日経記事;『パナソニック12年ぶり事業部制 開発から営業一体』に関する考察 - 新規事業・事業拡大全般 - 専門家プロファイル

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日経記事;『パナソニック12年ぶり事業部制 開発から営業一体』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

2月19日付の日経新聞に、『パナソニック12年ぶり事業部制 開発から営業一体』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。(関連記事も含みます。)

『パナソニックは4月1日付で事業部制を12年ぶりに復活する。製品ごとに企画開発から生産、営業までを一元管理する事業部制は創業者の松下幸之助氏が日本で初めて導入したが、2000年代初頭に機能別組織に見直していた。

同社は今期まで2期連続で7000億円超の最終赤字を計上する見通し。製品ごとに収益管理を徹底する組織に改め、再建につなげる。

現在は事業や製品ごとに約90の「ビジネスユニット(BU)」に分かれており、主に製品の企画・開発機能を担う。

これを50程度に減らした上で「事業部」に名称を変更。各事業部に生産部門と営業部門をできるだけ取り込む。

松下幸之助氏が1933年に導入した事業部制は、製品分野別の自主責任経営を掲げるパナソニックの象徴だった。しかし子会社が増えるに従って同じ種類の製品を複数の事業部が開発・販売し、グループ内で競争する弊害が生じた。

IT(情報技術)バブル崩壊で経営不振に陥った際、当時の中村邦夫社長(現相談役)が解体、企画開発、生産、営業の機能別に分けた。

昨年6月に就任した津賀一宏社長は長年にわたる低収益構造を抜本的に見直す方針を打ち出している。

企画・開発を手掛ける部門と生産・営業部門が別々のままでは収益責任が曖昧になると判断、開発から営業までを一元管理する制度を復活する。新体制では当面、事業部ごとに売上高営業利益率5%をめざす。

パナソニックが事業部制の復活を決めたのは、開発・製造・販売の一体感を強め、顧客視点に立った経営を取り戻すためだ。

中村邦夫社長時代に効率化を目指して事業部制を解体してから10年余り。韓国などアジア勢との競争が激化する中、テレビに代わるヒット商品づくりにつなげる狙いもある。

事業部制は各部門に収益責任を負わせて強くする手法で、日本企業の範ともなった。しかし各部門が成長を求めた結果、事業の重複が顕在化。

2002年3月期に4千億円超の最終赤字を計上、「V字回復」を目指す中で、中村社長(当時、現相談役)は中央集権的な仕組みに改め、経営資源を機動的に戦略部門へ投じるようにした。これに伴い開発や営業など機能ごとに人員を集約した。

しかしデジタル化の進展で、短期間に技術や商品トレンドが変わるようになった。開発と営業の距離が開いたままの体制で、市場ニーズに合った製品投入は遅れがちになり、米アップルや韓国サムスン電子などに後れを取った。

企画開発から営業までを一元管理する事業部制にすれば、営業が顧客の声を開発に届け、製品開発に素早く反映させることが可能になるとみる。今後、注力する企業向け取引(BtoB)分野では、顧客視点に立った事業運営がより強く求められるとみて、組織を見直すことにした。

パナソニックは3月にも新たな中期経営計画を策定する。収益回復を最優先課題に掲げる津賀一宏社長は事業部制の復活と本社のスリム化を組織活性化の両輪とし、経営の立て直しを目指す』


経営の合理化である集中と選択を行なう過程では、もっとも有効かつ効率的な組織体制にすることは、重要であり必要なことです。

今回のパナソニックの事業部制の復活はこの一環で行なわれます。

私が電機メーカーに入社したときは、同じ業界に所属するほとんどのメーカーは事業部制を採用していました。

事業部制は、主力商品カテゴリー単位に当該事業に専任してビジネスを行なうやり方です。事業部のトップである事業部長は、当該商品カテゴリーのビジネスに関しては、社長と同じ役割をにないます。

事業部長は、いわば社内の中小企業の社長と同じ役割を行ないます。通常、事業部長は、人事、コスト・価格決定、商品企画、開発、設計、製造、販売までのすべての事業活動に関して決定権を持ちます。

事業部制は、上記のように自己完結機能を持ちますので、意思決定と実行速度が早くなるのが特徴です。

したがって、主力商品カテゴリーの事業を早期に立ち上げて、商品競争力をつけながら、収益確保・拡大を行なっていくには最適な組織体制となります。

事業部制を上手く動かすには、経営幹部や本社が事業部の自主性を尊重して、日常業務に口を出さないことです。

経営幹部の仕事は、当該商品をよく理解してその事業を伸ばせる人を事業部長として選ぶことです。

事業部長には、目標となる収益数字を示して、あとの事業部運営を事業部長に任せることが事業部制を最大限有効に活用するためのポイントになります。

事業部長が一定期間内に目標となる収益を達成できない場合、事業部長に責任を取ってもらうため、別の人を事業部長に選ぶことになります。これは、経営幹部の仕事になります。

本社機能は、各事業部が事業運営をうまく行なえるように側面からの支援なることが、事業部制を効率的に実行するためのポイントになります。本社機能の役割は、会社全体の経営の方向性の確認・調整と、事業部運営の支援です。

事業部は、売上と利益を確保するための、直接部隊であり、「プロフィットセンター」と呼ばれます。

本社機能は、売上と利益を生みませんので、管理部門であり、「コストセンター」と呼ばれます。
本社機能は、事業部が稼ぐ売上と利益で賄われますので、通常はコスト圧縮のため必要最低限の規模で運営されます。

上記しましたように、事業部長の人選が重要です。事業部長は、当該商品を良く知り、どうすれば売上と利益を最大化できるか考えられる人を選ぶことが重要です。

通常は、設計エンジニアの中から経営センスを持った人が選ばれます。今までの事業部運営に成功してきた例をみますと、エンジニアが事業部長になったケースが多いとみます。

事業部制の欠陥となるのは、各事業部は自身の事業拡大を図るために専任・特化することで、他の事業部の動きが見えなくことです。

各事業部は、収益拡大のために周辺機器や周辺サービスの拡大を積極的に行ないます。その結果、他事業部と同じような周辺機器やサービスを行なう事態が発生しやすくなり、会社全体からみますと、重複したり社内で競争するといったいびつな事業体制になるリスクを持っています。

このような問題が発生した場合、経営幹部が関連する事業部の間に入って調整し、各事業部の運営方向を確認、あるいは再定義します。

また、事業部の数が多くなると、経営幹部や本社は、コントロールできなくなる可能性が出てきます。

記事にありますように、パナソニックが2002年に事業部制を解体したのは、この理由によります。

事業部運営は、バランスを良くとって柔軟に行なうことがその良さを引き出す上で必要なことです。

事業部はドロボーであり、経営幹部や本社は警察の役割に例えられることがあります。警察機能が強くなりすぎると、ドロボーの活動や機能が低下します。

今後、パナソニックが事業部運営をどうのように行なっていくか注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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