- 西田 淑子
- サクセスインサイド・コミュニケーション 代表・コミュニケーショントレーナー
- 大阪府
- ビジネスコーチ
対象:コーチング
同じ要素は、親近感を生み出し、仲間意識を作り出します。私は学生との距離感を縮めたい、つまり仲間になりたいわけです。頭ごなしに「てめーら、うちを仲間に入れんかい」と上から目線で命令したところで効き目がないのは充分に分かっています。上から目線で効き目があるようであれば、とっくの昔に、新人のへたくそな先生であっても、学生は私を、もっと最初から、「せんせえ~い」と、もてはやしています。何よりも私が、そんな大上段に構えて大見得を切る、なんていう勇気もあつかましさも持ち合わせていません、でした、その頃は。
仲間意識を作り出すために、その時の私に利用できた、たった一つの行動は、学生の出席の返事に対して返事をすることでした。その私の返事も、自信のない私の、小さなか弱い返事でしたので、こんな、学生に聞こえてるかどうか分からないような声で、効果があるのかどうか、かなり不明でした。しかし、何もしないよりは何かしたほうがましです。宝くじは買わなければあたりません。かのアメリカの大富豪、ブライアン・トレーシーさんも「間違った決断は、最後まで下されない決断に優る、そして今何もしなければ、また同じことは起こる」と励ましてくれているではありませんか。
次の授業から、学生の返事に対して、私の返事の声を同調ミキシングを行って、返事をしました。「ハイ!(声大)」という返事に対して、「ハイ!(声小)」、「はあ~い」には「はあ~い(声小)」、「はい↓」には「はい↓(声小)」、返事せずにただ手を挙げただけの学生には、こちらも返事せずに手を挙げる。新しいことをするには、少々勇気は入りますが、これ以上、針の筵のような授業を続ける苦しさに比べたら、なんてことはありません。
効果は翌々週の授業で表れました。5人組の女子グループが、私の方をちらちらと見ています。これまで私を全く無視していたグループです。理由はすぐ分かりました。私の小さな変化に気が付いたんですね。無視しているようで、どっかで気にしていたようです。出席のときの返事が「へい!」、「ほい!」、「ほほ~い」、挑戦してきました。受けて立とうじゃないか、私の返事も同じ返事の繰り返しです。「へい!」、「ほい!」、「ほほ~い」。
翌週の返事はもっと刺激的でした。「へっへえ~い」、「ぱお~ん」、「ペロポロパロッ!」、5人目は右手を真っ直ぐ挙げて、左掌で右腋を押さえて舌を出しました。いや~これはちょっとどころか、相当勇気を出しましたが、同じことを繰り返しました。その後、5人はどっと笑って、私を仲間に入れてくれました。それから、授業の進め方はそんなに直ぐには上手にはなりませんが、教室の雰囲気は格段に良くなりましたし、彼女たちと、しゃべれるようになりました。
「過去と他人は変えられないけど、自分と未来は変えられる」と言われます。ほんの少しの勇気があれば、自分の未来を自分自身で、大きく変えることができます。それは予期せぬ結果で起こることでしょう。もし相手と仲間になりたいと思ったら、相手に合わせるために、自分の行動で活用できるものは何かを探して、それを発見したら、何をすれば相手に合わせることが出来るかを工夫して、あとはほんの少しの勇気を持って、自分自身を少しだけ変えるだけです。これだけで未来は大きく変わります。
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