「Q&Aと書式 解雇・退職」、その8 - 労働問題・仕事の法律全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
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「Q&Aと書式 解雇・退職」、その8

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企業のための労働実務ガイド1 Q&Aと書式 解雇・退職/商事法務
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今日は、上記書籍のうち、以下の部分を読み、本書を読み終えました。

 

第1章 採用内定取消し・本採用拒否

 おおむね妥当な論述だと思われますが、新卒者の内定取消しは、既存の従業員の解雇よりは緩やかに解するのが妥当と思います。

 

第9章 定年時の再雇用延長拒否

 高年齢者雇用安定法の解説が厚生労働省の方針に沿って書かれています。

 

第10章 非正規雇用者の解雇・雇止め

 

 若干、言葉遣いの点で疑問があります。「雇用者」とは、雇用する者を意味しますので、「使用者」と同義です。この場合のタイトルは、「非正規労働者」または「非正規被用(傭)者」が正確であると考えます。

 労働契約法の改正により、

1、有期契約労働者の雇止めの判例法理の労働契約法への条文化

2、有期契約労働者の期間途中での解雇の制限

 やむことを得ない事由は、期間の定めのない労働者の解雇理由(社会通念上合理的かつ相当な理由)よりも厳格であると執筆者は力説されます。

 しかし、労働契約期間途中での使用者の中途解約を制限したに過ぎず、契約期間満了の場合には、更新または雇止め法理の適用がない限り、期間満了により、労働契約は終了すると解するのが相当でしょう。また、期間途中での解約が認められないことによる逸失利益(損害賠償請求)は、原則として、期間満了までの賃金等に限定されます。

 この点、期間の定めのない労働者について、定年等の退職までの期間の賃金請求が認められる場合と比較して、請求できる金額が大幅に違うことについて、留意が必要と考えます。また、期間の定めのない労働者について、退職金規定等がある場合には、退職金等も加わります。

3、5年超の有期契約労働者の無期雇用契約への転換権

 平成25年4月1日から施行される労働契約法18条(同改正により従前の労働契約法18条以下は19条以下に条数繰り下げ)により、無期契約への転換権が付与され、同日から期間がカウントされますので(附則2項)、平成30年4月1日から、紛争が生じることが予測できます(いわゆる「2018年問題」)ので、注意が必要です。

 

第11章 派遣労働者の解雇・雇止め

 違法派遣について、悪意・有過失の派遣先は、雇用契約の申し込みをなしたとみなされます(改正労働者派遣法40条の6)。派遣労働者から派遣契約終了日から1年間、承諾の返事がない場合には、この申込みは効力を失います。施行は平成27年10月1日からです。

 また、派遣先と派遣元との派遣契約で、派遣労働者の休業手当に関する事項等を定めるべき旨の改正もされていますが、派遣先が派遣労働者に直接の支払義務を負うものではありません。

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