日経記事;『東レ、営業益最高に 14年3月期1200億円』に関する考察 - 各種の新規事業・事業拡大 - 専門家プロファイル

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
神奈川県
経営コンサルタント
専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

日経記事;『東レ、営業益最高に 14年3月期1200億円』に関する考察

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 新規事業・事業拡大
  3. 各種の新規事業・事業拡大
経営コンサルタントの活動 新規事業開拓・立上支援

皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

4月6日付の日経新聞に、『東レ、営業益最高に 14年3月期1200億円』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『東レの2014年3月期の連結営業利益は前期推定比4割増の1200億円弱になりそうだ。自動車生産の回復を受けて、エアバッグ用繊維やエンジン周辺に使う樹脂の出荷が増える。

薄型テレビなどに用いる液晶ディスプレー部材も回復基調にあり、営業利益は2期ぶりに最高を更新する見通しだ。

売上高は1兆7000億円弱と前期推定に比べて約5%増えそう。想定為替レートは1ドル=90円とするもよう。主力の繊維部門は自動車のシートベルトに使うポリエステル繊維やエアバッグ用のナイロン繊維が伸びる。前期はタイ洪水の影響で主力工場の操業に支障が生じたが、今期はこうした影響もなくなる。

紙おむつ向けの不織布では、4月からインドネシア工場が稼働。昨年夏に設備を増強した中国工場も通年操業する。「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング向けの製品も、機能性肌着「エアリズム」などの出荷が増える。

情報通信材料では、薄型テレビの生産調整が一巡し、液晶ディスプレー向けの光学フィルムの出荷が回復する。スマートフォン(スマホ)やタブレット(多機能携帯端末)に使うタッチパネル用高機能フィルムも旺盛な引き合いが続く。

炭素繊維はシェールガス輸送に使う圧縮天然ガス(CNG)タンク向けの需要が好調。強みを持つ航空機向けは、米ボーイング社の「737」など既存機向けを中心に伸びる。

トラブルが相次いだ「787」向けについても、現時点ではボーイング社の生産計画に合わせ、年末にかけて月10機分の複合材の出荷を見込んでいる。

13年3月期は急速な円高修正で原料の輸入コストが想定より上昇。製品価格への転嫁に時間がかかり、業績の圧迫要因になった。営業利益は前の期比2割減の850億円前後と、従来予想を若干下回ったもようだ。』


繊維産業は、かって国内不況業種の代表例となっていました。この不況時代を生き残った企業は、繊維技術を応用した素材産業で大きな地位を占めるようになりました。

繊維産業で生き残って、現在、勝ち組みになりつつある企業の代表例が東レや帝人などになります。

両社とも、培った繊維技術をベースに現在の多くの主力商品で必要不可欠な素材を提供しています。

両社の提供素材は、言わば、主力商品の事業基盤を支えるプラットフォームになっています。東レや帝人などの繊維技術を活用した事業展開は、中小企業を含めて他の国内企業が考えるべき方向性の一つになります。

