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丹多 弘一
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山本 雅暁
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閲覧数順 2016年12月04日更新

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日経記事;『生産、中国比率下げ 衣料や家電、アジアで分散 人件費上昇やリスク回避』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

2月21日付の日経新聞に、『生産、中国比率下げ 衣料や家電、アジアで分散 ヨーカ堂など、人件費上昇やリスク回避』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。


『生産拠点を中国から他のアジア諸国に分散する企業が増えている。船井電機は2014年にフィリピンの新工場を稼働させるなどで11年度に9割だった家電の中国生産比率を5割以下にする。

イトーヨーカ堂は衣料品の同比率を13年度に3割と11年度の8割から下げる。中国の労働コスト上昇を受け、商品の価格競争力を維持する狙い。日中関係の緊張もあり、中国の内需に対応した商品以外は生産を過度に中国へ依存することを避ける動きが目立ってきた。

船井電機は中国で生産し米国などに輸出するDVDやブルーレイ・ディスクの録画再生機、プリンターのうち、中・低価格機種などの生産を順次フィリピンに移す。

マニラ首都圏に近いリマ工業団地で取得した約12万平方メートルの敷地の一部に工場を建てる。新工場への総投資額は30億~40億円のもようで、生産能力などは今後詰める。テレビもタイの自社工場の生産能力を来夏増強する。

同社は中国の工場で生産コストを下げたテレビやDVD録再機をOEM(相手先ブランドによる生産)供給する事業モデルで成長した。広東省に2つの委託工場と1つの自社工場があり、中国生産比率は11年度末で9割。

ただ昨年は自社工場で反日デモに便乗した賃上げ要求も起きた。中国で集中生産するリスクが高まっており、中国比率を5割以下に抑える。

日本貿易振興機構の調べでは、中国の製造業一般従事者の月額基本給は12年10月時点で328ドルと5年間で約4割上昇した。フィリピン(253ドル)やベトナム(145ドル)、ミャンマー(53ドル)などと差は大きい。

ヨーカ堂は12年度で約800億円の売上高がある自社開発(PB)衣料の生産を見直す。中国での委託生産比率は12年度で6割、13年度で3割と大きく下げ、東南アジアでの生産を増やす。ミャンマーでの生産比率を現在の15%から13年度は20%強、インドネシアは3%から十数%にする。

「ユニクロ」のファーストリテイリングや紳士服チェーンの青山商事、AOKIなども円安基調のなか、中国よりコストが安い他のアジア諸国への生産移管を進める。

経済産業省の海外事業活動基本調査では、日本企業の中国現地法人売上高のうち、10年度は中国国内向け23兆2千億円、輸出11兆5千億円。リーマン・ショック前の07年度と比べて国内向けが27%増え、輸出は22%減った。

旺盛な内需に対応する一方で他のアジア諸国への生産拠点の分散が進み、世界への輸出拠点としての位置付けが弱まっている。』


何度か本ブログ・コラムで書いていますように、昨年の初めから、衣料などの労働集約型事業を行っている多くの企業が生産拠点を中国から東南アジアに移しています。あるいは、中国での生産比率を下げる企業も多くあります。

衣料企業の場合、労働賃金の急激な上昇と、労働者確保の難しさが生産拠点移管の主な理由になります。

生産拠点の移管先は、インドネシア、フィリピン、ベトナム、バングラデシュ、ミャンマーなどです。

いずれの国も、中国よりは現時点で労働賃金が安くなっています。もっとも、インドネシアでは労働賃金が毎年上昇しており、労働者の賃金上昇要求も多くなっていますので、他のアジア諸国と同じに考えることは、避けた方が良いです。

今後しばらくの間、中国では政府の方針もあり、毎年労働賃金が上昇していきます。これは、政府が所得格差を下げるため、労働賃金を上げて中間所得層を増やそうとする政策によります。

また、一人っ子政策の影響で若年層の新規労働者数は減少しており、特に衣料のような労働集約型事業では、仕事内容も敬遠される傾向が強いこともあって、労働者確保は困難になっています。

加えて、反日政策や反日感情の高まりによる政治的・社会的リスクも高くなっています。

上記のような中国内での事業環境から、多くの国内企業が中国での生産方針を見直し・修正することは、合理的なことです。

過去の国内企業の海外市場での生産立ち上げを振り返りますと、当初の進出目的が低い労働賃金による生産コストの安さ実現でした。

多くの国内企業が進出したタイを事例にすると以下のようになります。

タイには、多くの国内企業が安い労働賃金と豊富な労働力を求めて進出しました。タイ人は、総体的に温厚でまじめな性格を持っており、勤勉です。

その結果、多くの国内企業が集結して、生産拠点としての役割が増大していき、ますます進出企業が増える好循環が生まれました。

また、国内企業を中心とした海外からの投資や拠点が増えた結果、タイ人の労働賃金が上昇して多くの中間所得層が生まれました。

タイ人が豊かになった結果、消費者市場としても大きな存在になっています。

現在タイでは雇用率はほぼ100%の状況にあり、かつ労働賃金が高くなっています。しかし、昨年来、大洪水後に再びタイへの投資が活発になっています。

この一因は、タイで産業集積が進み、生産拠点としてだけでなく、国内に次ぐマザー工場や開発拠点としての役割を担える企業が多くなったことによります。

日本とタイのように、安定した関係があり、お互いに国民同士が信頼できると双方にメリットがある「Win/Win」関係が成り立ちます。

インドネシア、フィリピン、ベトナム、バングラデシュ、ミャンマーなどの国ぐにでも、基本的にはタイと同じような発展を実現できます。

国内企業はじっくりと腰を据えて、アジア諸国への進出を計画・実行することが重要であり、必要です。

私も、中小企業のアジア進出を支援しています。相談や支援の依頼を受けると、進出目的や進出先の候補を確認し、上記のようなポイントを含めて、当該国・地域の状況を綿密に確認し、しっかりとした事業計画を作って進出するかどうかの決断をしてもらいます。

進出すると決めたら、いろいろな公的機関の支援も活用して、迅速に動きます。

以前に、国内企業による中国進出ラッシュがありました。「隣の芝生は青く見える」の例え通りに、取引先の依頼などへの対応も含めて、多くの国内企業が中国に投資しました。

私は、会社勤務時に中国進出の経験を持っており、反日デモの動きが無かった時点でも、賃金や労働条件などに不満があると、争議までいかなくてもちょっとした騒動になった経験を持っています。

他のアジア諸国では、同じような問題は起こりませんでした。

そのような経験から、中国進出の相談を受けたときには、目的、理由、経済効果などを確認し、最後の選択しとして中国進出を決めてもらうようにしていました。

確かに以前の中国は、労働賃金が安く豊富な労働力確保ができましたので、生産拠点としてはもっとも有望な国でした。多くの国内企業が進出先に中国を選ぶのは、合理的でした。

その時に、私が支援して作った事業計画には、リスク低減のための撤退施策も含めました。中国は、いったん事業展開すると、撤退するのに多くの困難が発生しますので、投資のやり方と撤退方法は事前準備をしっかり検討して作成する必要がありました。

現時点では、中後国内の消費者市場開拓以外には中国進出を勧めていません。

アジア諸国への進出も、しっかりとした事前準備と事業計画作成が必要であることは、間違いありません。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

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