日経記事;『東芝やNEC、企業向け蓄電池の価格3分の1 電力値上げで需要増 』に関する考察 - 各種の新規事業・事業拡大 - 専門家プロファイル

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
神奈川県
経営コンサルタント
専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

日経記事;『東芝やNEC、企業向け蓄電池の価格3分の1 電力値上げで需要増 』に関する考察

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 新規事業・事業拡大
  3. 各種の新規事業・事業拡大
経営戦略 新規事業開拓・立上

皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

3月26日付の日経新聞に、『東芝やNEC、企業向け蓄電池の価格3分の1 電力値上げで需要増 』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『東芝やNECなどが4月以降、企業向けの蓄電池を相次いで売り出す。従来の特注品ではなく量産することで価格を3分の1程度に抑える。原発の再稼働が不透明で今夏も電力不足が懸念されるほか、関西電力など各社の春以降の値上げで企業の省エネニーズが高まっている。

オフィスや工場が割安な夜間電力などを蓄電池にため、非常用電源として使うほか電力需要のピーク時に電力を供給し、電気代の軽減につなげる。

東芝は4月にも鉛蓄電池とリチウムイオン電池を組み合わせたハイブリッド型蓄電池を発売する。リチウムイオン電池で昼間や夜の電力需要の変動にきめ細かく対応。材料コストが安い鉛蓄電池で非常時などに電力を長時間供給する。

価格は1キロワット時当たり30万円から。これまで企業向け大容量蓄電池は特注品が多く、電池メーカーが個別に開発してきたため一般的に1キロワット時当たり100万円以上する。

東芝は安い鉛蓄電池の活用途量産で価格を3分の1の水準に下げる。容量が11キロワット時のタイプで330万円から、60キロワット時タイプで約1800万円となる。

NECも9月に企業向けのリチウムイオン電池を発売する。2月に開設した甲府市の量産ラインを活用するほか、電気自動車向けに製造している電極材料なども転用し低コスト化。東芝並みの価格設定を目指す。

大和ハウス工業などが出資するエリーパワー(東京・品川)はこのほど企業向けに最大60キロワット時のリチウムイオン電池の出荷を始めた。価格は約2500万円と東芝などの新製品と比べて高めだが難燃性のリン酸鉄リチウムを採用し「安全性を高めた」(同社)。

東日本大震災後、非常用電源の需要が高まり、重油やガスを燃料とする自家発電機を導入する企業が増えた。しかし自家発電機はメンテナンスに手間がかかり人員の少ない中小企業などでは採用しにくい。

また排ガスなどでオフィスや都市部では導入しにくい問題もあった。蓄電池は維持管理が容易だが、価格が高い問題があった。

蓄電池が低価格化すれば非常用電源に活用しやすくなる。また、太陽光パネルで発電した電力や割安な深夜電力をためて昼間の需要ピーク時に使えば電力使用量だけでなく、契約電力を引き下げて電気の基本料金の節約にもつながる。

一般的に企業の電気コストは今回の値上げで1~2割負担が増すとされる。例えば年間の電気代が1350万円のスーパーなどの場合、年間200万円程度のコスト増になる見通し。非常用の蓄電池を活用すれば電気代の増加分を抑制できる。

蓄電池は維持管理が容易なうえ瞬時に動かせるメリットもある。今後のコスト低減で蓄電池の価格競争力はさらに高まる見通しだ。』


蓄電池は、言うまでもなく、今後の日本にとって、大きな影響を持つ産業分野であり、国内の社会や経済の基盤の一つになります。

ソニーが世界で初めてリチウムイオン電池をパソコン用途に開発・商品化しました。これ以降、鉛蓄電池では使えなかった用途にリチウムイオン電池が使われるようになりました。

このリチウムイオン電池の開発・商品化を引っ張ってきたのは、国内の多くの関連企業でした。当然、国内企業があらゆる分野でリチウムイオン電池の用途開発・商品化を行ない、世界市場をリードしていくはずでした。

しかし、現在では、世界をリードしてきた日本のリチウムイオン電池は、2011年に世界シェアで韓国勢に抜かれました。

確たる証拠はありませんが、韓国勢がリチウムイオン電池で急成長した背景の一つとして、日本からの技術流出を指摘する電池関係者が多いとされています。

一方、蓄電池産業はまだまだ発展途上の段階にあります。リチウムイオン電池は、現在、パソコン、スマホやタブレット端末機器などの小型電子機器、ハイブリッド車(HV)、電気自動車(EV)に主に使われています。

