「中小会計要領」~各論その11~ - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

山本 憲宏
山本公認会計士事務所 所長
滋賀県
公認会計士
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「中小会計要領」~各論その11~

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今回も「中小会計要領」の各論の解説の続きです。

今回は、「11.引当金」を取り上げます。

 

まずは、本文の抜き出しからです。

 

(1)以下に該当するものを引当金として、当期の負担に属する金額を当期の費用又は損失として計上し、当該引当金の残高を貸借対照表の負債の部又は資産の部に記載する。

・将来の特定の費用又は損失であること

・発生が当期以前の事象に起因すること

・発生の可能性が高いこと

・金額を合理的に見積ることができること

(2) 賞与引当金については、翌期に従業員に対して支給する賞与の見積額のうち、当期の負担に属する部分の金額を計上する。

(3) 退職給付引当金については、退職金規程や退職金等の支払いに関する合意があり、退職一時金制度を採用している場合において、当期末における退職給付に係る自己都合要支給額を基に計上する。

(4) 中小企業退職金共済、特定退職金共済、確定拠出年金等、将来の退職給付について拠出以後に追加的な負担が生じない制度を採用している場合においては、毎期の掛金を費用処理する。

 

引当金は、未払金等の確定した債務ではないものの、本文(1)に記載のある4つの要件を満たす場合には、財政状態を適正に表示するために、合理的に見積って貸借対照表に計上することとなります。

具体的には、貸倒引当金、賞与引当金、退職給付引当金、返品調整引当金等の引当金が該当します。法人税法上は、債務確定主義をとりますから、確定債務ではない引当金については法人税法上で認められた貸倒引当金及び返品調整引当金しか計上を認められていません。そのため、賞与引当金及び退職給付引当金については、会計上引当金を計上した場合税務調整が必要となります。

 

「中小会計要領」においては、貸倒引当金は「4.貸倒損失、貸倒引当金」においてすでに取り上げられていますので、この項では賞与引当金と退職給付引当金が取り上げられています。

 

<賞与給付引当金>

賞与引当金については、翌期に従業員に対して支給する賞与の支給額を見積り、当期の負担と考えられる金額を引当金として費用計上します。具体的には、決算日後に支払われる賞与の金額を見積り、当期に属する分を月割りで計算して計上する方法が考えられます。

そのため、実務的には、毎年賞与の支給基準が決定されている場合には賞与引当金の計上が必要になってくるものと思われます。

 

<退職給付引当金>

従業員との間に退職金規程や退職金等の支払いに関する合意がある場合、企業は従業員に対して退職金に係る債務を負っているため、当期の負担と考えられる金額を退職給付引当金として計上します。

退職給付引当金の計上については、退職一時金制度を採用している企業については計上の必要性が考えられます。

「退職一時金制度」を採用している場合には、決算日時点で、従業員全員が自己都合によって退職した場合に必要となる退職金の総額を基礎として、その一定割合を退職給付引当金として計上する方法等が考えられます。

また、本文の(4)にあるように、外部の機関に掛金を拠出し、将来に追加的な退職給付に係る負担が見込まれない制度を採用している場合には、毎期の掛金を費用として処理し、退職給付引当金は計上されません。

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