それは、ある商品分野の事業基盤を支えるプラットフォーム提供者になることです。最終商品市場では、激しい競争が起こっていて、勝ち組みと負け組みが出てきます。

しかし、プラットフォーム提供者は、最終商品提供企業には中立的な立場で素材を提供しますので、どの企業が勝ち組みになっても注文があれば、供給することになります。

その素材を必要とする商品の市場がある限り、その商品を支えるプラットフォームとして素材を提供し続けることができます。

本日の記事は、東レの好業績について書いています。

東レは、帝人などと同じように、以下のように各種素材を提供しています。

・繊維:ナイロン、ポリエステル、アクリルを供給する繊維事業。最近ではユニクロと共同開発した機能性肌着が有名。

・プラスチック、ケミカル:樹脂・フィルム・ケミカルの3つの事業であるプラスチック・ケミカル事業。 ポリエステルフィルムは世界シェア20%をもつ。

・情報通信材料・機器:半導体・回路材料、光ファイバ、印刷関連材料などの情報通信材料・機器事業。薄型ディスプレイ向けフィルムや液晶カラーフィルターなど。

・炭素繊維複合材料:航空・宇宙分野などの用途で使用されているPAN系炭素繊維を展開する炭素繊維複合材料事業。世界最大の炭素繊維メーカー。

・環境・エンジニアリング:水処理膜をメインに展開する環境・エンジニアリング事業。逆浸透膜、海水淡水化システムなどが有名。

・ライフサイエンス:医薬事業・医療材事業・バイオツール事業などのライフサイエンス事業。

東レの経営の屋台骨を大きく支えているのが、繊維事業です。ざっくり言いますと、繊維事業は売上の40~50%を占めています。自動車関連用途とユニクロに代表される衣料用途がメインになります。

次の柱となっていますのが、プラスチック、ケミカル事業です。これも自動車関連用途が中心となります。

三番目の柱が情報通信材料事業です。テレビの液晶パネル、中・小型ディスプレイ、スマホやタブレット端末機器などに使用されるフィルム及びフィルム加工品が主になります。

そのほかでは、環境・エンジニアリング事業と炭素繊維複合材料事業が続きます。

東レは、上記の通り、航空・宇宙から繊維まで数多くの市場に素材や素材加工品を提供しています。ある市場向け需要が落ち込んでも、他の事業分野の売上増でカバーする仕組みになっています。

もう一つ特徴的なのは、上記6つの素材分野の最終商品分野が、成長業界であることです。例えば、繊維およびプラスチック・ケミカルは、自動車に使われています。自動車産業は、世界市場全体でみますと、潜在需要が大きく今後も成長が期待できます。

情報通信材料・機器では、現在急速普及していますスマホやタブレット端末機器のディスプレイ向けフィルムや液晶カラーフィルターとして使用されています。情報端末機器商品自体が変化しても、ディスプレイ機能はついてきますので、需要拡大が続きます。

東レの扱い製品の中で最も伸びしろが見込まれますのは、炭素繊維です。炭素繊維は国内企業の独壇場になっており、東レや帝人が代表企業です。

炭素繊維は、今まで加工法が難しく、製造コストも高かったため、応用範囲は一部の高機能・高額商品に限定されていました。

最近、炭素繊維の加工や製造方法が大幅に改善されて、多方面で使われるようになりました。東レの炭素繊維は、航空機用途として米ボーイング社の「737」に使われています。

また、炭素繊維は、米国のシェールガスタンク向けの需要が伸びています。さらに、自動車の車体素材としても、注目されています。自動車車体用途では、帝人が欧米自動車メーカーと提携して開発を進めています。

炭素繊維が多くの自動車車体用途に使われますと、非常に大きな新規事業となります。


私が支援しました中小企業の中に、下請けから脱却して自前の部品や製品でBtoB事業を行なう意欲をもつ企業が複数います。

これらの企業には、BtoBメーカーの事例として東レを紹介して、1種のベンチマーキング企業として経営のやり方を研究して、自社のビジネスモデルに組み入れることを行なっています。

もちろん、中小企業と東レでは、経営規模が異なったり、開発投資額の大きさなど、単純に比較できません。

東レの事業展開で参考にしていますのは、自社の持つ強みとなる経営資源の投入の仕方と、最終商品分野などが主になります。

メーカーは、差別化・差異化可能な技術・商品をもっていても、その展開のやり方がうまくいかないと成長できません。

その点、東レは大いに参考になる企業の一つになります。今後も東レや帝人などの動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

カテゴリ このコラムの執筆専門家

(神奈川県 / 経営コンサルタント)
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表

起業・企業存続の為の経営戦略立案・実行と、ビジネススキル向上

起業及び、事業拡大や経営合理化を目指す企業に対して経営コンサルを行います。大手メーカーで得た経験を活かし、補助金活用、アライアンスやM&A、市場分析に基づいた事業戦略策定・実行や事業再生を支援します。OJT研修でのビジネススキル向上を支援します。

カテゴリ 「経営コンサルタントの活動」のコラム

このコラムに類似したコラム