中高生のアンサンブルコンテストも今シーズンはひと段落となりました。
残すは今月20日(春分の日)に開催される全国大会のみとなりました。
最近の私は打楽器アンサンブルの演奏というと中学高校の吹奏楽部の生徒が演奏するのを聴くのが中心、それも客席からステージの聴くことよりも音楽室でレッスンをして聴くことが主になっています。
自分自身がもっと勉強しようと思い、2月28日(木)に愛知県長久手市文化の家 森のホールでおこなわれた「『打のとき』愛知県立芸術大学打楽器アンサンブル 第12回定期演奏会」を聴きに行ってきました。
久し振りにガツンとやられてしまいました。
演奏者は打楽器を専門に勉強している打楽器科の学生。
学生といえども専門家としてスタートしている方々です。
とても上手い! 刺激的! そして楽しい!
素晴らしい演奏会でした。
大学の役目は研究と教育です。
音大での打楽器としての専門的な研究とは楽曲の研究、作曲者や作曲された時代の調査検証、演奏する上での奏法の研究と技術の習得、楽曲にふさわしい楽器やマレットの選択など、多岐にわたります。
教育の領域では演奏することにより個々の技術や音楽性、アンサンブル力の向上などが挙げられます。
また、ひとつの演奏会を開催するにあたってのプログラムは個々の楽曲のスタイルだけではなく全体を見渡しての構成と演出も必要になってきます。
最新の楽曲と打楽器アンサンブルとしてレパートリーになっている曲、音律のある楽器(マリンバなどの鍵盤楽器)と無い楽器(スネアドラムのような太鼓類)の曲、少人数編成と大人数編成、シリアスなものとユニークなもの、というように対比したものをバランスよくプログラミングをする。
このことが演奏者にとって力をつけ、聴きに来てくださったお客さんも満足されると思っています。
ですが、これは結構難しいのです。
今回聴いた演奏会はまさに正道を行ったプログラム、充実した演奏であったと感じました。
この演奏会では昨年生誕100年だったジョン・ケージの作品から「サード・コンストラクション」を演奏しました。
プログラムには昨年打楽器研究室で取り組んだと書かれており、綿密でよく練られた演奏を聴かせました。
使用する楽器はノーマルな楽器だけではなく、ライオンのうなり声を似せたライオンローアという楽器や大小大きさが違う空き缶も使われ、見ている人は驚かれたと思いますが表現されている音楽はビート感溢れ熱が伝わった良い演奏でした。
マリンバ四重奏の Christopher Deane 作曲「Vespertine Formations」は初めて聴いた曲でしたが、現代的な響き、しかし不快ではない響きで、打楽器的なリズムの組み合わせやマリンバ特有の音の積み重ねを聴くことができ印象に残りました。
プログラムの最後に私の好きな西村朗作曲「マートラ ~独奏マリンバ、独奏ティンパニーと5人の打楽器奏者のための~」を久し振りに生演奏で聴けたことも嬉しく、満足感に浸りながら帰路につきました。
このコラムの執筆専門家
- 成澤 利幸
- (長野県 / 音楽家、打楽器奏者)
- 成澤打楽器音楽教室
音楽はみんなのもの
楽器の演奏は専門家からのちょっとしたアドバイスによりスムーズに上達したり音楽の奥深さに触れることがあります。ドラムやマリンバ、いろいろな打楽器のレッスンを通して皆さんのお力になれればと思います。
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