さらに、787型旅客機「ドリームライナー(Dreamliner)」に株式会社 GSユアサのリチウムイオン電池が搭載されています。(【注】787型旅客機は、安全確認が終了するまで、現在運行停止中です。)

本日の記事は、蓄電池の用途範囲をさらに広げる動きについて書いています。記事によると、東芝やNECなどが4月以降、企業向けの蓄電池を売り出すとのこと。

先日、政府は今夏の電力供給状況の見通しを発表しました。今年は、まだ原発の稼働再開が見込まれない中で、円安効果もあって、国内企業の事業活動が活発化することにより、電力使用量に関して節電を、早期から企業や家庭に依頼するとしています。

企業は、節電に協力すると共に、仮に計画停電があった自衛策として、蓄電池を使うことで、不測の事態に備えるところも出てきています。

昨年来、一部の企業では、突然の停電に備えて、事務所に蓄電池を装備するところが出てきました。

工場の場合は、蓄電池では容量不足であるため、重油などを使った自家発電機を装備する必要があります。しかし、高額な重油価格や保守・管理要員が必要なことから導入企業には負担が生じています。

事務所に自家発電機を使うことは、現実的ではなく、蓄電池が適切なものになりますので、今後、この需要が増えていくとみます。

東芝やNECなどのメーカーは、この潜在需要を取り込もうと対応し始めました。蓄電池需要拡大のカギは、価格です。

東芝は、鉛蓄電池とリチウムイオン電池を組み合わせたハイブリッド型蓄電池で、価格の安い鉛蓄電池を併用することで、全体の価格を下げつつ、長い蓄電時間を確保するやり方です。

リチウムイオン電池は、現在主に電子機器用の小型とHV・EVや電力用の大型の両用途に使われています。

HV・EV用途の場合、自動車メーカーの要求仕様に合わせた特注品になります。当該特注品は、一定の販売売上は見込めますが、量産効果での大幅コストダウンを行なうことは、現状難しい状況です。

オフィス用途の場合、共通仕様で大量生産できることになれば、量産効果でコストダウンを図れます。しかも、要求仕様は、自動車に比べて低いものになります。

企業は、リチウムイオン電池などの蓄電池を装備することで、深夜電力や太陽光発電などの電力で低コストで蓄電しておき、日中最も電気を使用する時間帯に、蓄電池でためた電気を使用すれば、電力使用量を下げることができます。

このことは、企業にとって日中の使用電力量を下げることができますので、電力会社と結んでいる契約電力を見直して、より安い契約電力に変更することを可能にします。

契約電力は、一般家庭の基本料金と同じ仕組みであり、低い契約電力は安い基本料金となります。
これは、企業にとって大きな節電効果を生み、電気代節約の大きな武器になる可能性があります。

東芝やNECなどは、ここに目をつけて、企業用途に廉価版の蓄電池を商品化して、売り出そうとしています。

企業は、蓄電池導入費用が、契約電力の見直しや日中の電気代節約の費用削減効果で、例えば、3年以内に導入費用を回収できれば、当該需要は増えるとみます。

この動きが本格化すると、蓄電池用途が一気に拡大して、将来家庭用途のものがより安く商品化できるようになります。

家庭にとっても、基本料金を下げるメリットが確認されれば、蓄電池を装備するところが増えます。家庭でも蓄電池使用することで、日中の電力使用量を減らすことができますので、電力の需給バランスに影響を与える可能性があります。

今回の東芝、NEC、エリーパワーなどの蓄電池メーカーの動きを注目しつつ、大きな事業になることを期待します。

蓄電池は、国内企業の強みをそのままいかすことができます。電極や電解質といった蓄電池の核となる材料や、電極間の短絡(ショート)を防止するセパレーターなどすべての必要素材や部品を提供できるのは、国内企業のみです。

蓄電池が日本だけでなく、海外市場でも多く使われるようになると、国内企業にとっては大きな事業基盤になります。

リチウムイオン電池には、中国など一部の国に供給元が限定されているレアアースが使われています。国内企業は、政府や大学の研究機関などと協力して、可能な限り早期に代替品や代替技術でレアアースを使わなくてすむ技術開発・実用化を期待します。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

カテゴリ このコラムの執筆専門家

(神奈川県 / 経営コンサルタント)
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表

起業・企業存続の為の経営戦略立案・実行と、ビジネススキル向上

起業及び、事業拡大や経営合理化を目指す企業に対して経営コンサルを行います。大手メーカーで得た経験を活かし、補助金活用、アライアンスやM&A、市場分析に基づいた事業戦略策定・実行や事業再生を支援します。OJT研修でのビジネススキル向上を支援します。

カテゴリ 「経営戦略」のコラム