交通事故その1(基礎編) - 民事事件 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
弁護士

注目の専門家コラムランキングRSS

対象:民事家事・生活トラブル

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

交通事故その1(基礎編)

- good

  1. 暮らしと法律
  2. 民事家事・生活トラブル
  3. 民事事件
交通事故
■基礎編

1.治療費

必要かつ相当な実費全額。
交通事故でも、健康保険を用いることができます。
ただし、症状固定後の治療費は、原則として認められません。
東洋医学による鍼灸、柔道整復師、整骨院等によるマッサージ等の費用は、全額が認められることは少なく、症状により有効かつ相当な範囲で認められます。


2.付添い看護費

(1) 入院付添い費
  医師の指示、受傷の程度、被害者の年齢等により必要がある場合に限って認められます。
職業付添い人は実費全額
近親者付添い人は、原則として1日当り6500円。 近親者が休業した場合には休業損害相当額分が認められることが多い。

(2) 通院付添い費
  症状、幼児等必要と認められる場合には、1日当り3300円。

(3) 自宅付添い費
  後遺症が重度の場合に認められます。
症状固定後は、別途、考慮する。


3.入院雑費

1日当たり1500円


4.通院交通費

症状によりタクシー利用が相当な場合には、タクシー代。
それ以外の場合には、電車、バスの料金。
自家用車の場合には、ガソリン代、駐車場料金などの実費全額。
なお、看護付添いの場合の近親者の交通費も認められます。


5.医師等への謝礼

社会通念上相当であれば、認められることがあります。


6.学生、幼児等の学習費、通学付添い費

被害の程度、子供の年齢等からして、必要性があれば、認められます。
具体例として、進級遅れの場合の授業料・補習費・家庭教師代、受傷によって無駄となった支払い済み授業料・通学定期代、監護費など。


7.装具・器具

義歯、義眼、義手、義足、メガネ、歩行補助具(松葉杖など)、車椅子、電動ベッド、等。


8.文書料

診断書作成費用など。


9.休業損害

(1) 有職者

  [1]給与所得者
  事故前の収入を基礎として現実の収入減少額が認められます。
有給休暇を使用した場合には、その相当額。
休業中、定期昇給・昇格のあった場合には、その昇格後の収入を算定の基礎に用います。
休業により賞与の減額・不支給、昇給遅延・昇格遅延のあった場合には、それも損害として認められます。

  [2]事業所得者
  現実の収入減少があった場合に認められます。
ここでいう収入とは、売上ではなく、売上から経費を差し引いた後の所得です。したがって、確定申告をしていることが前提となってきます。確定申告をしていない場合には、おおむね賃金センサスによる労働者の平均賃金等によることになります。申告所得額を上回る実収入がある場合には、立証が必要となります。
自営業者等の休業中の固定費(家賃、従業員給料等)の支出は、事業の維持のために必要なものは損害として認められます。
収入の算定の基礎として、収入の変動が激しい場合等には、過去3年間分の収入の平均値、あるいは労働者の平均賃金(賃金センサス)を算定の基礎として用いるのが一般です。


  [3]会社役員
  現実の収入減少があった場合に認められます。
役員報酬については、労務提供の対価については認められますが、実質的に利益配当の部分は否定されます。

(2) 家事従事者

  女子労働者の全年齢平均賃金センサスにより、家事を休業した期間認められます。
パート、内職等の場合には、現実の収入減少額と、全年齢平均賃金額のいずれか高い方を算定の基礎とします。
兼業主婦の場合、家事労働分の上乗せは原則として認められません。


(3) 無職者

  [1]失業者
  労働能力、労働意欲があり、就労の蓋然性があるものは認められます。算定の基礎としては平均賃金を下回ることとなります。

  [2] 学生
  原則として認められませんが、アルバイト等をしていて現実の収入減少があれば認められます。
就職遅延による損害は認められません。


10.入通院慰謝料

弁護士会(裁判所)の基準により算定されます。通 院が長期間で不規則の場合には、実通院日数の3・5倍程度を通院期間の目安とすることがあります。
むち打ち症で他覚症状がない場合には、減額された基準で算定します。この場合、慰謝料算定のための通院期間は、その期間を限度として、実治療日数の3倍程度を目安とします。


11. 弁護士費用

請求認容額の1割程度。


12.遅延損害金

事故日から起算します。
裁判所での和解においては、事故から数年経過している場合、遅延損害金の半分程度を和解金に上乗せして支払わせる和解案を裁判所が作成することが多いです。