米国特許法改正規則ガイド 第10回 (第4回) - 特許・商標・著作権全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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米国特許法改正規則ガイド 第10回 (第4回)

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米国特許法改正規則ガイド

第10回 (第4回)

先願主義に関する規則及びガイドラインの解説

河野特許事務所 2013年4月19日 執筆者:弁理士  河野 英仁

 

 

(ii)発明者公衆開示後の第三者の開示(中間開示) 102条(b)(1)(B)

 

 開示された主題がそのような開示前に、発明者若しくは共同発明者、又は直接的若しくは間接的に発明者若しくは共同発明者により開示された主題を得た他人により公衆に開示された場合も、1年以内に出願した場合に限り、102条(a)(1)における先行技術に該当せず、新規性を喪失しない。

 

 条文の記載は非常に複雑であり理解しがたいが、簡単に言えば参考図3に示すように、先に発明者が公衆に開示しさえすれば、その後に別途独自に発明した第三者が同一内容を開示したとしても、当該発明者が1年以内に出願すれば、新規性を喪失しない。

 

 

参考図3

 

 

 ここで問題となるのが、発明者が開示した内容と、中間開示による内容との同一性である。ガイドライン案では、発明者による開示内容と、中間開示に係る内容とが厳密な意味で完全同一であることが要求されていた。しかし、実態に沿わないとのパブリックコメントを受け、以下の取り扱いとなった。

 

 

 

(a)開示の仕方は問わない

 

 米国特許法第102条(b)(1)(B)の例外は、発明者または共同発明者により公衆に開示された「主題」に焦点を当てている。従って、発明者または共同発明者による開示の形態(例えば、特許取得、公開、公然使用、公然販売など)が、中間開示の開示形態と同一である必要は無い

 

 

 

 例えば、発明者または共同発明者が、主題を科学会議にてスライドプレゼンテーションを通じた質問において公衆に開示した。一方、中間開示の主題はジャーナル記事で公表された。このように開示方法及び開示の文言が相違する場合でも、規則1.130(b)による宣誓書または宣言書を提出することで、新規性喪失の例外適用を受けることができる。なお、発明者等の公衆への開示が刊行物である場合、規則1.130(b)(1)に規定されているとおり、宣誓書または宣言書に刊行物を添付する。また、発明者等の公衆への開示が刊行物でない場合、規則1.130(b)(2)に規定されているとおり、いかなる主題が、公衆に開示されたのかを決定するために十分詳細かつ入念に主題を記載しなければならない。

 

 

 

(b)文言の一致も問わない

 

 発明者または共同発明者による開示内容と、中間開示の内容とが、一語一語(verbatim)または完全同一(ipsissimis verbis)であることも必要とされない

 

 

 

(c)外的付加の場合

 

 発明者または共同発明者により、以前公衆開示されていない中間開示の主題は、米国特許法第102条(a)(1)における先行技術に該当する。例えば、発明者または共同発明者が、公衆に構成要件A,B及びCを開示しており、その後の中間開示が、構成要件A,B,C及びDを開示している場合、中間開示の構成要件Dだけが、米国特許法第102(a)(1)における先行技術に該当する。

 

 

 

(d)下位概念開示後に上位概念が開示された場合

 

 中間開示主題が、発明者または共同発明者により先に公衆に開示された主題の単なる一般的な記述である場合、米国特許法第102条(b)(1)(B)の例外は、中間開示における当該主題に適用される。すなわち、新規性を喪失しない。

 

 例えば、発明者または共同発明者がすでに公衆にspecies(以下、下位概念という)を開示しており、続く中間開示が、genus(以下、上位概念という:speciesのより一般の開示を提供しているもの)を開示している場合、上位概念の中間開示は、米国特許法第102(a)(1)に基づく先行技術に該当しない

 

 

 

(e)上位概念開示後に下位概念が開示された場合、または、同様の下位概念同士が開示された場合

 

 逆に、発明者または共同発明者が公衆に上位概念を公衆開示しており、続く中間開示が、下位概念を開示している場合、当該下位概念の中間開示は、米国特許法第102(a)(1)の先行技術として利用される。すなわち、新規性を有さないこととなる。同様に、発明者または共同発明者が、公衆に下位概念を公開しており、続く中間開示が、発明者または共同発明者により開示されていない他の下位概念を開示している場合、当該他の下位概念の中間開示は、米国特許法第102(a)(1)に基づく先行技術として、利用される可能性がある

 

 

 

 いずれにせよ、公表後の中間開示により、新規性を喪失するリスクがあることから、公表後には、速やかに特許出願することが好ましい。

 

 

 

(iii)発明者から主題を取得した先願の拡大先願の地位 102条(b)(2)(A)

 

 開示された主題が、直接的又は間接的に発明者又は共同発明者から得られた場合、102条(a)(2)における先行技術に該当しない。すなわち、参考図4に示すように、先願の主題が発明者から得たものである場合、当該発明者による後願後に、先願が公開されたとしても、当該先願は後願に対し拡大先願の地位を有さず、後願は新規性を喪失しない。

 

 

参考図4

 

(第5回へ続く)

 

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