- 山本 憲宏
- 山本公認会計士事務所 所長
- 滋賀県
- 公認会計士
対象:会計・経理
今回も「中小会計要領」の各論の解説の続きです。
今回は、「10.リース取引」を取り上げます。
まずは、本文の抜き出しからです。
リース取引に係る借手は、賃貸借取引又は売買取引に係る方法に準じて会計処理を行う。
リース取引の会計処理には、賃貸借取引に係る方法と、売買取引に係る方法に準じて会計処理する方法の二種類があります。
賃貸借取引に係る方法とは、リース期間の経過とともに、支払リース料を費用処理する方法です。
一方、売買取引に係る方法に準じた会計処理とは、リース取引を通常の売買取引と同様に考える方法であり、金融機関等から資金の借入を行って資産を購入した場合と同様に扱うこととなります。つまり、リース対象物件を「リース資産」として貸借対照表の資産に計上し、借入金に相当する金額を「リース債務」として負債に計上することとなります。また、リース資産は、一般的に定額法で減価償却を行うこととなります。
賃貸借取引に係る方法で会計処理を行った場合、将来支払うべき金額が貸借対照表に計上されないため、金額的に重要性があるものについては、期末時点での未経過のリース料を注記することが望ましいと考えられます。
上記は「中小会計要領」の解説のをほぼ載せております。追加で解説しますと、解説にもふれられているように、リース取引は金融機関等から資金の借入を行って資産を購入したのと同様の取引であると考えられます。しかし、会計上の処理は金融機関から資金を借りて資産を購入した場合は資産の計上とともに負債も計上されるのに対し、リース取引は資産及び負債の計上がなされず賃貸借取引が費用計上されるにすぎませんでした。経済的に同じ取引ならば会計上も同じ取引であるべきとの考え方からすれば、リース取引についてもリース資産につき資産計上がなされるべきであるとの考えから、売買取引に準じた会計処理がなされるようになってきました。また、リース取引については、解約に際して多額の違約金の支払が発生する怖れがあることから、賃貸借取引に係る方法で会計処理を行った場合においては、期末時点での未経過リース料の注記が求められることになります。
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