子さんは脚本制作の段階からこの2人が演じているイメージがありどうしても出演してほしかったこと、どの方も信頼できる役者さんだったので安心して出演者におまかせして撮影ができた、とのことです。
「特にあのお手伝いさんはうまくはまってくれた。」と言った時は客席からは納得の声。
またロケ地についても語られました。
時代設定が1987年のためその時代を再現できる場所や施設が少なく、通常の映画に比べたくさんの場所でロケをしたそうです。
その中には長野県内でロケをおこなった場所が一ヶ所あり、岡谷の病院をお借りして撮影をおこなったそうです。
病室のシーンでも建物や室内はその頃のものでも、わずかにカメラに写るドアのとってや窓のサッシがどうしても最近のものになってしまっていたので、ロケ地を東京から探しているうちに岡谷まできてしまった、とのことでした。
このような秘話が聞けたのも舞台挨拶ならではのことでした。
時代設定になった1987年といえば私は高校生の頃。
登場する人たち、後ろを歩くエキストラの人たちの服装や髪型を見ると、
「ああそうそう。こういう格好の人がいっぱいいたなあ。」とか
「大きな黒縁めがねって自分もかけてたなあ。」
とノスタルジー感が満載。
「横道世之介」はどの世代の人でも楽しめる映画です。
ですがこの世代、世之介に近い世代としてリアルタイムで過ごした私にとっては特別な思いがあります。
お近くで上映の際は多くの方に、特に40代の方々にぜひ観てほしいと思います。
それではみなさん、ごきげんよう、、、
このコラムの執筆専門家
- 成澤 利幸
- (長野県 / 音楽家、打楽器奏者)
- 成澤打楽器音楽教室
音楽はみんなのもの
楽器の演奏は専門家からのちょっとしたアドバイスによりスムーズに上達したり音楽の奥深さに触れることがあります。ドラムやマリンバ、いろいろな打楽器のレッスンを通して皆さんのお力になれればと思います。
このコラムに類似したコラム
シネコラ(4)桜、ふたたびの加奈子 その2 成澤 利幸 - 音楽家、打楽器奏者(2013/07/05 06:53)
フィガロの結婚 終演(^^) 佐藤 智恵 - 音楽家(2013/03/26 22:40)
いよいよアカデミー賞の発表 成澤 利幸 - 音楽家、打楽器奏者(2013/02/25 08:41)
プロフィール写真撮影 佐藤 智恵 - 音楽家(2013/02/20 14:17)
新年会幹事 佐藤 智恵 - 音楽家(2013/02/02 08:34)