- 村田 英幸
- 村田法律事務所 弁護士
- 東京都
- 弁護士
対象:企業法務
- 尾上 雅典
- (行政書士)
- 河野 英仁
- (弁理士)
会社のパソコンで他人の著作物(例えば、壁紙)を利用できるか
パソコンが会社員の私物の場合
個人的に家庭内などで他人の著作物を利用できる(著作権法30条1項)。
パソコンが会社の所有物である場合
パソコンが他の会社員と共同で使用している場合、あるいは会社が会社員に対して私物の著作物のソフトウェアや素材などの持ち込み・ダウンロードを就業規則などで禁止している場合には、著作権法30条1項の「個人的」「家庭内」の要件をみたさないと考えられるので、会社員が会社所有のパソコンで他人の著作物を私的な利用はできないと考えられる。
また、会社としては、上記著作権法30条1項の要件を満たさない違法コピーとして、著作権(複製権)侵害を、著作権者から問われた場合、使用者責任(民法715条)により、会社が損害賠償責任を負う可能性がある。仮に会社に会社員の違法コピーについて、故意・過失があった場合には、著作権法によっても、損害賠償責任を負う。ただし、理論的には、会社員に故意過失があることが共通の要件としても、使用者責任の会社の免責事由(選任監督について過失がないこと)、著作権法(会社に少なくとも過失が認められる時点以降についてから損害賠償責任が発生すること)とは異なるため、留意を要する。
また、著作権法の差止請求の要件として、会社所有の物に違法コピーがある場合には、会社の故意・過失を問わないため、会社が違法コピーの削除廃棄請求をされる可能性がある。なお、民法の使用者責任の効果として、差止請求が認められるのは限られている。
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