米国特許法改正規則ガイド 第10回 (第1回) - 特許・商標・著作権全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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米国特許法改正規則ガイド 第10回 (第1回)

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米国特許法改正規則ガイド

第10回 (第1回)

先願主義に関する規則及びガイドラインの解説

河野特許事務所 2013年4月11日 執筆者:弁理士  河野 英仁

 

1.概要

 

 USPTOは2013年2月13日、同年3月16日より施行される先願主義に関するガイドライン及び最終規則を公表した。これらは昨年公表されたガイドライン案及び規則案に対するパブリックコメントを反映させた上で完成されたものである。主な変更点は以下のとおりである。

 

 

 

 ガイドライン案では、発明者による公衆への開示後~出願前に、第三者の中間開示または中間出願があった場合、発明者による公開内容と、中間開示または中間出願の公開内容が完全同一であることが必要とされていた。最終規則では開示の仕方は別であっても良く、また一言一句一致している必要も無いとされた。

 

 

 

 また、2013年3月16日より前にした日本出願に基づき、2013年3月16日以降に米国へ出願を行う際に、追加事項が存在する際、クレーム内に2013年3月16日以降の有効出願日を有する場合のみ、陳述書を提出すれば良く、明細書のみに追加事項が存在する場合には陳述書を提出する必要がなくなった

 

 

 

 その他、WIPO公開公報は米国を指定していれば言語、米国への国内移行を問わず全て米国特許法第102(a)(2)における先行技術に該当すること、また102条(a)の販売(On sale)には守秘状態での販売は含まないこと、及び、優先権主張を行う場合の認証謄本提出時期の例外について明確化された。

 

 

 

 今回の最終規則の発表及び最終ガイドラインの発表により、2011年9月から1年半にわたる改正作業が完全に終了した。改正法、改正規則及びガイドラインに規定のない事項は今後の判例を通じて解釈が明らかにされるであろう。

 

 

 

 2012年11月末に拙著「新旧対照改正米国特許法実務マニュアル~改正米国特許法、規則及びガイドラインの解説~(経済産業調査会)[1]」を購入された読者は、本書第2章の部分を本PDFの内容に差し替えて頂きたい。これにより最新の法改正内容が網羅されるはずである。

 

 

 

2.有効出願日

 

(1)概説

 

 先願主義への移行に伴い、新規性(米国特許法第102条)及び非自明性(日本でいう進歩性:米国特許法第103条)の判断基準が発明日ではなく、出願日となる。ここで判断基準となる出願日は、以下に定義される「有効出願日effective filing date」である。

 

 

 

 (A) サブパラグラフ(B)が適用されない場合、当該発明に対するクレームを含む特許または特許出願の実際の出願日、または

 

 (B) 特許または特許出願が、当該発明に関して、米国特許法第119条(優先権主張出願、仮出願)、365条(a)(合衆国以外の国を指定国とする優先権)もしくは365条(b)(合衆国を指定国とする国際出願)に基づいて優先権を付与されたか、または 120条(継続出願)、121条(分割出願)または365条(c)(合衆国を指定国とする国際出願の継続出願)に基づいて先の出願日の便益を受けた出願のうち、最も早い出願日。

 

 

 

 日本国へ出願後、パリ条約に基づく優先権を主張してパリルートまたはPCTルートで米国へ特許出願を行った場合、優先日である日本国出願日が有効出願日となる。

 

 

 

 また新規性喪失の例外規定である米国改正法第102条(b)(1)における1年のグレースピリオドは、特許または特許出願が当該発明に関し、利益または優先権を享受する一番早い外国特許出願から計算される。その一方で、旧米国特許法第102条(b)におけるグレースピリオドは、米国への最先の出願だけからしか計算されない[2]。

 

 

 

 旧法では、クレーム発明の有効出願日はクレーム毎に決定され、出願毎に決定されるものではない。この点は改正米国特許法も同じである。すなわち、先行技術に関連して同一出願の異なるクレームは異なる有効出願日を有するという原則は改正法においても変わるものではない。

 

 

 

(2)改正法

 

改正前

改正後

第100条 定義

(中略)

(e) 「第三者請求人」というときは,第302 条に基づく査定系再審査又は第311 条に基づく当事者系再審査の請求人であって,特許所有者でない者をいうものとする。

第100条 定義

(中略)

(e) 「第三者請求人」というときは,第302 条に基づく査定系再審査又は第311 条に基づく当事者系再審査の請求人であって,特許所有者でない者をいうものとする。

(f) 「発明者 (inventor)」という語は、発明の主題を発明または発見した個人または集団(共同発明の場合)を意味する。

(g) 「共同発明者 (joint inventor および coinventor)」という語は、共同発明の主題を発明または発見した人々のうちのいずれか1人を意味する。

(h) 「共同研究契約 (joint research agreement)」という語は、クレームされた発明の分野における実験,開発または研究上の業務を実行するために2 以上の人又は団体によって締結された書面による契約,許諾又は協力の合意をいう。

 (i) (1) 特許または特許出願中のクレーム発明に対する「有効出願日(effective filing date)」という語は、以下を意味する。

 (A) サブパラグラフ(B)が適用されない場合、当該発明に対するクレームを含む特許または特許出願の実際の出願日、または

 (B) 特許または特許出願が、当該発明に関して、米国特許法第119条(優先権主張出願、仮出願)、365条(a)(合衆国以外の国を指定国とする優先権)もしくは365条(b)(合衆国を指定国とする国際出願)に基づいて優先権を付与されたか、または 120条(継続出願)、121条(分割出願)または365条(c)(合衆国を指定国とする国際出願の継続出願)に基づいて先の出願日の便益を受けた出願のうち、最も早い出願日。

 (2) 再発行出願または再発行特許におけるクレーム発明に対する有効出願日は、当該発明に対するクレームが再発行しようとした特許に含まれていたとみなすことによって決定されるものとする。

(j)文言“クレーム発明”とは特許または特許出願におけるクレームにより定義された主題をいう。

 

 

 

(3)改正規則

 

規則

規則  1.109  AIAに基づくクレーム発明の有効出願日

(a)再発行出願または再発行特許を除く特許または特許出願のクレーム発明の有効出願日は、次の事項の内の最先のものである:

 (1)発明のクレームを含む特許または特許出願の実際の出願日

 (2)特許または出願が当該発明に関し、米国特許法第119条、120条、121条または365条に基づいて優先権を付与されたか、または、先の出願日の利益を受けた最先の出願の出願日

(b)再発行出願または再発行特許におけるクレーム発明に対する有効出願日は、当該発明に対するクレームが再発行しようとした特許に含まれていたとみなすことによって決定される。

 

 

 



[1] http://books.chosakai.or.jp/books/catalog/29101.html

[2] MPEP § 706.02(VI) (8th ed. 2001) (Rev. 8, July 2010)

 

(第2回へ続く)

 

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